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11・チュートリアル後編

 ズドン!バァン!ドガン!


 見渡す限り続く、爽やかな風が吹き抜ける草原に、その場に似つかわしくない重低音が響き渡ります。


「《リロード》《リロード》《リロード》」


 ドバン!バァン!ドォン!


 《リロード》を唱える、引き金を引く、《リロード》を唱える、引き金を引く、それを砲口の向く先を微妙に変えながら延々と繰り返します。


「《リロード》《リロード》《リロード》……あ、SPがなくなりました」

「はい、どうぞタマモ」

「ありがとうございます、ステラちゃん」


 後ろで見守ってくれていたステラちゃんが、黄色い液体の入ったガラス瓶、【チュートリアル用スタミナボーション】というSPを完全回復してくれるアイテムを渡してくれます。


「もうそろそろ砲弾もなくなるころでしょ?はい」


 渡されたそれを飲んでいると、また【チュートリアル用砲弾】×100を譲渡してくれました。これが何度目かはもう分かりません。


「ありがとうございます、ありがたく貰いますね……《リロード》」


 ドバァン!


 そうしてもう一度草原の先、ある程度の間隔を空けてランダムに並び立つ木の人形たちへ砲口を向け、引き金を引きました。



 え、私が何をやっているか、ですか?

 そんなのもちろん、チュートリアルに決まっています。

 大砲を撃ち始めてから、もう4時間以上経っています。

 それでもチュートリアルを終えていないのは、大砲の扱いに納得がいっていない、ただそれだけです。

 最初の訓練場で人形を撃つのは、1時間もすれば10発中8発は当てられるようになったのですが、その後に始めた、今もやっている遠くの的を撃つのに納得いっていないのです。

 こちらは10発中5発程度しか当てられていません。

 ちなみに、この草原はステラちゃんが作っていました。ああ、ステラちゃんいわく、作っていたというより、もともと設定してあったのを出しただけ、なんでしたっけ?

 あと、一緒に遊ぶ予定だった彩ちゃんには、チュートリアルが長引きそうだから自分だけでプレイしていて、とメールを送ってあります。

 事前登録で彩ちゃんとフレンド登録できていたのは良かったです。


「でもタマモ。始めて4時間でそれだけ当てられるの普通にスゴイからね?遠くの的に当てるにはいっぱい経験をし続けて、長い年月をかけて少しずつ出来るようになっていくものなのに、もう半分の確率で当てられるんだから」


 そう言ってステラちゃんが苦笑しています。

 そういうもの、なのでしょうか?


「うん。だから、もうそろそろチュートリアル終わって、世界に行ってもいいと思うんだ。ここでずっと撃っているよりも、冒険しながら学ぶ方が良い経験を出来ると思うしね」

「……それも、そうですね」


 確かに、ステラちゃんの言葉は一理あります。

 ここまで当てられれば、最初のフィールドのモンスターぐらいは多分倒せるでしょうし、私がFPFを始めたのは遊ぶためです。それなのにそれをしないのは間違っているというものでしょう。


「分かりました。私、チュートリアル終わって、本格的にプレイ始めます」

「うん、それが良いよ」


 それじゃあ、大きくて人混みでは邪魔になる大砲は仕舞って、っと。

 これで、いつでも大丈夫ですね。

 大砲の後にやる予定だった《闘鬼化》や《索敵》の体験や採取のやり方なんかは、撃っている途中の休憩で終わっていますし。

 その時やったチュートリアルで一番驚いたのは、ステータスの実感ですね。

 なにせ、金属製のフォークが片手でぐにゃりと曲げられたんですから。

 普通にしている分には特にステータスは発揮されないみたいですが、意識的でも無意識的でも力を込めた時なんかは十分に発揮されるようになるらしいです。その結果がこれですね。


「じゃあ、チュートリアルはこれで終わり。あとは君が思うままに世界を謳歌してね。それが、世界のためとなるから」

「はい。色々とありがとうございました、ステラちゃん」

「ううん、こちらこそ。じゃあね」


 そう言ったステラちゃんが眩しく光りだし、その光に飲み込まれて視界が白く塗りつぶされました。


チュートリアルが終了。

次からやっとゲームが始まる、はずです!

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