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第11話 謝罪

 私はお母さんの手を握りながら宿屋までの帰路を母親と二人で歩いていた。

 お母さんも私に言いたいことがあるだろうに、ここでは何も聞かずに黙ったままで、その静けさの中私は思いを巡らせお母さんに酷いことを言ってしまったと深く反省した。


 宿屋に着いて部屋に戻っても、お母さんが私を問い詰めることはなく、私が話したい時まで待っててくれてるようだった。


 「エルヤ手伝ってちょうだい」


 「はい」

 お母さんに呼ばれ流し台に行くと、私がお昼に採ったフキが葉っぱがなくなった状態で台に並べてあり、お母さんはアルミのボールを取り出し、私にフキの皮を取ってくれるよう頼んだ。

 フキの皮を剥きながら、心の中ではずっとお母さんに謝んなきゃとそのことで頭がいっぱいで、上手く皮を剥くことをが出来ずにいると、お母さん隣でクスリっと笑いフキを一本手に取って私に手本を見せてくれた。 


 「エルヤいい?こうやって剥くのよ」

 お母さんは馴れた手付きで上面に爪を引っ掛けて、スルリと繊維に沿って皮を剥いてみせた。


 そんなの真剣にやれば私だって、と集中して取り組んだ私だったが、意識を集中すればするほど手は震えて、上手く上面の皮を掴むことが出来なかった。

 私が苦戦してる横でお母さんは一本を剥き終わり、涼しい顔で最後の二本目に取り掛かった。

 負けず嫌いな私はこれだけでもと悪戦苦闘しながらも、なんとか自分の分の一本を無事に剥き終わることが出来た。

 お母さんがやった二本と比べると身の部分も一緒にえぐられてしまっていてイビツな形になってしまったが、これでも私は一生懸命やったんだ。

 

 「エルヤそれじゃーここで待っててね。料理作ってくるから」

 お母さんは材料を持っていき、一階の厨房へと向かった。


 一人になって私はぶつぶつと呟きながら、お母さんにどう謝ればいいか試行錯誤して考えた。


 20分程するとお母さんがトレーに料理をのせて持って来た。

 テーブルの並べられた料理に目を移すと、フキとキャベツと卵の野菜炒め、ご飯、フキの汁物の三点だった。

 今日の買い物のメインの魚がなかったことに違和感を覚えたが、これから謝ろうとしてる私が指摘すべき事ではなかったのでその事には一切触れなかった。


 「頂きます」

 それでも料理を口に運ぶと、やっぱりお母さんの料理は美味しかった。塩加減が絶妙なのだ。

 考えてみれば今までお母さんの料理を食べて美味しくないと思った記憶がない。

 いや一度だけそんなこともあったっけ。

 それはお母さんがトマトパスタを作った時だった。具材に獅子唐が丸々入っていたんだけど、口に入れたらまさかのそれは青唐辛子だった。

 まぁこれは味付けのミスじゃないけど、あの時は本当に辛かった。青唐辛子を飲み込むことはなかったけど、子供ながらに大泣きした覚えがある。

 そんなことを思い出したながら、今日の夕食も美味しくペロリと完食してしまった。

 

 お皿を重ねてトレーの上に乗せて流し台で持っていき、皿洗い済ませると、私はテーブルの椅子に座るお母さんに話しかけた。


 「お母さんごめんなさい、さっきはわがまま言って」


 「エルヤ」


 「仕方のないことだって私も分かってる。だから、学校は諦めるよ」


 その言葉を聞いて、お母さんは少し考えこんでから私に言った。

 「理由があやふやのまま信じろって言われても難しいわよね?」

  

 この時私はお母さんが何を言ってるのか?よく理解出来なかった。しかし次に続く言葉は私の思いもしない言葉だった。

 「エルヤ、竜に会ってみる?」


 「会うって!?この笛を使うの?」

 私がお母さんの言葉にびっくりしてたじろっていると、お母さんは紅茶を一口、口に運んでから落ち着き払った様子で言った。

 

 「いいえ、ルーブルに竜が現れればそれこそ騒動になるわ。私達から会いに行くの。竜は案外私達の近くにいるものよ」


 「……」

 ニュースで散々危険と恐れられていた竜が、お母さんの口から『近くいる』とさらりと言われてしまって私は驚きのあまり絶句してしまった。


 「リップはお魚好きだからこれ持っていきましょ」

 冷蔵庫から袋に入った魚を手にお母さんが言った。夕食にお魚料理が出てこなかった理由は、こういうことだったんだ。てっきり私へと罰だと思ってた。


 「でも竜に会って危険じゃないの?」


 「リップ小さい頃から私が世話をしてたんだから大丈夫よ。それに竜って言ったって人の言葉を理解出来るし、喋ることも出来るのよ」


 「なんか私の想像してた竜と全然違うな。もっとガオーって熊みたいな奴かと思ってた」


 「エルヤまた変なこと言って。それじゃこれから出かけるから準備して、山を登るから飲み物も用意しなくちゃ」


 それを聞いて私は真っ先に冷蔵庫の扉を開いてあるものを取り出した。

 「それならこの牛乳持っていこう、凄く美味しんだよ」


 「牛乳で喉の乾きを癒やせるかしら?水の方がいいと思うけど」

 私が口をへの字にしたのを見てお母さんは「分かったわ、バッグに入れなさい。水も持っていきますからね」と牛乳を持っていくことを許してくれた。

2章ではバトル展開が多かったので、今描いてる日常回はなんかアサっぽくって書いてて楽しいです。

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