第7話 黒騎士ウィリー
牢獄内は竜が脱走したとあって警備兵が怒号をあげリップ達を追っていた。
私にも脱走の手引きをしたと思われ、警備兵が剣をこちらに向けてきたので、私はリーチで勝る棍で次々と警備兵をなぎ倒していった。
伊達にこの3年間遊んでた訳じゃない、ジョセやカイトに棒術の指南を受け、自分の技術を磨いてきたんだ。
私はミコットさんに連絡を入れた。
「ミコットさんそろそろ牢獄から私の竜と友達が出てくると思います。私の名前を出せばきっと助けてくれます、竜に乗ってサリサを脱出して下さい」
「竜に乗れだと勘弁してくれよ」
ミコットさんはあからさまに嫌がったが、アーロイさんが帰ってきた以上、無事にサリサから逃げ出すにはこれしか方法がなかった。
「大丈夫です。リップは賢い良い子ですから」
「分かったやってみる。それでお前はどうする?」
「私は一度アーロイさんと話を着けてきます」
「無茶すんなよアサ」
「勝算はあります。私を信じて行って下さい」
「分かった気をつけろよ」
通信を切り、私も牢獄の外へと出た。
空を見上げるリップが空に飛び立っている。どうやらミコットさんも一緒に逃げれたみたい。
「牢獄から出てきたあの女を取り囲め」
アーロイさんが兵隊に指示を出し、次々と私を捕らようとやってくるが、私は紙一重で相手の攻撃を見切り、返り討ちにしていった。
「アーロイさん私はあなたと話がしたいだけ、これ以上負傷者出すのは無意味です」
「なんだと?負傷者はもう出ないさ。ウィリー奴を取り押さえろ」
「ウィリー?」
ジュエルさんが言ってた人だ。ウィリーさんは全身黒い鎧にワインレッドのマントをまとい、顔も一本角の甲冑をつけてその表情を伺うことはかなわった。
「貴方がウィリーさん?」
「ああ、そうだ。お嬢さん抵抗しないほうが身の為だぞ」
その声は加工器で歪められ本人の声ではなかった。どこまでも素性が分からない人。しかし体格的に男性であることは間違いなさそうだ。
「あなたと私以前にどこかで会ったことあったかしら?」
「さぁな、それより女の身で私と本気で戦うつもりか?」
「女性だからって甘くみるつもり?あなたにはがっかりだわ。あなたに私の実力を見せてあげる」
私が先制してウィリーさんに振りかぶると、彼は目にも止まらない速さで鞘から剣を抜き取り、私の棍の動きを止めた。
「忠告はしたぞ女」
「私の攻撃を受け止めただけ勝ったつもりかしら?」
私は棍に込めた力を抜きウィリーさんの剣を受け流そうとしたが、ウィリーさんも力を抜き、早々に私の言う通りには動いてはくれなかった。
私は距離をとり、相手の攻撃の届かない自分の間合いに持ち込み、次々と攻撃を繰り出していった。
しかしウィリーさんは冷静にも全ての攻撃を的確に弾いてゆく。
その高度な戦いっぷりにアーロイさんは驚きの表情を見せた。
「あの女、ウィリー相手に決して力負けしてない。ウィリーと渡り合うとは一体何者なんだ」
「まさかウィリー様が負けるということは」
周りの兵が勝負の行方を心配したが、すぐにアーロイさんが喝を入れた。
「心配するなウィリーは私に次ぐ実力者、万一でも負けるはずがない」
その言葉通り一度のミスでウィリーさんの間合いに踏み込んでしまい、私は剣の柄で腹部を強打されそのまま意識を失ってしまった。
「ほれ決着だ」
アーロイさんが誇らしげに言った。
「牢に連れて行け、奴が目を覚ましたら私の元へ連れてこい。奴も私に話があるそうだからな」
「はっ」
兵隊二人で私を持ち上げ、私は牢獄へと運ばれて行った。
その頃一足先に逃げたジョセ達は、マカの村まではいかずサリサから少し離れた上空で私が来るのをずっと待っていた。
「おい、いつまでこうしてるつもりだ?」
ミコットさんが不満をたれた。
「おっさんよ、アサに免じて助けてやったんだぜ。そのアサが戻ってくるのを確認するまでは放っておけないよ」
「クルークルー」
リップも雄叫びをあげ賛同した。
ミコットさんはリップが鳴く度に顔を伏せて体を震わせた。




