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第4話 別れ

 「リップこっち」

 私が手を振るとリップは開いた窓から顔を出し言った。


 「アサ一体何事だ?こんな夜更けに」


 「エルヤを連れて自宅から少し離れて欲しいの。ルヴィーさんが子供達を狙ってる」


 「それでアサお前はどうする?」


 「私はカイトに加勢する。二人を置いてはいけないもの」


 するとエルヤが私を掴む手を強め、か細い声で言った。

 「ママわたし一人じゃ嫌」


 「エルヤ」

 泣きつくエルヤに私が困っているとリップが言った。


 「アサ、エルヤの言った通りだ。エルヤ一人では私の背中にずっと掴まっていることは出来ないだろう。アサも一緒に来るんだ。カイトはなんと言ってるんだ?」


 「ハルは自分が守るって」


 「なら決まりだな、早く俺の背中に乗れ」

 窓から外に出るとエルヤを抱き直し、エルヤを抱いたままリップの背中に跨った。


 「エリヤお母さんにしっかり捕まってなさい」

 片手でエリヤを抱き、もう片方の手でリップに巻かれたベルトをしっかり握ると、リップが翼を広げて空に飛び立った。

 少しだけ自宅から距離を置くつもりだった。しかしリップはトルーカの村出ても尚スピード上げて更に村から離れよれようとした。


 すかさずにリップに問いかける。

 「ちょっとリップどこまで行くつもり?何もここまで離れなくても」

 私の言葉にリップは目を鋭くし、とある現実を私に突きつけてきた。


 「アサ忘れたか?奴は竜になれるんだぞ。その危険性はアサお前にも分かってるはずだ。

 竜の力は村を一瞬にして壊滅させる力を持っている」


 「それじゃカイトとハルは?」


 「……」

 リップは私から視線をずらし口をつぐんでしまった。


 「リップ今すぐ戻りなさい、二人を置いて逃げるなんて私には出来ないわ」

 私は声を張り上げリップに言ったが、非情にもリップは私の言葉を聞き入れてはくれなかった。

 そして次の瞬間トルーカ村に次々と大きな火柱が音を立て、立ち上っていった。

 

 「そんな……」

 赤く染まるトルーカに私は、これが現実だと受け入れることが出来なかった。

 

 「ママ今の何の音?」

 エルヤが不思議そうに私に言ったが私はエルヤの視界を手で塞いで言った。


 「エルヤ見ちゃだめ、あなたは目を閉じてなさい」

 エルヤは私に叱られたと思ったのか元気を失った声で「うん」と返事を返した。

 これでいいの。こんな小さなエルヤに心の傷をつくってはいけない。あなたは何も悪くないのだから、罪悪感を背負うのは私だけでいい。

 

 「リップこれからどうするの?」


 「追手がこないようトルーカから相当離れる必要があるな」


 「分かった。場所はあなたに任せるわ」

 リップはそれから2時間以上時間をかけてユーレン大陸の北部にあたるローレル山岳地帯に降り立った。


 「エルヤ到着したわよ」

 エルヤに声をかけ、私はリップの背中から降りるとリップが私に言う。


 「アサ下に村が見えるはずだ。あそこならお前達を受け入れてくれるだろう」


 「ルーブル村ね」

 その村は私がよく知る村だった。カイトと共に旅をしてる時に訪れた村だった。当時川までのルートが離れており、水を運ぶのに相当苦労してたようで、リップの力を借りて大きな井戸を掘ってあげたら、村人は大変喜んでいた。

 自然に溢れた村で故郷であるエルモを思い出させる素敵な村だ。


 「直接ルーブル村に行けば良かったのに」


 私が言うとリップは神妙そうな顔し、ゆっくりは私に語りかけた。

 「アサ私はここに残る。ルヴィーがエルヤを狙っているのなら、竜である私がいれば、奴らは噂を嗅ぎつけて必ずここへやってくるだろう。君達に迷惑は掛けられない」


 「リップごめんなさい、あなたに辛い思いをさせてしまって」

 私はリップを抱きしめて言うとリップはこれまでの私への感謝の言葉を述べた。


 「アサにはこれまで沢山の愛をもらってきたよ。これからはエルヤにその愛を注いでやってくれ」


 「ありがとうリップ」

 リップ額に口付けをして離れると、リップはエルヤに視線を向けた。


 「エルヤこちらにきなさい」

 私はエルヤを地面に下ろし、エルヤの肩をそっと押すとエルヤはリップの前に駆け寄った。


 「エルヤ、君にお守りをあげよう。もし自分の身に危険を感じたらこの笛を強く吹くといい。私がすぐにエルヤの元に駆けつけよう」

 リップが小さい白い笛をエルヤに差し出した。しかしエルヤ戸惑った様子で笛を受け取れないでいた。


 「エルヤ、リップからのプレゼントよ、受け取りなさい」

 私がエルヤに声を掛けるとエルヤは戸惑いながらもリップから笛を受け取った。


 その日はもう既に深夜を回っていたのでルーブルには行かずに、私達は茂みを見つけるリップの身体に持たれながら眠りつくことにした。

 リップは大きな翼を布団ように私達の身体を覆ってくれて、それがとても温かった。

エルヤはすぐにイビキをかいて眠りついたが、私はリップとこうしてゆっくりいられるのも最後だと思うと、中々眠りつくことが出来なかった。

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