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4・郵送と忘却

「ふう。そろそろ暑くなってきたですねー」


 もう七月の中旬になり、季節はすっかり夏です。

 最近は朝や夜の気温も高くなり、一般的には寝苦しい時期となってきています。

 まあ、私は寝たい時に寝れる体質なので、特に困っていないのですが。

 困っているのはむしろ――。


「あー、暑い!はやく冬になってくれ!」


 私の隣にいる、薄着なのに汗だくの彩ちゃんでしょうか。

 彩ちゃんは極度の暑がりで、暑いのがすっごい苦手なので、気の早過ぎる事を叫んでいます。


「でも、あと四、五ヶ月は掛かりますよ?」

「分かってる!分かってるけど!」


 彩ちゃんは毎年この時期になると、同じ事を言い出して、私に同じ様に返されて、同じ事を言い返すのを繰り返しています。飽きないんですかねー?


「あ、そういえば……」


 ごそごそと机の引き出しを漁って、少し厚みのあるノートパソコンぐらいの小箱を取り出し、机の上に置きます。


「ん?どうした、それ?」

「一昨日ぐらいに届いたんですけど、届いたのが朝の登校前で、何の荷物か確認せずに仕舞って、そのままだったんですよね……えっと、差出人は……『株式会社ルーマー』……?」

「え、それって!!」


 差出人を聞いた彩ちゃんが、飛び上がって驚いた後、ずずいっと身を乗り出してきました。


「彩ちゃん、知ってるんですか?」

「知ってるも何も、FPFを開発した会社じゃん!それじゃあ、もしかして!」


 えふ・ぴー・えふ?

 ああ、三月ぐらいに彩ちゃんに頼まれて応募した、ゲームの名前でしたっけ。


「玉藻、はやく開けて!」

「わ、分かりました?」


 彩ちゃんが妙に積極的です。どうしたんでしょう?

 それはそれとして、まずは開けてみましょうか。

 外側を包んでいる紙を外すと、中には封筒と大きめの箱が一つ、小さめのケースが二つ入っているのが見えました。


「やっぱり、FPFの正式版!送られて来たんだ!」


 そのケースに描いてあるロゴを見た彩ちゃんが叫びました。あんまり騒ぐと近所迷惑ですよ。

 それにしても、正式版?

 あ、そうだ。確かホームページに、『βテストに当選した人には正式版もお送りします』とか書いてあった気が……これがそうなんですね。


「でも、ソフト二つありますね?それに、これってハードですか?」


 ロゴが書かれており、恐らくソフトが入っていると思しいケースは二つありますし、大きな箱は最初に送られて来たハードの箱にそっくりです。


「さあ?その封筒に何か入ってない?」


 彩ちゃんに言われて、封筒を開けて中身を確認しました。

 中には、文章が書かれた紙が一つ。

 内容は、『βテストの協力ありがとう!正式版を送ったよ!もう一つハードとソフトを送ったから、友達にでも渡して、ゲーム人口を増やしてね!』みたいな事が、丁寧かつ堅い文章で書かれていました。


「へえ、そういう事か。でも、どうする?俺用にはもうあるし、玉藻の友達にゲームやる奴いないだろ?」

「それもそうだよね……あ、良い事思い付きました!」

「…………なんだ?」


 あれ?彩ちゃんがすごく警戒した様な目を向けてきてます。どうしたんでしょうか?


「私もFPFやります!」

「お、おお、そうか。良かった……今回はマシな部類で……で、どうしてだ?」


 むう。発言の途中の部分が何か不本意です!その言い方だと、私の思い付きがすごく変な物みたいじゃないですか……!

 まあ、それは今はいいです。


「私、彩ちゃんから色々と話は聞くけど、やった事は無かったなかったから、この機会にやってみようかなー、って」

「まあ、いいんじゃないか。FPFだったら俺も教えられると思うし」

「ええ、色々と教えて下さい、彩ちゃん!」


 よし。そうと決まったら、ホームページとか掲示板とか色々と見て、勉強しなきゃ、ですね!


やっと次の回でゲームを始められそうです。

本当だったら、最初の二回で事前の色々を終わらせてゲームを始めるつもりだったはずだったのに……どうして二倍も掛かった……。



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