帰る道
ロード・オブ・召喚獣は、人が、特殊な召喚獣と契約して敵と戦うアクションRPGだ。対象の惑星は、そこに住む生物に結晶核が芽生え、悪の意識に侵されて、自滅の道を辿ってしまう。更に、呼び起こしてはいけない巨大生物や、龍が闊歩する世界。プレーヤーは、その、惑星の滅亡を救うというストーリーの中でプレーする。海の惑星サガと生体ロボット惑星ジュームの滅亡を何とか防ぎ、次は、惑星パグーという、新たな章に入ったところだ。このゲームで、はっきりしていることは、最終ボスは、一人で倒せる相手ではないということだ。これが、現実になるのだとすると大変だ。先が思いやられた。
「ヒロさんは、こちらに」
スーザンは、そう言って、家の天体観測所に案内した。ここに望遠鏡はない。しかし、中央に大きな立体ホログラムが投影されており、その宇宙空間の映像が、とてもロマンティックな雰囲気を醸し出していた。
「ここは、宇宙の共鳴波長を受信する天体観測所です」
「望遠鏡が、ありません」
「ヒロさんの時代でいうと、そうですね、私達が住んでいる木が、パラボラアンテナだと思ってください。そうしたら、光以外でも観測できるでしょ」
ヒロは、この部屋を見回した。
「聞いてもいいですか」
頷くスーザン。とにかく座ってと、椅子を勧める。
「自分は、いったい、いつの時代から、ここに来たのですか」
「遙か過去です。知的創世の時代と私たちが呼んでいる時代からです」
「ピンときません」
「あなたは、どの種族にもなれる素体だと思ってください。人類は、いろいろな種族に進化して、宇宙に広がった。進化に必要な時間が、とても長いのは、分かるでしょう。あなたは、最初の人、人族です」
ゲームと同じだ
「では、ここは、何百万年も未来ということでしょうか」
「惑星の周期は、まちまちです。地球暦は、もう誰も知りません。でも、今の話で、実感できました?」
「はい」 そう言うしかなかった。
「アリーシャのおかげで、知的創世時代の歴史が紐解かれています。時間は、掛かりますが、アリーシャが答えを見つけるでしょう。あなたのことも、少しですが、報告されていたのですよ」
「おれのこともですか?。。創世の時代。覚えておきます」
「私も質問していいですか」
ヒロが頷く。
「森の北に出現した町は、ヒロさんの世界の町ですか」
「そうです。自分同様、この異変に巻き込まれました」
「ですが、彼らは、私たちと同じエルフです。間違い様がない波動を発しています」
「そうかもしれません。スーザンが言うように、我々がなんにでもなれるのなら、そう言うことです」
「それにしても、信じられません。彼らと話をさせてください」
「助かります。まちに、シャロンというエルフがいます。彼は、自分の知り合いです。彼がいいと思います」
「分かりました。呼びかけてみましょう。数が多すぎるので、戸惑っていました。それより、驚かないでくださいね。2万人ほど転移していますが、人として創世の時代から来たのは、ヒロさん、あなただけです」
「自分だけですか」
そうか、バベルの塔は、3階部分まで残っていた。転生システムは、90階より上だろうから、真っ先にやられたのだろうが、ベースシステムまでは、バグらなかったんだ。人族は、ログアウトできた。でも、なぜ、オレだけ
ラヴィたちが頭をよぎる。
「あなたの波動は異常に強いです。何人もの人が、あなたを感じているでしょう。さて、今度はあなたのことです。家に帰りたいですか」
「帰りたいです。でも、もし、この世界が、ゲームと同じだとしたら、これからパグーは、未曽有の災害に見舞われることになります。ゲームだと、まず、好戦的なエネミーが悪の意識に侵されます。それが惑星全体に広がって、自滅の道を辿ってしまう。」
「多分その災害は起こると思います。私たちは、元々、惑星サガの住人でした。なぜ、結晶核を持ったエネミーや人が現れるようになったか、お教えしましょう。でも今は、ヒロさんのことを伺っています」
「帰れるんですか」
「正しくは、此処とヒロさんの世界を行き来できるようになると思います」
「詳しく聞かせてください。結晶核のことについてもお願いします」
「ヒロさんの時代。創世の時代に、この災害を無くす鍵があるように思います。こちらこそ、ぜひ、話を聞いていただきたいです。実は、結晶核を持つエネミーは、創世の時代から、発生するようになったようなのです」
「そんなことは、エネミーもいませんし」
「では、これから発生するのでしょう。やはり、何とかしなければ・・・。ロードオブ召喚獣には、闇魔法がありますか?」
「ありますけど、自分は剣士です。魔法は使えません」
「そうですか。闇魔法の中でも欲しい魔法は、次元を操る魔法なのですが、それができる者は、パグーにはいません。あなたが、頑張るしかないでしょう。海底の廃墟ウラヌスに、アルテミス王宮遺跡があります。この地下ダンジョンは、重力が強烈で、誰も立ち入ることができない迷宮です。ここに闇魔法を得るきっかけだ有ると思います。行ってみますか?」
「それが、先に進む道なら、そうです」
スーザンは、にっこり笑った。
「では、燐魚族のマイアに会いなさい。きっと助けてくれます。でも、先にラヴィとノーマのお父様に会わないとね。あなたにとって、召喚獣は切っても切れない関係なのでしょう」




