頼れる人たちがいて良かった(ラジオを除く)
ノーマとヒロは、円卓会議に参加していた。
老舗のギルド、ザ・サマーのユウトは、ニコニコしながら話を締めくくった。この円卓会議は放映されていて、ヒロが出席しているときは、視聴率がグンと上がる。
「ドワーフたちと交渉するときは、土竜に橋渡しを頼んだ方が良いようですね。そのうち技術供与してもらって、海の中で船を作りましょう。ヒロ君、ノーマさん、ありがとうございました。今日の円卓会議は、ここまでとします」
イベンターのキートンが、OKサインを出した。映像は、ここでOFFになった。キートンが、ニコニコでやって来た。
「ヒロ君の出演は、予定になかったのに、最後は、76%まで視聴率が上がったよ。みんな、話を聞きつけて戻って来たんだね」
「水晶洞攻略は、どう見ても、Lvが100ないと無理だ。ギルマス、無茶するなー」
ブルーブルのホーンがあきれていた。しかし、ファングとハイネの話が聞けて嬉しそうだ。
「地下都市アルテバロンには、酒場があるのよね。今度、名前を聞いといてね」
吟遊詩人の鏡花が、雷竜の町グランにある旅人の酒場に続いて、酒場発見と喜んでいた。
「それで、何で急に、ジオイドに訪ねて来たんだ」
ラジオが貧乏ゆすりをしながら腕組みする。なんかヒロから、金儲けの匂いがするとでも言わんばかりの突っ込み方だ。
ヒロとノーマは、その辺を打ち合わせていた。
「本当は、燐魚族のミリアさんを訪ねて来たんだ。食事をご馳走になるんだ」
「前からお邪魔するって言ってたのよ」
「火海牛ムロの時の話ですよね。ミリアさんから聞きました」
「この間、出演してもらったからね」
ユウトもキートンも納得しているのに、ラジオは、まだ、なんかあるんじゃないかと、顔を歪ませる。
どのみち、ミリア率いるアマゾネスにも付き合ってもらって、城まで送って貰うので、これから行くのだ。
「ラジオは、ミリアさんに会いたいのか?ついて来てもいいけど、アマゾネスの対応は自分でやれよ」
「アマゾネス!。いや、世話になりっぱなしで頭が上がらんからいい」
燐魚族は希少種。こちらから訪ねて行こうとすると、戦士のアマゾネスたちでさえ、魚人たちに守られていて、アマゾネスの所に行くにも一苦労する。
「それで、円卓会議の方は、何か新しい情報がありますか」
ヒロは、ラジオにしてやったりと、少し気分が良くなって、話題を変えた。
MSIのコウが、答えてくれた。コウは、パグーの詳細地図を作っている人。
「海底都市ウラヌスの詳細地図が完成しました。後で、コピーしてください。でも、ガクガッカイが気になることを言ってきましたね。城から迷宮に入る通路は、一つだと教えられていましたが、別の経路があるんじゃないかというのです」
「隠し通路ですか?」
「隠し部屋も含めて研究中です」
「そりゃすごいが、城の前にすらいけないんだぜ。ヒロ行ってくれよ」
ラジオだとそう言うと思った。
「そのうちな。優先順位があるだろ」
「分かっているさ。シンの住処調査だろ。摩周湖か、おれをそこに連れていけ」
「さっき話しただろ。湖の水自体に毒性があるんだ。最低でもLv30無いと入れない。人魚の召喚獣をゲットしなよ」
「だよなー。商売が順調なもんだから、みんなに追いつかれそうなんだ。そろそろ、レベル上げしないとな」
ラジオは、眠眠と同じクンフー使い。
「そうでござるよ。人魚のクンフー使いもなかなか良いではござらぬか」
「オダさんは、今、レベル幾つだ」
「21でござるよ」
「20越えしたんだ」と、みんな尊敬のまなざしを送る。
「何事も精進でござる」
オダは、戦闘ギルド戦場河原のギルマス。ずっと海王の道場に通っているし、ウラヌスで作業とか仕事と称して修業をしている。
ネット放映のオープン会議後のクローズドの会議。主要メンバー会議も、ヒロへのデーター引き渡しぐらいしかなかったので、早々に解散になった。
ノーマが、MSIのマシューから地図を受け取っている間に、ヒロは、ここにいる最重要人物と話し出した。当然、ラジオが退室してからだ。
クラフターというサブ職業は、とても特殊で、ロードオブ召喚獣で、クラフターになれたのは、ヒロも含めて6例しかない。
鍛冶屋ギルド、ライカのギルマスであるバップと、女性で唯一人のクラフター、み鈴である。この二人が、レベル60まで上り詰めてくれたら、また、クラフターになれる。特殊なアイテムを生成できるのである。
「バップさん、み鈴さん、どうです。レベル上げは、進んでいますか?」
バップは、ヒロと同じく剣士。み鈴は、ウィザード。クラフターは、希少なので、ジオイドの円卓会議をあげて、二人のレベル上げを応援している。
「オダさんが、道場に行こうって誘うんだけど、剣士は防御職だろ、み鈴と一緒の方がやりやすいんだよ」
「そうね。私って攻撃主体でしょう。私もそう」
「やりやすいやり方でやったほうがいいと思います。それで、ちょっと聞きたいんですけど、クラフトしたアイテムって、オーナー制ですよね。誰でも使えるようにできるものなんですか」
「オーナー制と言っても、制作者は、使えるじゃない。できるかも」
「無理だよ。ライトボードによって、俺たちがクラフト空間を出しているんぞ。クラフト空間の仕様が変わらない限り無理じゃないか」
「そうだけど、可能性はあるわよ。自然発生しているクラフト空間の中なら、パブリックってことでしょう。できるんじゃない」
「物質が融合して変化するような空間の中だぞ、それがあったとしても、誰が行ける。よしんば、俺らが大丈夫だとしても、そこに行く手段がないだろ」
「惑星上に有ったら行けるじゃない。歩いて行けばいいのよ」
「すいません。最高シークレットの話をしていいですか」
「どうぞ」
「俺たちだけか?」
「そうです。自然に噂が広まるようにできるんだったらやってみてください」
二人とも、そう言う面倒ごとは、大嫌いな方。
「聞くのを止めよっか」
「そうだな」
「ちょっと待ってください。誰にも言わなきゃいいじゃないですか」
「まあ・・」
「どうぞ」
「クラフト空間の中で光っている。虹色っぽい光を結晶光って言うんですけど、この光が奇跡を生んでいます。ですけど、シンも生んでいるんです。この光に当たった生物は、徐々に結晶化して、元の生物でなくなります。そうなると、元の生物を恨むようになるんです。だから、あんなに憎悪むき出しで、我々を攻撃する。これが知的生物だと、ロードオブ召喚獣で体験した事件が起こることになる」
「なるほど、腑に落ちる話だ」
「そうね。惑星ジュームの内容と合致するわ」
「シン対策が、まだ終わっていない段階でこの話をすると、面倒なので内緒にしてください。海は、広いし、種族が多いのでまだ対策できていない」
「たけど、それと、オーナー登録と何の関係があるの?」
「それが・・・」
「ここまで言っといて、最後まで言えよ」
「誰でも使えるクラフトアイテムがあるそうです。銀河には、惑星サガも、惑星ジュームもあるんです。シンがいないわけがない。そのシンが、クラフトアイテムを使って惑星を滅ぼしているそうなんです。この話は、パグーでは、大人になるまで話さないそうです。年齢で言ったら16歳。転生者で言ったら、レベル20にならないとだめだと言っていました」
「ロードオブ召喚獣に、ワールドシップがあったぐらいだもんな」
「ちょっと、それって、私たちだけで対処できるの?」
「それで、二人は、どこまで強くなりました? 20ないと詳細を話せないんですけど」
最初の話に戻った。
「二人ともLv18だけど。急がないとな」
「そうよ、詳細を聞かないといけないわ」
「今、オレが分かる範囲で話しましょうか」
「いいえ、いいわ。レベル20になって、フォブさんに聞く」
「海の人達は、結構おおざっぱなんだ。16才以上の全員が、この話を聞けるのなら、もう、俺たちの耳に届いている。ヒロも気をつけたほうがいいぞ」
バップの実年齢は27歳。み鈴が25歳。オレよりずいぶん年上なので、しっかりしている。
「すいません」
「相談してくれて、嬉しいわ」
「ラジオには、まだ、話さなくていいぞ。大騒ぎして、知らなくていい魚人達も知ってしまうからな。その辺は、ユウトに話しておくよ」
ラジオはユウトに弱い。
「お願いします」
なんだか、肩の荷が下りた。円卓会議のメンバーは、ラジオを除いて、とても信用できる。アルテミス迷宮の話も、そのうちできるようになるだろう。もっと、多くの転生者と話さねばと思った。
ノーマは、この話を横で聞いていて、同じ様なことを思った。エルフ王は、父親に、首都星ラクールのシン討伐の話をしていたのに、この件について、未だに親子で話し合ったことが無い。今回自分は、パグーを動かないので、そのせいもあるのだが、ちょっと話をする気になった。




