第8話 リール村での買い物
私の名前はエルヤ、ようやく年が2桁に差し掛かったばかりの10歳の女の子だ。
今はお母さんと二人暮しでルーブル村の宿屋にひっそり隠れて住まわせてもらっている。
なんでこんな生活をしているのか、お母さんからは聞いてるが、私は小さい頃の記憶をあまり覚えていない。
お母さんが言うには小さい頃、私達は竜と一緒に暮らしており、私にも竜の血が流れてるっていうんだ。だから命を狙われてると。
なんだか突拍子もない話で今でも何かの間違いなんじゃないかって思ってる。だって私はどっからどう見たって普通の女の子だもの。
竜ってどんな姿なんだろう?やっぱりとっても大きいのかな?
お母さんはかけがえのない家族で、竜の名前をリップって呼んでた。私の首に掛けられた笛もその竜から貰ったらしい。
何せ吹けば竜が現れるっていうんだ。1度本当に来るかどうかお母さんに試していいか聞いたことがある。その時はお母さんにこっぴどよく怒られたものだ。これは本当に身の危険を感じた時にだけ使いなさいって。身の危険か、そう言われると使わないで済むことを切に願いたいな。
私はお母さん見送られ宿屋の入口の扉を開いた。
私はポケットに財布を入れ、肩には樹脂で織り込まれたカゴを掛けてルーブルの外を目指した。
お母さんは目立たないようにと私にこの紺色のワンピースを用意してくれたが、こんな大きなカゴを肩に掛けてるもんだから、村を歩いていると振り返る人さえいてちょっと恥ずかしかった。
村から出ると人はまばらで住民からの視線もほとんど気にならなくなった。
道なりに進んでいると昔よく遊びにきていた花畑がみえた。何の花かは分からないけど黄色い花が眩しいくらいに咲いている。
小さい頃は一面の花を見るだけで楽しめていたが、今は食べられる山菜の方が100倍嬉しいや。これが山菜だったらなぁと逆に花畑をみてがっくりきてしまった。
だって道端になってるのは雑草ばかりで、山菜を見つけたと思えば、なってるのは珍しくもないフキが時折生えてる程度。まぁないよりかはマシと私はフキを摘みカゴの中へ入れた。
そのまま山菜取りでワクワクすることもなく気付けばあっという間に隣町のリール村についてしまった。
リール村は農業事業が盛んで見渡す限り畑ばかりで、今の時期はキャベツやピーマン、ジャガイモ、アスパラ、ズッキーニ等が栽培されてる。
出稼ぎの場としても有名で近くの村から収穫時になると、こぞって力自慢の男達が働きにやってくるのだ。
村を歩いていると土で顔、手、足が汚れてる人がそうだ。
私はフードをしっかり手でおさえて極力目立たないよう市場へと向かった。
市場につくと脇にカゴをおいて、お店のバスケットに夏野菜のピーマン、ジャガイモ、アスパラの一通りを入れると、私は最後に山積みになったキャベツを1つずつ手に取り品質の良いものを選定していった。納得出来るもの品を見つけ出すとキャベツもバスケット入れ、農家の人に会計をしてもらった。
「これお願いします」
「全部合わせて700ミラだね」
私は財布からお金を払いお釣りを農家から受け取った。
次に鮮魚店を訪れ、鮭の切り身を4つ買い600ミラ支払った。
お母さんから2000ミラ渡されたので、残り700ミラも余ってしまった。
このまま返すのも損した気分になるので、何かいい店がないかと探し回っていると「モー」と動物の鳴き声が聞えてきた。
この鳴き声をする動物といえばあれしかない。声のなる方へ足を運ばせるとそこには首輪を付けられた牛さんがいた。
どうやら新鮮な牛乳を頂けるお店みたいだ。お店の看板にはリリベルと書かれてる。
ルーブルからここまできて喉の乾いたことだし、私は牛乳瓶を1つ200ミラで購入することにした。
その場ですぐに瓶の蓋を開けミルクを頂くと、ミルクはキンキンに冷えており、いつも飲んでるものとは違い濃厚でコクがあってとても美味しかった。
お母さんにも是非飲んでもらいたいと思いミルクを飲み干してから、もう一瓶買おうと思ったが、少し考え直し夕食の時に私ももう一度飲みたいと思い。二瓶購入してしまった。
これで残金は100ミラ、我ながら上手に買い物出来たんじゃなかろうか。
買い物も済んだので私はルーブル村に戻るため来た道を引き返して行った。
この回を境にエルヤ視点での物語となります。




