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12・零の街と虐殺の始まり

今まで投稿した部分でカッコの統一性がなかったので、

【】…職業、アイテム、モンスター 《》…スキル、魔法 〈〉…地名 『』…メニュープレート関連 ””…二つ名

に統一します。そうなっていない場所があったらお知らせ下さると嬉しいです。

 視界の白さが収まると、そこはもう先程の草原ではありませんでした。

 ……というか、これとほぼ同じこと、さっきチュートリアルに行く時も思ったような……。

 それはともかく。

 私が現れた場所は、煉瓦造りの建物が周囲を取り囲む、石畳で舗装された広場でした。中心には綺麗な噴水もあります。

 いかにも中世ヨーロッパ風、って感じですね!

 中世ヨーロッパになんか行ったことないので、本当にこんな風だったかは知らないんですけど。

 そしてなによりも……とにかく人、人、人!

 ギュウギュウ詰めになって動けないほどではないですが、圧迫感を感じる程度には人ばっかりです。

 それは少しゲンナリさせてきますが、それ以上に気分が高揚していきます。

 だって、その光景がすごくリアルなんですから!

 人々の足音や騒めき、表情が鮮明に感じられて、ともすれば現実ではないかと錯覚しそうなぐらいリアルで。

 しかし、彼らの中には獣人がいて、エルフがいて、ドワーフがいて。それがここをゲームだと教えてくることで出来上がる、現実的な非現実というシチュエーションが、テンションを爆上がりさせていきます。

 人々がVRゲームにはまる理由の一端が分かった気がしますね!

 広場の外縁には出店のようなのが多く出ていてそれらも興味を引きますが……それよりもまずは、狩りでしょう!

 せっかくチュートリアルで大砲の扱いを学んだわけですし、それを活かさなければ、ですよね!

 メニュープレートを出して『マップ』項目を開きます。

 『マップ』では文字通り地図を開けますが、普通ここの地図を埋めるには実際にその場所に行くか【~の地図】というアイテムを買って取り込むしか道はありません。

 今の所この広場以外行ったことのない私が見ても意味のないように思えますが、最初からここ、〈始まりの街 カヌル〉とその周辺だけは地図が埋まっています。まあ、初心者用の迷子対策ですね。

 それによるとこの広場は北にあるらしく、一番近くのフィールドは北門から行ける〈爽風の草原〉ですね。

 それでは、モンスター討伐にレッツゴーです!




 そうしてやってきたのは、地平線の先にかすかに見える森の手前まで延々と続く草原です。その名前の通り、爽やかな風が常に吹いて、生い茂った草むらや花々を揺らしています。先程までいたチュートリアルの草原を思い浮かべますねー。


 〈始まりの街 カヌル〉からは、四つのフィールドに行くことが出来ます。

 北門から行けるここ〈爽風の草原〉以外は、南門からは〈散岩の麓〉、西門から〈緑光の森〉、東門からが〈照陽の荒野〉です。

 街を挟むだけでまったく違う環境になるのは、さすがゲームといった所ですね。

 これらは、初心者向けのイージーモードであり、入門編みたいなモノ、らしいです。

 出てくるモンスターもそこまで手強くなく、戦闘のチュートリアルと呼ばれているとかなんとか。


 草原には、そこかしこにプレイヤーと思しき人達がいました。

 【ホーンラビット】とか【ウルフ】とか、いかにも序盤の敵!といったモンスターがポップはするのですが、そういう人たちが我先に、と狩っていってしまうので、まったく戦えません。

 これは、もう少し先に進んで人がいないところに行かなくてはですかね?

 それに、こんなに人が密集していたら流れ弾が怖くて大砲を撃てませんし。



 そうして歩くこと10分程度。やっと人があまりいなくなりました。

 数人はいますが、それでも十分気を付ければ誤射することもなさそうです。

 という訳で、大砲を取り出して。


「よっと。《リロード》」


 最初に出した時のように大きな音を鳴らしながら出現したそれを持ち上げ《リロード》で弾を込めます。


「ふむ……あ、いました!」


 周囲を見渡すと、10メートル先に新しくモンスターがポップしたのを見つけました。

 見た目は先程も見た【ホーンラビット】に似ていますが……色が違いますね。

 【ホーンラビット】は白い毛並みだったのに、こいつは鈍い光沢を持った灰色をしています。

 名前は……【アイアン・ホーンラビット】?

 【ホーンラビット】の上位種、ですかね?先に行き過ぎたせいで少し強い種類がポップする場所まで来てしまったみたいです。

 しかし、事前に調べたモンスターにこんなのいなかったはずなんですけど……。

 まあ、別にいいですよね、なんでも!

 ちょっと強かろうと、私の大砲の前には敵ではありません!多分!

 砲口を【アイアン・ホーンラビット】に向けて、チュートリアルでの経験から角度を微調整して……。

 ふふ、この距離なら外しませんよー!


「ファイアーッ!」


 叫ぶとともに引き金を引くと、轟音とそれなりの反動に襲われ、砲弾がまっすぐ鉄角兎(略しました。毎回言うの面倒なので)に向かっていきます。

 ここまでは、最初に撃った時と同じです。

 しかし、その結果までは同じではありません!


「キュッ……!?」


 迫る砲弾に気付いた鉄角兎ですが、時すでに遅く。

 砲弾は鉄角兎にぶち当たり……爆発四散させ、そのまま向こうに飛んでいきました。


「よし、初狩り成功です!……です、けど……なんか……達成感がないですね……」


 私、遠くから一発撃っただけですし。一撃で死んじゃったので、バトルした感がないです……。


「……あ、レベル上がってます。それも一気に3つ」


 種族レベルも職業レベルも、両方とも4になっています。いくら私がレベル1だったとしても早い気がしますね。やっぱり上位種(多分)を倒したからでしょうかね?

 アイテムもドロップしています。えっと、【アイアンインゴット】と【アイアンホーンラビットの耳】ですか。

 うーん、良いものなのか悪いものなのか判断できません。

 やっぱり付け焼刃の知識では駄目ですね。こんな時彩ちゃんがいてくれれば……。


「あ、そういえばチュートリアル終わったってメールしてませんでした」


 できれば彩ちゃんと一緒にプレイしたいですから、チュートリアル終わった報告と一緒に、今どこいます?合流できますか?と添えて、送信っと。

 それじゃあ、返事がくるまでもう何体か倒しましょう。そうすれば達成感も感じられるはずですし!


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