ドワーフの地下都市
ヒロは、ワンダの嫁に「ミーネ」と、名付けて、それを憶えこました。憶えたところで、アイテムスロットから、干し肉を大量に出して、ミーネにあげた。これが和解の印だ。
ガロウのリーダー、ワンダを倒したおかげもあり、20階層まで、エネミーに襲われなかった。そして、20階層に入って驚いた。
そこは、ドワーフの町だった。ドワーフは土竜に成れなかった土竜人だ。デューン山には居ないはずで、西北側のガン山に町があるだけだと思われていた。
推測するに、デューン山の地下都市とガン山のドワーフの町は繋がっているということなのだろう。
「土龍王様は、これを見せたかったのかしら」
エルフのサファイが、推測する。
「何だあの光は?」
病み上がりのファングが眩しそうに天井を見る。今まで、ホップの背中に乗っていたが、降りて歩き出した。この高さだと、10階層分が突き抜けている。これは、広大な町である。その町全てを天井の光が照らしていた。
「バルゴの光よ。聖なる光」
さすがにサファイは物知りだ。バルゴの光は、コロニーに使われる光源。一つの都市を丸ごと照らす。
「ごめんなさい。話せるようになってよかったわ」
カエラは、ずいぶん反省していた。ハイネは、もう許していたが、このままでは、彼ができないのではないかと心配している。
「今度から、女性を褒めるときは、気をつけるよ」
「やっぱり、ヒロさんとノーマさんに、服を作ってもらわないとね」
「ごめんなさい・・」
心配されているのがグサッとくるカエラ。
「端切れがあるんだ。何とかするよ」
「よろしくお願いします」
オレなんか、普通に女の子らしいと思うけどなー
カエラ達メイドは、現在同い年だが、学年で言うと一つ上になる。社会人やっているだけで偉いと思う。
「ドワーフの代表がいるだろ。挨拶に行こう」
「彼らの情報は少ないです」
「竜族でもそうです」
「だって、ヒロ」
グワン
「オレは、鍛冶屋だろ、オレが話すよ」
クラフターは、改造屋(アイテム融合や属性変化ができる)。鍛冶屋の上位職。
水晶洞側の入り口には、アルテバロンとある。
町に入ったが、歓迎も阻害もされない。唯一、酒場が騒がしいぐらいで、他の人は、まだ、みんな仕事をしている。
酒場から酔っぱらったドワーフが出てきた。
「なんだお前ら、でかいズータイして」
酒くさー
「おい、にーちゃん。酒持ってるか?」
みんな、このおっさんが、カエラに絡まなくてよかったと思う。
ファングは、ちょっとドワーフのことが分かる。ちらっと、ハイネを見た。ハイネは仕方ないわねと、あきらめ顔。
「ワインならあるぞ。ちょっと舐めてみろ。自家製だ」
「なんだー。ビールじゃないのか。ウィックー」
「ほら、一杯だけだぞ」
この酔っ払いに、ワイングラスを差し出した。
「あ、甘い。ううう、旨い。なんじゃこりゃあ」
「ワインだ。もう、無いからな」
そう言ってワイングラスを取り上げた。ファングの職業は、調理師。ロードオブ召喚獣では、この職業を利用して、ハイネと、よくお茶していた。結婚式の時に、VR空間用のワインも樽で作っている。思った通り、本物が出てきた。ただ、ワインは、今のレベルでは作れない。これ一樽しかない。
「みんな、ワインだ。酒だ。旨いぞーーーーー」
「なんだってーーーーー」
酒場から、どっとドワーフが出てきた。そればかりか、町の至る所からどんどんドワーフが集まってくる。
「ファングさん?」
ドワーフが酒好きだというのは知っているが、ヒロは、こういう、集団心理が良く分からない。
「まあ、ここは任せろ」
「酒くれ」
「ワインくれ」
「増殖魔法が使える奴はいるか。ワインは、一樽しかないんだ。みんな飲めないぞ」
「分かった。何とかする。中央広場で待っていてくれ。皆の衆、わし、ガブが仕切るぞ。ワインは、一樽しかない。何とかしてくれ」
ひどい仕切りだ。最初に出会ったドワーフが喚いた。
「ちょっとそこのあんた。おっきい中の小っちゃい子」
「私ですか?」
「そうだよ。あんた、土竜だね。なんで、よそ者とつるんでいるんだい」
「私ハイネです」
「婚約者のファングです」
「雷竜なんかと結婚かい。いいけど。私はジャスミンさ。中央広場まで案内してあげるよ」
「彼、料理が得意なんです」
リアルでもそうだった。
「酒も自家製ですよ」
「へーーー、いいのを貰ったね」
みんな、貰ったのはファングの方だと思う。
「あのーーー」
ヒロが不思議がって、周りを見回した。
「なんだい?そこの土竜の子と、旦那以外は、話しかけないでおくれ。わたしゃあ、他所者が嫌いなんだよ。!!!!!!おや?あんた!」
ジャスミンが、ヒロに、かぶりついて見あげた。
「ひっ、人じゃないか」
「やっぱり珍しいですか」
「珍しいも何も、生まれてこの方、見たことない。みんな、人だ、人がいるよ」
「なんだってー」と、また、ドワーフが押し寄せてきた。
目立つのが嫌いなヒロだが、逃げ場がない。その辺は、諦めてジャスミンに話しかけようとした。その間も手をつなぐは、なでるわ、肩によじ登るわで、ヒロは大変なことになっていた。
「うわっ、やめろ」
「ヒロ、諦めるしかない」
「ホップ乗せてくれ」
ガオン
ヒロはホップの背中に逃げた。ついでにジャスミンを乗せる。みんなジャスミンを羨ましがった。
「ジャスミンかわれ」
「いいなー」
「うるさいよ」
「すいませんジャスミンさん。ドワーフは、少ないって聞いていましたけど。この町は結構な人口じゃないですか」
「ドワーフは少ないよ。土竜なんてもっとそうさ。だけど、長生きなんだ。普通に外の竜どもを相手にしていると、話が合わなくってねえ。だけど、今日みたいに、新しい酒が来るだろ」
人が来たんですけど・・・
「だから、付き合いがないなんてことはない。なんか作ってくれって言われた時は、ちゃんと出張しているのさ。龍王城を見たかい?」
「はい。荘厳でした」
「私らが設計したんだ。あの建築を指導したのは、ガブだよ」
「さっきの仕切るって言った人ですか」
「そうだよ。そんな感じに見えなかっただろ。あれで、此処じゃあ長老なんだ。私ら、魔法は、あんまり得意じゃないんだ。でも、物作りはすごいよ」
「じゃあ、増殖魔法は、どうするんですか」
「若いのが、土竜を呼びに行ったんじゃないかい。魔力が強いのが土竜に成るのさ。極つぶしも、少しゃあ役に立つときがあるね」
土竜社会が少しわかってきた。
「それよりあんただよ。何処から湧いてきたんだい」
そう言われて、ホップの上で、今までの経緯を話した。




