20年目の真実
私には記憶がある
人間誰でも記憶はあるだろう
幼い頃の記憶というのは曖昧でよく覚えていないこともあれば、一言一句覚えていることもある
でも3歳未満の記憶は幼児期健忘といって忘れてしまう人がほとんどだ
私の1番古く覚えてい記憶は幼稚園年中の頃、トイレに並んでたら前の子が我慢出来なくておもらしをしてしまい、先生が慌てて世話をしていたという記憶だ
それ以外は親にあの頃はこうでねって言われたけどちっとも覚えていない
そんな幼き記憶も歳が経つにつれて忘れてきている
小学生の頃は鮮明に覚えていた記憶も、大人になると昔の記憶なんて曖昧なものだ
中学になったある日テストで悪い点を取った時、親が怒ってまた叩かれると思った
ビクッと体を震わせて目を瞑って親から目を背けた
そしたら母が言ったんだ「何してるの?」って
私は応えた「また叩かれると思って」って
そしたら親が『1度も叩いたことなんて無かったじゃない』って言ったんだ
最近、昔に比べて少し叩いたら虐待だと言われる世の中になった。そういう世間にのっとり急に叩くのやめるようになったんだ。そう思った
月日が経ち、テストで悪い点を取っても怒られるだけで打たれることはそれから1度たりとも無かったんだ
確かに母親は言ったことをすぐ忘れがちだし、そんなこと言ったことないわよとよく言う
まぁこれは誰でもそうだろう、言われた側は覚えていても、言った側は覚えていないということはよくある事だ
高校生になって海外に行くことができた。
パスポートは小学生の頃に行こうとして親が作ったことがあった。その時は「私が作っておくから」と写真だけ撮られて手続きなんて見てなかったし、結局海外に行かなくてパスポートも見なかったんだ
高校を卒業したと同時に母親が奇妙なことを言い始めた。「あなたは川から拾ってきたのよ」
そんな何気ない言葉を言ったのは、昔から言われていたけど特に気にもしていなかった、私と母が全然似ていないということについて母と2人で話した時だった
何馬鹿なこと言ってるんだろう?って私は思った。幼稚園児じゃあるまいしそんな嘘に引っかかるか!って
そしたらさ、その数年後に衝撃の事実を知ったんだ。
「お母さんとおじいちゃんって性格全然違うよね」っていう何気ない私の言葉がきっかけだった
お母さんは言った「そりゃ血が繋がってないからね」
衝撃だった。え?嘘だよね?何エイプリルフール?って聞いたもんだよ
嘘じゃないよって真顔で言うお母さんに、今いう?って思ったもんだよ
今更言うくらいなら墓まで持ってっとけよってさ
実はお母さんとおじいちゃんは血が繋がってなかったってことに驚いたけど、私にとっておじいちゃんはおじいちゃんだったし、そんなに何かが変わるってこともなかった
私はなんて返したらいいかわかんなくて、「外見は血によるものが大きくても、性格は育った環境のものが大きいよね」って言ったんだ
そしたら母がさ、「え?よく考えてみて?おじいちゃんとお母さん性格全然違うでしょ?性格も血によるものが大きいよね」って
「へぇ〜、まあ、でも私とお母さんとか性格似てるもんねぇ〜」(納得)みたいな感じで私が返したら
「そうかなぁ〜?」ってお母さんが返すんだ
その時は何にも思ってなくて「そうだよー」って普通に返したものだ
それから数年経って、私も友達と海外に行くことになって、パスポート作りに言ったんだ
私はその日初めて今まで母の言動を思い返すようになった
そういえば数年前、お母さんは、おじいちゃんは自分が養子だってことに気づいたことに気づいてないって言ってた
じゃあ、おじいちゃんに言われたわけじゃないならどうやって知ったんだよって思ったさ
お母さんは言った、パスポート作りに行った時、手続きしたら養子って書いてあったからだって
おじいちゃんはお母さんの子供の頃、そうだな...幼稚園くらいの頃かな...は知らないはずなのにお母さんに子供の頃はこうだったあーだったって話してたって言ってた
そこで思い返すんだけど、自分の小学生の頃の記憶をどれほど鮮明に覚えているだろうか?
特に小学校低学年や幼稚園の頃
正直に言おう、私は小学校3年生からの記憶はしっかりあるがそれ以上前は曖昧だ
所々覚えていることもあれば覚えてないないこともある
幼稚園に至っては覚えてないことの方が多い
子供の頃の記憶でも運動会や発表会のようなちゃんとした事は覚えていても、叩かれたなんて記憶は正直いつの事だった覚えてない
つまり、何が言いたいかと言うと小学校の頃叩かれていたと思っていた。でもそれは幼稚園の頃の記憶だったかもしれない。色々な記憶が混ざって嫌な記憶と嫌な記憶が合わさってテストで叩かれていたと思っていたかもしれない
よくよく思い返してみれば小学生中学年くらいから叩かれた記憶はなかったような気もする
子供は嫌な記憶、怖かった記憶は残るという
が、時には記憶を消し去り、いい記憶に変えることもあるんだという
フィクションなのかノンフィクションなのかはご想像にお任せします
血の繋がりが全てではありません。
肝心なのは愛情だと思います