惑星パグーのある場所
土龍王エドガーの体躯は、ティラノザウルスのように二足歩行できる体をしている。しかし、腕が長く、手も大きいモグラ型で、地中を掘り進むのに適している。頭部は、ティラノザウルスのようなことはない。あごは張っておらず優しい感じだ。
寝るのが好きで、しょっちゅう寝ている。
魔力とテレパシーが強く、地中の中でも、力あるものと普通に話ができ、とても物知りな王様だ。
全員その辺に座って話を聞く。地面は、王が良く踏みしめているせいか滑面で、石畳の様。全く汚れを感じない。
「時限回廊は、創世時代に突然現れた。いまから、七百万年前の話じゃ。そのころ、わしらのご先祖さまは、アウターリムの太陽系、第四惑星の火星に、みんないた。魔法惑星のバースが崩壊したせいで、その姉星のヴィーナスもほろんだ。今から2億4千万年前の話じゃ。その生き残りが、ご先祖さまじゃ。ご先祖様は、2億3千万年も海母さまに守られて、宇宙空間で、冬眠していたそうじゃ。それを後に出現した人族が、起こした。我らのご先祖様と、その人族が混ざって宇宙に進出。これが、銀河の歴史の始まりじゃ」
「フォブ爺に聞かせたい」
「私たちの方が賢くなったんじゃない」
「ラヴィ様、ノーマ様。フォブさんに怒られますよ」 マーナが、釘をさす。
「フォブじゃと。フォブの一族というのは、銀河の歴史だけではなく、魔法時代の歴史もため込んでいる一族じゃ。帽子のような貝殻の中の脳が大きくなるにしたがって、昔を思い出す。銀河の生き字引じゃぞ。大事にせんといかん」
「はーい」
「そうします」
「海母様は、星読み、天体観測の好きなお人じゃ。もう、時限回廊が出現したのを観測しておる。人族は、わしらのご先祖様と交わることによって大繁栄した。銀河に人族が広がった。インナーコムの首都星ラクールが、銀河連邦の中心じゃぞ。そこに、評議会があってな紛争の処理とかやっとる。そこには、魚人族もエルフ族も竜族も加わっておるぞ。それなのに、人族の世界がひどい状態でのう。みんな手を焼いておるんじゃ。その原因が、シンなんじゃ」
「シンって言うのは、陰謀を働くからな」
「シンは、近しいやつに浸食する。何百万年も経っているんだ。とんでもない数がいるんじゃないか」
ヒロとファングは腕組みして、とんでもないことになっていると話し合う。
「それは、そうでもないんじゃ。回廊内にいないと、結晶光がないでな、浸食は進まん。相当、恨みを持っているとか鬱積した精神状態でないと、浸食はせんし、進まん。だから余計厄介なんじゃ。奴ら、隠れて出てこない」
「良かった。じゃあ中央のシンを倒したら、しばらく大人しくなるのね」
「私たちって、シンを探すことができます」
「首都星ラクールに行きたい」
「アリーシャの願いは、そう遠くないうちに叶うと思うぞ。まずは、パグーの地固めじゃ。そうじゃろ」
こりゃ、首都星ラクールに行くしかないかと思う。
「ヒロ!」
「まずは、スーザンに相談だろ。土龍王のお墨付きで、秘密を教えてもらったんだ。聞けば教えてくれるさ」
「はい」
「うん」
「一つアドバイスをやろう。普通、回廊をでると、魔法もアイテムも使えんようになる。じゃが、お前さんたちは、ライトボードを持っているじゃろ。それのサーチ機能が死ぬことはない。なんせ光じゃからな。シンを見つけたら気をつけろ、回廊から出ても使えるアイテムを所持しておる。それで、いくつもの惑星が滅ぼされてた」
「ライトボードのことが分かるんですか」
「お父さんもお手上げだって言ってた」
「バベルの塔の話じゃろ。仁人に聞いた。ロードオブ召喚獣の根幹は、光素体で出来ておる。わしらの霊体の成分で出来たボードじゃぞ。普通は見えんし触れない。こんなものどうやって調べる。三人のマスターか・・・」
「お母さんもその一人だって」
「ナーシャが復活したら、いろいろと分かるじゃろうの」
「私たちの始祖様もそう見たいです」
「そこは納得じゃぞ。エルフの始祖様は、世界を作れるお方じゃと聞いておる。じゃが、魔法時代に行方不明になったそうじゃ。2億4千万年も前の話じゃぞ。実際はありえない話じゃ」
「すいません、敵が持っているアイテムと言うのはどういうものですか」
ファングは、戦闘に特化したギルド、ブルーブルのギルマスだ。戦闘対策に余念がない。
「シバレースと言うたかのう。いきなり火の玉が発生する。例えば、人の体内に火を発生させてみろ。人は、もだえ苦しんで死ぬ。そのアイテムの近くに居たらどこでもそうなる。だから、みんな逆らえなくなる。そうやって、シンは、恐怖政治を敷くのじゃ」
「シバのことですかね」
「でも点攻撃だろ。人の腹で発火して悶えさせるぐらいの火力しかないんだろ。だから、初期魔法だろうけど」
「分かるんか」
「見ます? 点攻撃のアイテムじゃないですけど」
ヒロは、クラフターになる前は鍛冶屋だった。自分の作った物は、保存している。ライトボードを出現させ、シバを取り出した。
「これが!!!。使って見せてくれ」
「ファングさんが受けてください」
「おう」
ファングが、アックスを出して構えた。
「ファイア」
ヒロが銀色の流線型をしたタマゴに取っ手が付いているようなシバをファングに向けてファイアを発射した。小さな火の玉がファングを襲う。
ボン、ボシュ
ファングは、アックス陣を使うまでもなく簡単にこれを受け止めた。
「見事。これをその、なんじゃ。点攻撃にできるんか」
「暗隕石は時空の石だろ。暗隕石と融合させたら出来るんじゃないか。ヒロはクラフターだ。作れるだろ」
「出来る気がします」
「なんじゃ、暗隕石とは」
「惑星ジュームの生体ロボットの戦艦を落とすとドロップするんです」
「そうですね、敵の武器は知っているほうがいい。作ってみます。攻撃系の魔法が少ないから、アリーシャが持つか」
「そうしたい」
アリーシャがヒロの前に出た。クラフターは人を見る。
ヒロはアリーシャをイメージして、ライトボードを出した。シバと暗隕石を並べて、その触媒になる炎結晶をだした。
「クラフト、融合」
ヒロの目の前に大きな融合空間が現れ、そこに素材アイテムが飲み込まれた。炎の魔法アイテムシバと、暗隕石が混ざり合う。
「よし」
ここで、融合触媒になる炎結晶を融合空間に投げ込んだ。中で、炎が舞い上がり空間の中は、真っ赤に火の塊のようになった。
融合には、少し時間がかかる。土龍王は、この融合空間の中に発せられている結晶光を感じて畏怖の念で、その場を凝視した。
炎が晴れてきた。ヒロは、融合空間に手を突っ込んで、銀色の魔法アイテムを取り出した。
「おおっ」
三人の召喚獣たち以外は、クラフトを初めて見る。みんな目を見張った。
「ちょっと流線型かな。タマゴ型ですね。取っ手がなくなったけど、点攻撃だから関係ないのか」
「アイテムサーチさせて」
アリーシャの職業は、観測者。アイムの鑑定も得意。
「シバレース、マファイが撃てる火炎系アイテムよ。私の名前も入ってる。嬉しい」
「シバレース?。名前もそのままだな。ファングさん、もう一回お願いします。アリーシャ頼む」
「うん」
「いいぞ」
「腹の中が焼けるんじゃぞ、いいのか」
「見ていてください」 平気そうな顔をするファング。
「マファイ」
ファングは、自分が居るポイントに、違和感を感じて1歩引いた。そして、アックスを回す。アックス陣だ。
ボガン
「ジャストガード」
ボフン
「キッツイな。中級の火炎攻撃だ。俺は、まだレベル20になっていないんだぞ。手加減してくれ」
「手加減するやり方が、分からないです」
「アイテムですから手加減は無理ですよ。でも、さっきの話だと火力は、初級以下でしたよね」
「ちょっと待て、腹の中で、爆発しなかったぞ。それになんじゃあの光は、結晶光ではないのか。その空間に手を突っ込みよって。大丈夫なのか」
「マファイは、点攻撃ですから。火の玉が出現する空間のゆがみを感じたら、その場からのければいいんです。でも爆発する。実践向きの攻撃ですよね」
「ファングの話は納得じゃ。それにしてもあの光」
「結晶光です。オレは、結晶光耐性があるみたいです」
「アイテムとアイテムが、融合するんじゃ。結晶光に違いない。ヒロは、その空間を発生させることができるということか」
「そうなりますね」
「ヒロみたいな職業をクラフターと言います。ロードオブ召喚獣でも希少な人材です」
「ヒロ、私にも何か作って」
カエラは、実力で戦いたくない人。じゃないと全身鎧化して、着ている服が焼け落ちてしまう。
「カエラさんは、防具の方が先ですよ。ノーマ、後で打ち合わせな」
「OK」
土龍王は、ガブを呼んで、アリーシャのシバレースを解析させた。
そこに、ジャスミンがやって来た。
「まだ、難しい話をしているのかい。いいから、居間においで。ヨーコ、みんなに挨拶するのよ」
「ヨーコです」
可愛い、ドワーフの女の子がぺこっと頭を下げた。ヨーコの胸には、ウラヌスシェルが掛けられていた。




