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第11話 村長の頼み

 知らせを受けて初めに病室を訪れたのはリップだった。


 リップが口でノブを回し部屋に入るなら私に飛びつき、長く伸びた顔を私の太ももの上に乗せた。

 「リップ、あなた一人だけなの?ジョセはどうしたの?」

 私は頭を撫でてリップに聞いた。


 「クルルークルー」

 ジョセと村長をおいて我先にとここまで急いできたらしい。


 「リップ心配かけたね、おかりなさい」

 リップは私に撫でられ機嫌よく猫のようにゴロゴロと喉を鳴らした。

 すると扉の隙間から誰かがこちらを覗いている人影が見えた。


 「誰!?」

 私が扉に向かって声を上げた。すると扉がゆっくりと開き、そこにはまだ5歳程の小さな少女が立っていた。

 茶色い髪をお団子し服はピンクのワンピースを着ている。


 「迷子かしら?」

 黙ったままの少女に私は声を掛けた。

 でも少女は顔を横に振って私に言った。


 「竜初めてみたの、頭撫でられるかな?」

 彼女はリップが気になってここまで来たみたい。

 少女は竜に対して恐怖心を抱いておらず、むしろ可愛いと好意を抱いてくれていた。


 「いいわよ、リップは大人しいから撫でさせてくれると思うわ」

 私は少女を手招き、少女がリップに近づくと話を聞いていたリップのほうから頭を少女に向けて、撫でられにいった。

 

 少女は緊張しながらもリップの頭を撫で満足そうな笑みを浮かべた。私も喜んでもらえて何よりだ。


 「あなたお名前は?」

 私は少女に聞いた。


 「私サリム、お母さんの付き添いで病院にきたの」


 「そっか私はアサよろしくね」

 サリムちゃんに手を差し出し握手をした。


 するとジョセと村長がようやく戻ってきた。


 「アサ体は大丈夫か」

 ジョセが息を切らしながら言った。どうやら走って駆けつけてくれたみたい。


 「ええおかげさまで」


 村長さんもジョセの痕に続いて走ってきたのか苦しげな顔をしていた。

 「アサさん目が覚めて何よりです。サリム、こんな所で何をしている」


 「リップちゃんの頭撫でさせてもらってたの」

 サリムちゃんが笑顔で村長に言う。


 「お母さんが探していたから、さぁ戻りなさい」


 「えーまだリップちゃんと仲良くしたいのに」

 駄々をこねるサリムちゃんに私はいいことを思いついた。


 「じゃーお姉ちゃんが後でリップを連れてサリムちゃんの家にお邪魔するのはどう?」


 「うん約束、私の家はマカの1番端っこだからね」

 サリムちゃんは元気よく駆け出しお母さんの元へ帰っていった。


 「アサは子供の扱いが上手くて感心するよ」

 ジョセが壁に持たれかかりながら言った。

 サリムちゃんが居なくなると村長は神妙な面持ちで話を切り出した。


 「あのアサさん私から1つ頼みがあります。聞いてもらえますかな?」


 「はい」


 「今サリサには黒龍という脅威があります。

 どうかそちらの竜の力をマカのために使ってはくれませんでしょうか?」


 「少し考える時間をもらっていいですか」


 「わかりました。すぐに答えがだせる問題ではないのは重々承知しております。明日もう一度伺います、それでは」

 そう言うと村長は部屋出て帰っていった。


 「クークー」

 考えこむ私にリップは構わず甘え、顔を擦りつけてくる。見兼ねたジョセがリップの首根っこを掴み私から引き離した。

 ジョセはベッドの脇に腰を下ろすと、ダムでの一件を私に話し始めた。


 「アサ、2日後にサリサがマカのダムを攻め込む。

 マカの人達はわざとダムを攻めさせ、水路を細工をして洪水をおこして、サリサを壊滅させようとしてる」


 「そんな……」

 私はショックを受けた。どっちの村もこれ以上争ってほしくはない。


 「アサお前はどっちにつく?。私はサリサに襲われた身だ。マカの人に協力しようと思う」


 「それではダメ、アザエルさんとの約束が果たせない」


 「アザエル?」

 ジョセがアザエルさんの事を知らないことを忘れていた。私はアザエルさんのことを話した。


 「私をさらった白い竜。これは彼からの試練なの、そして私は言ったの平和的に解決するって」


 「竜って珍しいもんかと思ってたけど、ひょいひょい現れるもんだな。

 でもそうはいったって、どうやるんだよ。お前の力でも敵わないならこちとらお手上げだぜ」

 確かにジョセのいった通りだ。力では到底アーロイには敵わないのはサリサの一件で分かったし。


 「なんとか動きさえ食い止められれば、後はアザエルさんがなんとかしてくれると思う。この笛を吹けば駆け付けてくれるのよ」

 ジョセに笛を見せて私は言った。

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