能力取得、確定職業(?)
聖堂に転移者の俺を連れて来た時点で、何となく察知していた。
俺は、これから能力を授かる。
転移した時点で、授かる能力は職業で確定。
恐らく、付与される能力ランクはこう分けられている。
Sランク:伝説職業・時空間能力
Aランク:職業・特殊能力
Bランク:回復能力
Cランク:強化能力
クレスト副団長からの話だと、こんなところだろう。
転移者は例外なく職業が付与されるといった。
恐らくだがこの世界における役割、転移された意味が付いてくる関係から職業となるのだろう。
ダークウルフの突然変異、街の異常事態のタイミング考え、俺に付いてくる職業のランクは伝説級に違いない。
Sランクの職業【勇者・剣聖・賢者】等の活躍場面を妄想しながら、護衛団の副団長であるクレストへ問いかける。
「状況は分かった。早速だが能力を授けてもらおう。」
そう問いかけると、クレストが叫ぶ。
「予言の転移者だ!神官アルゴールをこちらへ!!」
クレストが聖堂入口の方へ声を届けると、先ほど俺達が入ってきた入口から、よぼよぼなじいさんが入ってきた。
「ほっほっほ。これまた頼もしい青年が転移してきてくれたもんじゃ。どれ、女神様より早速授けてもらうとするかのう。」
じいさんは俺の目の前まで来て、尋ねる。
「青年、名を教えてくれるかの?」
「月島光司だ。」
ふむ、と呟いた後ひと息吸い、始める。
「我が名はアルゴール=レイザ、創世の女神ウェクティア様より付与の能力を代行行使する者。今ここに、世界の壁を跨ぎ転移された者、ツキシマ=コージへ女神様より能力を1つ、授けるものとする。正しき力の使い方で能力を行使し、この世界をあるがままの姿へ導くのだ。」
神官の持っていた杖の先の宝石が輝きを放つ。
放たれた輝きは一直線に俺へ向かい、ぶつかった瞬間にまた、無機質な声が脳内に響く。
ーオルタナティブアークより能力付与を確認。エクストラスキル【女神の加護】は消滅し、能力【しじゅうしん】を獲得しました。ー
ツキシマ=コージ
資格区分:転移者
能力名:しじゅうしん
効力:???
能力の付与は終わった。
神官アルゴールは俺に向けた杖を降ろし、次は右手を俺にかざす。
どうやら能力付与は神官としての代行能力。
鑑定スキルがアルゴールの能力のようだ。
「付与は終わった。コージ殿の能力は【しじゅうしん】となる。」
しじゅうしんってなんだ?
伝説かどうかは置いとくとして、職業なんだよな?
クレスト副団長、アルゴール神官両方を見て反応を確認する。
「転移者が、強化能力だと?」
「ふむ、どうやらそのようじゃ。」
ーーーーえ?強化能力なの?