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第3話 旅の目的

 私はアザエルさんに連れていかれ、もう30分は経とうとしていた。

 「ねぇ一体どこまで行くつもり、もうエルモから大分離れたわよ。ねぇー聞いてる?」


 「うるさい小娘だ」

 アザエルさんは私に聞こえないボリュームでぼそぼそと呟いた。


 「ねぇそろそろ教えてくれてもいいんじゃない?私を連れてどうしようっていうのよ」

 それでもしつこく喋りかける私に、アザエルさんはようやく話す気になってくれた。


 「ユーレン大陸南のロードス地区で竜が目撃されたと報告を受けた。どうやらその力を悪用してるようなのだ。

 お前なら分かるだろ、あの力が人に与える危険性を」


 「私にその竜を退治をしろっていうの?私なんかよりあなたの方がよっぽど強そうにみえるけど」


 「ふっ勿論私が手を下せば、ことはすぐに解決するだろう。しかしこの世界の事は人間たちが解決すべしと竜王様から言伝をいただいている」


 「なるほどね竜王様が考えつきそうなことだわ」


 「見ろあの村だ」

 アザエルさんが視線を右に広がる小さな村に向けた。

 私も前かがみに下を見下ろしてみると、その村は火事でもあったかのように大地に黒いすすなようなものがこびりついていた。


 「なんだか随分とボロボロね、襲撃でも受けたのかしら」


 「その逆だ、襲撃をして村を奪ったのだ。それも一瞬にしてな」

 アザエルさんは感情なしに淡々と語ったが、私はその話を聞きゾっとしてしまった。

 私は真相を知るためにアザエルさんに聞いた。

 「竜がやったっていうの?」


 「そうだ。あの村サリサに黒き竜がいる、お前がこの先対立するであろうな」

 アザエルさんが言い終わると私は、村を見下ろす視界が乱れるのに気が付いた。


 直ぐ様アザエルに声を掛けた。

 「あっ、いけない。矢が飛んできてる、避けて」

 アザエルさんは視線を送らずとも風の動きで危険を察知したようで、大きく旋回して大量に放たれた矢を避けていった。


 「突然襲ってくるなんて随分と野蛮な人達ね」


 「奴らも竜が自分達以外にいるとは思っても見なかったのだろうからな。このまま目的地まで急ぐぞ」


 「きゃー」

 アザエルさんのスピードに一瞬体が浮き上がり、私はすぐに伏せアザエルさんの背中に必死にしがみついた。


 白き竜を目撃したサリサでは配備された弓兵達が、竜の目撃に動揺し小さな騒ぎになっていた。


 「撃ち方やめ、アーロイ様どう思いますか?さっきの飛行物体?」

 弓兵の部隊長とおもしき人物が言った。アーロイと呼ばれた人物は長い黒髪を背中までたらし、黒の鎧の上に黒のローブを着て、肌も小麦色の褐色である。

 年齢は30代前半程に見える。


 「さぁな双眼鏡で見ようとしたが、あーも高速で動かれては竜だと断定はできないが、背中に確かに人が乗っていたな。もし仮に竜なら近いうちにまた姿を現すだろう」

 アーロイさんがそういうと部隊を一旦下がらせた。




 私はアザエルさんに連れられ、サリサから少し離れた山の熊の洞穴なような場所に降り立った。


 「私に出来るのはここまでだ。あとはお前の仕事だ」

 アザエルさんは私を降ろすなり、淡々と言う。


 「私はいくら竜が悪くても命を奪ったりしたくない」


 「殺さずを突き通すなら、奴を戦闘不能にしろ。そしてこの笛を吹くがいい。私がすぐに迎えにいく」

 そう言われ小さな笛を手渡された。笛には紐がくくられており、私はその笛を失くさないよう首に掛けた。


 「分かったわ」

 

 「それと水だ。その土地では貴重になる、考えて使え」

 

 「ありがとう」 

 アザエルから手渡された水の容器はまるで竜の牙から作られたかのように白く先が尖ってる。私はその水筒にはホルダーがついていたので私は腰似巻いたベルトに牙の水筒をぶら下げた。


 「それでは検討を祈る」

 その言葉を最後にアザエルさんは大空へと飛び去ってしまった。


 私は一旦体を休めるために洞穴の奥を覗いてみた。どうやら熊やはたまた猛獣は住み着いてなさそうで安心した。



 その頃ジョセはリップの鼻を頼りに私の後を必死に追いかけていた。


 「リップ本当にこの先であってるのか?」


 「くぶー、くぶー」

 リップは揺るぎない自信でジョセに返した。


 「それならいいんけどな」

 

 

 サリサの村でリップが目撃され村ではまた弓兵が配備され、臨戦態勢の元アーロイさんがリップ達の姿を見にやってきた。


 「アーロイ様また竜と思しきものが」


 「こんな短時間に2頭もか、双眼鏡を」 

 部下の一人がアーロイさんに双眼鏡を渡した。


 「さっきと違い、大きさはそこまでないな。今度は生け捕りにしてやる」

 そう言うとアーロイさんは弓兵隊に待機命令を出した。


 ジョセとリップはそんなことはつゆ知らずに私の元を目指していた。

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