地底怪獣アギラス1
ラヴィと穴の底に降りて、ドアが二つあることに気づいた。ここは、アギラスを倒したら通れるようになる通路なのだろう。開きっぱなしになっているのが、土龍王が居る王座。反対側の閉じたドアが、アギラスがいるBOS部屋だ。とりあえず、ノーマとアリーシャを呼んだ。
バックドアから、BOS部屋に入るなんて、初めてだ。
「ノーマ、アリーシャ、バトル召喚」
ノーマがシャボンとともに、アリーシャが、新緑の葉っぱとともに現れた。
ぎゃう!
「そうだね、ラヴィ、バトル召喚」
ラヴィが炎を舞い上げて、人形になった。
「ラヴィ、巫女服着てたんだ」
「ノーマのも人魚の巫女服なんでしょう」
「家が近かったから、着替えてきたの」
ノーマとラヴィが手を取り合ってきゃぴきゃぴして喜んでいる。そして二人は、アリーシャを見た。ノーマとアリーシャは、さっきまで、ジオイド〈人魚の転生者の町〉にいた。
「それで、どうしたの?アリーシャ」
「似合ってはいるけど。しっくり来ていると聞かれたら、首をかしげちゃうかな」
「やっぱり変?眠眠さんが、光耐性があるから、着ろって貸してくれたのよ」
眠眠の服は、ほとんどチャイナ服。眠眠は、格闘家。格闘家でも、モンク〈僧兵〉と対極にあるカンフー。癒しの技はなく、攻撃特化の格闘家だ。手わざが多く、蹴り技が少ないので、足の方は、ちょっと色っぽい。今回アリーシャが着ているのは、赤いチャイナドレスで、スカートは、スリットが上まである。
「いいんじゃない」
「大人っぽーい」
みんなゆるーい感じで、きゃぴきゃぴしていたが、ヒロは、子アギラスであろう風硝ネズミが、以前、惑星サガで戦った相手より、一回りも二回りも大きかったので、気を引き締めていた。
「二人とも、アギラスの話は、聞いたかい」
ノーマもアリーシャも、アギラスと戦ったことが無い。
「エルフの召喚獣を得るための最終BOSでしょう。召喚獣を得ると、ステータス加算が来て急に強くなるけど、その前だから大変だったってアリスさんが言ってた。今回は、竜の召喚獣を得るための最終BOSじゃないから、ずいぶん戦い方が違うんじゃないかって、牛さんは、予想してたけど」
牛さんとアリスは、レディオ商会の幹部。おもに事務方。ノーマは、この辺の四方山話を聞いたところで、家に帰っている。
「大技の広範囲攻撃のリキャストタイムが短いって聞いた。その時は、ヒロの後ろに隠れないと、体力が消耗するって」
アリーシャは、ノーマが帰った後も、ずっと、アギラス攻略の話をしていた。
「そうなの?」
「そうかも」
ラヴィは、以前の戦いを思い出した。アギラスの広範囲攻撃には、ヒロのジャストガードが有効。
「アリーシャは、ガイガイオウのバリアバブル攻撃を体験しているだろ。あれが、けっこう、来るんだ」
「対策は?あんなの頻発されたらかなわないわ」
「対策は、ノーマのウォーターウオールだよ。水の壁を作って、早めに光のバブルを割るんだ。衝撃波も小さくなる」
「やっぱり、ヒロの後ろに隠れた方がいい?」
以前の戦いでラヴィは、ずっとヒロの肩にとまっていたが、今回は人形。ノーマとアリーシャと、同じポジションでヒロの後ろに隠れることになる。
「最初はそうするか。大変だけど、体力が温存できる。アギラスは動きが鈍いんだけど、尻尾や舌攻撃で、結構いい動きするんだよ。結局、足の装甲を壊さないと、弱点の尻尾を攻撃できないんだ。それも、尻尾のクリスタルを割らないと弱点にならないし」
「装甲を壊すんだ」
「大変そう」
装甲を壊すと、それを攻撃させまいと、子アギラスが沸いてくる。
今回、ヒロは、ライトソードで、アギラス戦に臨む。光属性には光属性の剣。
ラヴィは、自分にプロテクトをかければ、アギラスの広範囲攻撃を単独で凌げるので、リベラルに動けるのだが、ちょっと様子を見たい。
アリーシャのエアーシェルは、衝撃波を受けると、隅に追いやられてしまうので、いちいち端まで吹っ飛ばされることになる。みんなの支援をするためには、エアーシェルを解かないといけない場合もある。雑魚モンスターが沸くし、ちょっと苦手な相手かもしれない。ノーマは、ヒロの後ろにずっとくっついているつもり。
打ち合わせの結果、アリーシャがジャスト召喚されることになった。新緑の葉っぱが舞い、マスコットのようなエルフが現れた。これだと、ずっとヒロのジャストガードに守られるので、皆の支援に集中できる。
「みんないいか。行くぞ」
本当は、アギラスを倒してから開くドアを通ることになった。もし撤退する場合は、此処は開かない。正式に入る方のドアを開けて逃げたら、倒していないダンジョンモンスターに襲われる。撤退するなら、早い判断をしないと危険だ。
扉を開けると、とても天井の高い部屋に出た。ドーム状の部屋で、アギラスの広範囲攻撃が、隅まで届くことが分かる。
そのドーム状の部屋の真ん中に、アギラスがうずくまっていた。背中には、大量の大きな水晶。六角柱の水晶が大量に生えている。その水晶が、キラキラ光り出した。
「いきなり、広範囲攻撃?」
「おれの後ろに隠れろ。ノーマ、ウォーターウオール準備」
ノーマの青い髪が、虹色に滲む。
アギラスの背中から光のバブルが広がり、ファーと、広がる。
「ウォーターウオール」
大量のシャボンがヒロの前に現れ、バシャッと水の壁を作った。
光のバブルが、それに触れて、パリンと割れる。そして、ものすごい衝撃波。
「ジャストガード」
こりゃ、ヒロの後ろにいるのが一番ねと、ノーマは思う。
「どうだ、アリーシャ。レベルは?」
「95よ。でも、もし2段階変身したら、それ以上ってこと?」
アリーシャと、ノーマに戦慄が走った。格上の相手だ。
「突っ込むぞ。ついてこい」
4人は、アギラスに突進した。




