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第9話 帰路でおこった一悶着

 時刻は15時半、リール村を出て、来た道を戻りながら地面をちらちらと目を泳がせていると、大きなフキの群生を見つけた。

 さっきまではフキなんかじゃ私の心は動かないと思っていたけど、これだけ大きなものを見せつけられては私も興味を抱かずにはいられない。すぐ近くまで来てみるとさらに大きく見え、直径60cmはありそうだ。 

 「大物ここに見つけたり」としてやったりな顔をして私はその手を根本の茎に掛けた。


 フキを両手で引き抜いて、持ち上げるとまるで傘のようで、ついつい葉の部分で頭を覆ってみたりなんかしてしまった。これってきっと誰しも一度は通る道だよね。

 まぁこれだけ葉っぱがでかくても葉の部分は食べないんだけど、茎も多少なりとも他より太めではあるし、良い収穫かな。

 私は近くなってる大きなフキ続けて3本抜き取った。

 そして手がいっぱいになってからはじめ気が付いた、山菜を入れるはずのカゴをリール村に置いてきてしまっていたのだ。

 私は慌ててリール村に引き返していくと、途中で学生鞄を背負った学校帰りと思われる子たちに出くわしてしまった。

 私の住むルーブル村には学校施設がなく、ルーブルの子供達は皆リール村の学校に通っているのだ。

 学業は子供とって強制的に受けなればならないものではないが、税金で運営されてるため学費は無料となっている。従って子供達は普通、学校に行くのが当たり前になっている。


 私は学生とすれ違う時にフードを深めに被り、視線を下げてやり過ごそうと歩いていると、ほとんどの学生が素通りしていく中、一人の私と同じくらいのメガネを掛けた女の子が私に喋りかけた。


 「あれ?あなたルーブル村の子だよね?」


 「え?ご、ごめんなさい」

 私は動揺し一度足を止めたが、すぐに彼女を振り切り逃げるように走り出した。


 すると何かに足を取られたかように、私は勢い良くつまずき転んでしまった。


 男子グループの一人が私に意地悪をして、走り去る私に片足を伸ばし私の足に引っ掛けたのだ。

 私は地面に叩きつけられ、一体何が起きたのか理解出来なかったが、足を掛けた男子がケラケラと笑うのを見て、ようやく理解した。


 「大変、大丈夫!?」

 メガネの女の子が転んだ私の元に駆け寄り「怪我はない?」と心配してくれた。

 彼女の手を掴み立ち上がって、開口一番に彼女に『ありがたう』と声を掛けてあげたかったけど、現実は未だにケラケラ笑う男子に感情を逆撫でされ、私は居ても立ってもいられなくなり、その男子の目の前に歩いていき、鋭い眼光で睨みつけてから、思い切り振りかぶってそいつの顔にビンタしてやった。

 田舎道に乾いたパンっと大きな音が響いた。


 私は仕返しはされまいと彼女にお礼を言う暇もなく、早々にその場を逃げ出した。

 だが実際は足を掛けた男の子含め、私を追いかける訳でもなくただ呆然とその場に立ち尽くしていた。


 「あの女、男みてーな奴だな」

 男の子は痛む頬を抑えながら言った。


 「あんたがいけないんでしょ」

 メガネの子が頭を叩こうとしたので、男の子は咄嗟にその手を払いのけた。

 しかしその犠牲として頬にくっきりと浮かび上がった赤いビンタの跡をみんなに晒すはめになってしまった。


 「ぷ」

 メガネの子がそれをみて吹き出すと、たちまち笑いを我慢してた子達が一斉に笑いだした。

 

 「お前ら笑うなよ」

 男の子が怒って言うものの、一度広がってしまった笑いの輪はなかなか収まることを知らず、私も一緒に笑ってやれたなら気分もスッキリしたろうに。

 


 リール村に戻って市場につくとカゴは盗まれることなく、私が置いた場所にそのままあった。私はここまで全速力で走って息が上がりきっており、私はカゴの上にお尻をつけ椅子代わりに外で一息ついた。

 するとさっき野菜買った店の農家さんが「ゼハァゼハァ」と荒い息をあげる私をみて、コップに水を注いで渡してくれた。


 「おじさんお水ありがとう。ご馳走様でした」


 「お嬢さんそんなに走ってなにしたのや、わしゃ熊でも現れたかと思ったわい」


 「熊というより猿ですよ、あんな奴」


 「野郎っ子におちょくられたって所か。まぁそんなに気にすることさねぇ。年頃の男の子は気になる子にちょっかいを掛けたくなるもんや」


 「あれが好意的態度とは思えませんでしたけどね。それじゃ私はそろそろ帰ります、母が心配するので」

 私は立ち上がり、服についた土を手で叩き払い落としてから、カゴの中に買った物の袋も一緒にいれてから肩に掛けて持ち上げた。


 「気をつけてな」


 私はリール村を出て、学生達がいないか慎重に周りを見渡しながらルーブル村を目指した結果、山菜はろくに取れないわ、時間は掛かるわで散々な目にあってしまった。

 でも気が参るのはここから、これだけ遅くに帰ってくるとなるとお母さんにきっと怒られそうで、余計に足取りは重く私にのしかかった。

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