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第11話 王都バルセルラまでの道程

 さてと、これから私の大きな旅が始まろうとしている。

 これは私の人生でも一生一大の決断だったと思う。1人で遠くに出かけたことなんて一度もなかったし。お使いだってせいぜい隣町のタンパくらいで済むもの。だから私の住む世界は本当のこの2つくらいなものだった。


 それが一気に視野がひらがって世界がひらがって、なんだか期待と感動で胸のドキドキがとまらない。


 「これからの旅は私が自分の足で軌跡をえがいていくんだ」

 なんだか、この一件が済んだら、きっと自分に自信がつくようなそんな気がする。


 「くくぷー?」

 リップが不安そうな面持ちで訪ねる


 「怖くないかって?」

 

 「少し怖いけど、それよりも今は高揚感のほうが優っているかな」


 「私って悪い子かな?こんな事態なのに喜んでるなんて少し罪悪感を感じる。明日娘がいなくなるってどんな気持ちだろう?」


 「ぷぷぷー」

 僕はお母さんに会いたいよ、だそうだ。


 「でも説得なんて出来そうになかったし。これで良かったんだよね?これで」


 「くー?」


 「ううん、なんでもない。行きましょう。今日は沢山進むぞー」


 はじまったばかりで、くよくよもしてられない。私は手を振り上げ気合いをいれた。それには理由がある。お父さんの事だ。


 手紙では、私を探さないでとは書き留めたが、娘がいなくなって探しに来ない親はいないだろう。だからこの旅は追われてるのを前提に考えたほうがいい。

 なのでまだお父さんに気付かれてない今日の内に出来るだけ差を作っておきたい。


 私はリュックから地図を取り出し、現在地であるエルモ村を見つけると、そこからバルセルラまでの道程を目で追った。


 ここから王都バルセルラまで30キロほどはあるだろうか、方角的にはエルモの西側方面なのでタンパとは逆方向になる。

 道は途中までは舗装され整備されているが、その先は山を一つ超える必要がある。


 おそらくここがこの旅1番の山場となりそうだ。いやギャグじゃないよ。

 それほど高い山ではないが、獣や山賊が出るという話は聞いたことがある。


 噂によれば王都には集まる人たちは、お金持ちが多いことから、山賊達の格好の餌食になってるみたい。私は大丈夫かな?見るからにお金持ちにはみえないと思うけど、この大きなバッグは変に目立つよね。どうしよ。

 まだそこまでは時間はあるけどなにかしろ対策は講じておかないと。



 不意に視界にリップがうつりこんだ。

んーリップにもっとこう竜としての貫禄があれば、山賊なんか簡単に追い払ってもらえるのに。

 山賊達も今のリップを見てもへのかっぱだろうし。


 まぁその事はまだまだ先だし、今は目の前のことに集中しよっと。


 はじめに目指す村は、サーカスや大道芸が盛んなカルーモ村だ。タンパと比べると倍以上距離があり、そんな気軽に訪れられるような場所じゃない。

 あそこは年がら年中、お祭り騒ぎな賑やかな村だから、ご飯をあまり食べられなかったから少し屋台に寄ってみよう。


 私はカルーモ村を目指して歩いた。


 「はぁはぁはぁ」

 しばらくして少し息が上がってきた。リュックの重さもあるのだろう。いつも以上に疲労感を感じる。


 「リップ少しリュックから出てもらっていいかしら?」

 リュックからひょいと顔をだすリップにたまらず根をあげた。


 リップは小刻み数回頷きリュックから飛び出た。

 地面をぺたぺたと歩いてご機嫌のようだ。考えてみれば今までは室内だけの生活で外に出してあげたことなんてなかった。

 リップはその勢いに任せ、私を置いて先に走りだしてしまった。すかさず私は止めに入った。

 

 「リップだめ」

 リップがちらりと振り返る。

 

「さっき約束したばかりでしょ、私から離れちゃだめだって」


 「くあ?」

 リップは首を傾げとぼけてみせた。


 「ほら戻っておいで」

 するとリップは両腕を水平に伸ばし翼を広げるとその場から空高くとび、私のリュック目掛けて翼を羽ばたかせた。


 私は反射的に目を閉じた。閉じた目をゆっくり空けるとリップがリュックからひょこっと顔を出していた。

 「リップあなたいつから飛べるようになったの」


 「くくぷー」


 リップいわくあれが初めてのようである。それにしても凄い速さだった。目にも止まらぬとはまさにこの事だ。


 「リップもう一度やってみて」

 私はそうお願いするとリップをリュックから出し地面に離した。


 「くー」

 リップが気合い入れ力む。

 めいいっぱい広げた翼を高速で羽ばたかせると見る見る内にリップの足は地を離れいく。


 「凄いリップ凄いよ、まさかこんなに早く飛べるようになるなんて」


 私は「いい子いい子」とリップの頭を優しく撫でた。

 リップもなんだか誇らしげだ。


 「リップ練習もかねてそのままゆっくり私の後を着いてきて」


 私がいつもの調子で歩いているとリップはなかなか着いて行けずにいた。どうもスピードを抑えた状態で体のバランスを取るのが難しいようだ。

 確かに体の大きさに比べて翼はその半分程の大きさしかない。まだ翼が未発達な部分が大きそうだ。リップはその分高速で翼を羽ばたかせるために瞬発力があるがその分体にかかる揺れも大きい。

 そのためうまく進路をコントロールすることができないようだ。

 そしてもう一つ気になることが――


 「ぶふー」

 リップが地面に両足をついた。


 「やっぱりどうもスタミナの消費が激しいみたいね。リップ飛ぶ練習はもっと翼が大きくなってからね。初めは陸で歩くことからはじめましょう」


 私はリップのスピードにあわせて歩いた。その歩幅は小さいが着実に一歩一歩カルーモに近いていった。


 その内リップはコツを掴んできたのか、歩く動作に翼の羽ばたく動作をとりいれその一歩は以前とは格段に大きくなっていた。


 これにより私は足を止めることなくカルーモ村を目指すことができた。  

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