アリーシャの父
「さあ、土龍王様に謁見ね」
「エルフ族で、土龍王を見た人は、ほとんどいないのよ」
「ごめんな、土龍王は、王の間にいないんだ」
「多分酔っぱらって寝てる。でも、一度に7体の土龍を見れると思うよ」
はてなマーク一杯のノーマとアリーシャ。ヒロとラヴィに付いて20階層のドワーフの地下都市に戻ることになった。
ドワーフの中央公園は、一見、ドワーフの死体累々と言った感じで、皆石畳の上で寝ている。女の人は、土龍に寄っかかって寝ているし、土龍の中には、大いびきをかいている者もいるのだが、みんな平気みたいだ。
その中で、ディックとサファイは、船を見に行っていたので、まだ元気。ファングとハイネとマーナは、ラヴィ達を心配して、起きていた。カエラは、ドワーフたちとご同輩。ホップが介抱している。
「本当、だらしないね」
ジャスミンは、あれだけ飲んだのに、顔色一つ変えていない。夫の土龍王は、撃沈。いびきをかいて寝ていた。
ガオン
ラヴィ達の波動に、ホップが反応した。
「なに、これ。ドワーフの人達、全滅したの?」ノーマがあきれる。
「ワインにな。二人とも、一杯ぐらい飲んでもいいぞ」
「いい匂い」
「お酒だよ。一度に飲んだら悪酔いするってヒロが言ってた」
4人は、「疲れたー」と言う感じで、のこのこやって来た。
「ラヴィさま」
サファイが、駆け寄る。
「四人でアギラスを倒したのかい。すごいね召喚士って言うのは」
ジャスミンは、アギラスの実力を十分知っている。簡単な相手ではない。力だけではない。数でも押してくる相手だ。
「何べんも死にそうになりましたよ。普通に謁見してほしかったです」
「しただろ。それで、そこの二人も婚約者かい。可愛いじゃないか」
女の人って・・・・
「土龍王の奥さんのジャスミンさんだ」
「ノーマです」
「アリーシャです」
「で、どの子と結婚するんだい」
「三人とです」
「そうなの」
「初めて聞いた」
「エルフは大丈夫よ」
「水竜王に言われたんだよ。誰にするか決められないんなら、三人共だと言えって。じゃないと、いらない諍いが起こるそうだ」
「なんだ」
「でも、そうかも。うちのお父さん、ぶつぶつ言ってる」 海王のこと。
「お父さんか・・」
「ごめんアリーシャ」
「なんだ、ノーマ」
「なんだい、知らないのかい。アリーシャは、父親と会ったことが無いんだ」
「ジャスミンさん。お父さんを知っているんですか!」
「知ってるさ。私たちに船を注文したのが、ホリナーだからね。自然と一体化した弓矢を放つイメージの船を作れって言うんだよ。無茶苦茶だ。サジタリウス号は、元気なんだろうね」
「サジタリウス号は、現在、パグーに戻っています」
サファイが神妙な顔をして話す。
「サファイ、何か知ってるの。知っているんだったらアリーシャに教えてあげて」
「それが・・・」
「私が話すんなら、秘密もへったくれもないだろ。この子たちは、アギラスを倒したんだ。それに、ヒロは、いい男さ」
「ジャスミン様・・」
「俺たちも聞いていいかな」
これにファングとハイネが加わった。
「うちの子とその旦那だからね」
「私もいいですか。ノーマは、私の妹弟子なんです。三人のことは知っておきたいんです」
マーナもその場を動かない。
「仕方ないね。いいかい。銀河は、シンの脅威にさらされている。最前線で戦っているのが、ホリナーだよ」
「お父さんが!!!」
「エイブラハムが、未成年にこの話をしないのは、ベロニカ様が弱っておられるからだよ。勝手なことをして、もし、エルフがシンに浸食されたら、それこそ、大問題だ。今までは、ウラヌスシェルが、無かったんだからね。うちの子供たちと同じように危なかったんだ」
エイブラハムは、エルフ王。ベロニカは、エルフの始祖。
「はい・・」
ラヴィとノーマは、アリーシャの父親のことをヒロに相談しようと思っていた。だけど、シンと戦っていると聞いて、ただ事ではないと身構えた。ラヴィたち3人は、ゲームとはいえ、もう、3年もシンと戦っている。これが、現実になったとわかった時点で、覚悟は決めていたのだが、ジャスミンの話は、惑星パグーだけで済まないと言っているのも同然だ。
「首都星ラクールの元老院に、シンがいる。でも、尻尾をつかませてくれないんだ。だから、迂遠な方法で銀河を守らなくっちゃいけないだろ。ホリナーは、そこの最高顧問だ」
「惑星サガと惑星ジュウムが存在しているんだ。そこからシンが広がっても不思議ない」
ファングが腕組みして、ジャスミンの話を肯定する。
「ジャスミン。わしが寝ているうちに、面白い話をしておるようじゃないか」
土龍王が、目を覚ました。
「起きたのかい。ヒロの勝ちだよ」
土龍王が参ったという顔をした。地底怪獣アギラスが勝つと思っていた。
「今作っておるのは、サジタリウスの後継船です。サファイさん、いかがでした」
エルフに頼まれて船を試作している鍛冶屋のガブが、急ぎだと土竜王とサファイに話しかける。
「素晴らしいです。湖と森をイメージしたのですね」
「王よ、そういう事です。このまま、制作を進めますぞ」
「うむ、ヒロ達の宇宙艇も制作してくれ。そちらを急ぎとする。良いな、サファイ」
「良きように」
オレの頭を飛び越えて、何やら、いろいろなことが決まっているようだけど、どうなっているんだ。
???。
そんな顔をして、ジャスミンを見た。それに気づいたジャスミンが大笑いした。
「アハハハ。ヒロは、アリーシャの父親に会いに行くしかないだろ。なんせ、婚約したんだ」
今の言い様で、全部分かったような気がする。首都星ラクールのシン退治をしろと言うことだ。それは、受けるしかない。
「アリーシャ、今日は、帰れ。ノーマも。オレたちが詳しく聞くよ」
「ライトボードの通信は、オープンにしとくね」
二人は、新緑の葉っぱとシャボンを舞い上がらせて家に帰った。
ヒロとラヴィは、「とにかく何か食べたいです」と、ジャスミンに訴えた。




