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第3話 襲撃

 「ただいま」

 私は玄関の扉を開き言うと、カイトが大急ぎでこちらに駆け寄ってきた。


 「アサどこに行ってたんだ?心配……その人?」

 カイトがルヴィーさんを見るなり一瞬顔色を曇らせた。


 「ルヴィーさんよ、覚えてる?」

  

 「ああ」


 「広場で見つけたの。ずっとなだれていたの、何日もご飯食べてないのかもしれない。元気出るまで家に置いてあげましょ」


 「奴は俺達の敵じゃなかったのか?」

 カイトはルヴィーさんのことを誤解しているようで、家に入れるのを拒んだ。


 「大丈夫、あの時のことは既に和解してるわ」


 「そうかならいいんだ」

 その表情からカイトは100%納得した訳じゃなかったが、ルヴィーさんを家に置くことを許してくれた。


 「ハルとエルヤは?」


 「まだご飯を食べているよ」


 「そっか、ルヴィーさんこちらへ。カイトも手伝だって」


 「ああ、分かった」

 私とカイトで左右からルヴィーさんを支ええ、リビングの椅子まで運んでいく。


 「ルヴィーさんここで座って待ってて今料理を持ってくるからね」

 子供達は二人して見慣れないお客に不思議そうな眼差しを向けた。


 「この人だぁれ?」

 声を上げたのはハルだった。エルヤははじめこそルヴィーさんに興味を示していたが、緊張からかルヴィーさんに目を合わせないようにして、今は料理にがっついている。


 「ルヴィーさんは昔のお母さんの知り合いでね、命の恩人でもあるのよ」


 「ふーん」

 ハルはあまり興味がなさそうに返事を返した。


 「だから二人共失礼のないようにね」

 私が笑顔でいうとハルは「うん」と返事を返し、エルヤは返事こそなかったが、大きく何度も顔を縦に振った。


 私は一度キッチンに戻ると、フライパンに残った魚のムニエルを皿に盛り付けて、ルヴィーの待つテーブルに戻ってきた。

 「はーいどうぞルヴィーさん召し上がって下さい」


 「ううう」

 ルヴィーさんはテーブルに俯き、具合悪そうにうなだれていると、カイトが私に言った。


 「アサこれお前の分じゃないのか?」  


 「いいのよ、私は後で残りものを食べるから。だから遠慮しなくていいですよルヴィーさん」


 「うん」

 ルヴィーさんは頷き、なんとか料理に手を付けてくれた。食欲がない訳じゃなくて私は安心した。ご飯さえ満足に食べれればきっとすぐに元気になってくれるだろう。


 「ルヴィーさん一体何があったんですか?あなたは竜の世界にいたはずなのに」

 私の問いかけにルヴィーさんは手を止めて私に言った。


 「思い出せない、思い出そうとする頭が痛むんだ。何か嫌な感じするんだ、誰かがずっと私に問いかけてるような」

 ルヴィーさんは身体を震わせ何かに怯えているようだった。それが何かまでは分からないけど、それがルヴィーさんのトラウマになってるのは確かだった。

 私はこれ以上ルヴィーさんを刺激しないように優しく声をかけた。


 「すぐに思い出そうとしなくていいですよ。ゆっくりここで傷を癒やしていきましょう」


 「ありがとうアサ」

 ルヴィーさんはそう言い、料理を食べ進めた。  



 「カイト、エルヤがご飯食べ終わったから私寝かしつけに行ってくるわね。ハルとルヴィーさんのことお願いね」


 「分かった」


 「行こうエルヤ」


 「うん」

 私はエルヤと手をつなぎ、リビングを後にすると二人の子ども部屋に行く前に、洗面台に立ち寄った。


 「エルヤ歯を磨きましょうね。自分で出来る?」

 エルヤに歯ブラシをもたせると、エルヤは一人では不安そうだったが、お母さんの期待に応えようと「うん」と頷いた。

 

 私が近くで見守る中、エルヤは一生懸命手を動かし歯を磨いていたが、あろうことが1分もしないうちに「ママ終わった」と私に告げてしまった。


 「えらい早く終わったわね。最後はお母さんがチェックするわよ」  

 そう言いエルヤから歯ブラシを受け取り、磨き切れてないであろう奥歯をしっかりとブラシで汚れを落とした。

 

 「これでよしとコップで口をゆすいで」

 口に溜まった泡を吐き出してもらってエルヤに水の入ったコップを渡して、エルヤは口をガラガラとならし水でゆすいだ。


 「良くできました」 

 エルヤを頭を優しく撫でるとエルヤはにっこりと笑った。


 「よし、それじゃお部屋でおやすみしよ」

 エルヤに手を差し出すエルヤはほっぺを膨らませ顔を横に振って「だっこ」と私にせがんだ。


 「もうエルヤったら甘えん坊さんなんだから、ほら」

 私がしゃがみ込み、腕を広げるとエルヤは私の胸に飛び込んできた。


 エルヤを抱いて子供部屋に向かっていると不意にエリヤが私の耳元で呟いた。

 「ママあの人、何か嫌な感じがするの」


 「あの人?ルヴィーさんのこと」


 「うん」

 エリヤを子供部屋のベッドの上に下ろすと私はエリヤに分かるように説明してあげた。


 「エリヤ、ルヴィーさんのことを悪く言っちゃ駄目よ。確かにルヴィーさんは身長がデカくてママより怖く感じるかもしれないけど、人を見かけだけで判断しては駄目、ルヴィーさんは良い人だわ」

 ルヴィーさんの身長は女性にしては大きく170cm以上ある。エルヤが怖がるのも無理はないかもしれない。


 「エルヤ分かった?」  


 「うん、ママ」

 エルヤが返事をするとリビングから突然皿が割れたような『ガシャン』という音が聞えてきた。それも一つだけではなく重なって割れたような大きな音だ。

 私はエルヤを置いて、カイトとルヴィーさんがいるリビングの様子を見に行った。


 「なにごと?」

 リビングに行くとルヴィーさんが剣を抜き取り暴れており、カイトが必死にルヴィーさんを抑えつけていた。

 ハルは泣き出しその場でうずくまっていた。


 何が起きているのか私が混乱しているとカイト私に叫んだ。

 「アサお前は来るな。こいつの狙いはハルとエルヤだ。お前はエルヤと共に安全な場所に逃げろ」


 「ハルは?」


 「ハルは俺が守る、だから早くいけ」


 「分かったわ」

 カイトに言われるままに、私は子供部屋の戻ると大急ぎでエルヤをベッドから持ち上げた。


 「ママどうかしたの?」

 驚くエリヤに私は言った。


 「ここから逃げるのよ」

 私は子供部屋の窓を空けて、リップを呼び込むとすぐにリップが駆けつけた。

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