土龍王の寝床
ジャスミンと土龍王の家は、水晶洞地下100階層にある。土龍王の面倒は、全部ジャスミンが見ている。ジャスミンは、土龍に成らなかった魔力の強いドワーフだ。
「土龍には巫女が一人つくんだよ。私しゃあ、この人の巫女だったんだ。まさか結婚することになるとはねぇ」
「わしが人形の時に出会いたかったな」
「そうでもないだろ。子供を持てた」
全員、土龍王の背中に乗って地下100階層を目指す。
「ドワーフと土龍じゃぁ、生態が違うだろ。子供は、あきらめていたんだ。ところが、この人が、ベロニカ様に頼んでくれた。まさか、この年になって子宝に恵まれるなんて思わなかったさ」
「ジャスミンさん、お子さんがいるんですか」
ハイネが興味を持った。
「まだ幼体だけどね。土の中で眠ってる」
「もう、人形まで成長しているんだ」
ファングも相槌をうつ。
「二人とも、ヨーコの友達になっておくれ」
頷く二人。
「女の子なんだ」
「ラヴィも、友達になっておくれ」
「うん」
「わしらは運がいい。ジャスミンの魔力が強かったおかげもあるんじゃが、ベロニカ様の力が、ずいぶん戻っている証拠じゃ」
「また、シン退治にその力を使わせたくないねぇ。頼むよ、ヒロ、ファング」
頷く二人。
「シンのことなんですが、同じことを聞いて悪いですけど。アリーシャと、ノーマにも聞かせたい」
「あんた」
「そうじゃのう。エルフ十賢人が詳しい。この銀河には、時限回廊が3つ存在する。その中に、惑星サガもジュウムもパグーもある。この回廊の中は、時空が無茶苦茶での、その中心に、結晶光を発している星雲がある。これが悪さもするし、恵ももたらしておる。この星雲があるから、人族が、回廊に入ると、使えない魔法やアイテムを使えるようになる。要するに冒険できるようになるんじゃな。じゃが、ここに長くいると、結晶化して、それも最後は、炭素生物とはいえん生き物に変化するんじゃ」
「人がいるんですか。会いたいです」
「ヒロは、パグーで唯一人の人なの」
「パグーは、銀河協定で、外部者を入れないことになっておる。ベロニカ様が休んでおられるということもあるが、ここのエネミーは強すぎるんじゃ」
「そうだねぇ、ファングは雷竜の子供だろ。この子でも、人から言ったら超人だよ」
「分かります」
ファングは現在レベル18、ハイネが15。ロードオブ召喚獣で言うとレベル10で、達人の域に達する。それ以上は超人としか言いようがない。
そんな話をしているうちに王の間に着いた。王の間は、そんなに明るくないのだが、キラキラした岩石が全体を覆っており、まるで、星空の中にいる様だった。ハイネは、「まるで茶室の宇宙ね」と、言っていた。今度、教えてもらいたいと思う。
「うちの子は、この奥にいるんだ。ちょいと起こしてくるね。あんた、食事の準備もするから、みんなの相手をしてあげて」
「お、おう」
土龍王は、王の座にドカッと腰を据えた。今日はワインを飲めて大満足の日だった。
「さて、続きじゃ」
「ちょっと待ってください。ノーマとアリーシャが、復帰サインのコールを鳴らしているんです。親に断って、ここに来れるようになったんじゃないかな。呼びますね」
「アリーシャ、ノーマ、バトル召喚」
二人が、新緑の葉っぱとシャボンを舞い上がらせて現れた。
「アリーシャは、家に帰っていないでしょう」
「ノーマの家に泊まるって言ってきたわ」
「私はヒロに呼ばれたって、朝食は、向こうで取れるって言ったよ。さっきのBOS戦のことはちゃんと報告したし、ドワーフと仲良くなるのはいいことだってお母さんが言ってた」
ノーマの家は、ラヴィとヒロがいるカナン山南の町グランのリナの屋敷と時差が12時間ずれている。現在カナン山は夜の7時。ノーマの家は、朝食前。
「食事の人数が増えたな」
「私が、ジャスミンさんを手伝うわ」
ハイネが、奥にいるジャスミンの元に走った。
「あれっ、ラヴィさま。アギラスを倒したんですか」
がうっ?
ホップによっかっかて寝ていたカエラが、ごそごそ起き出した。
「カエラ、起きた?」
「ドリュウ王様よ」
「しゃんとして」
「おはようございます。美味しいワインでしたね」
「まったくじゃ」
あちゃー、まだ夜よ と、マーナとサファイは思うのだが、土龍王が無礼講だと宣言して、ガブガブ、ワインを飲んでいたので、ここに非礼は一つもない。土竜族の生活形態が、他の竜族と違い過ぎるのだ。
サファイは、土龍王の話をしっかり聴く。マーナは、カエラに事の経緯を話す。全員土龍王の話を聞くことになった。




