ガロウ
「みんな、いいかな」
そう言われて、全員ヒロの所に集まった。
「さっきのガロウなんだけど、斥侯だと思うんだ。水晶がいっぱいある明るいところに出たら、集団で襲ってくる。向こうは、混戦が得意なんじゃないか。ラヴィ達は、前衛と後衛に、はっきり分かれるんだ」
ラヴィ達は、ホーメーションを変えた。カエラ、ホップ、ラヴィが前衛。マーナ、サファイが後衛となる。
「じゃあ、私たちが横撃?」
「中核か楽しみだ」
「そう言いたいですけど、ああいうのは、弱いのを狙ってくるんです」
「おれたち囮か」
「そうよね」
「敵を分断するんです。ハイネさんの土煙が効果的だと思います」
ヒロの野良ならではの作戦に舌を巻く二人。簡易の各個撃破作戦が出来上がった。ヒロは、こういうのを一人でやっていた。
ヒロはこの機に、ノーマとアリーシャに連絡を取った。BOS戦は、総力勝負になりそうだ。
「ノーマ、まだ、ジオイドか?」
>ヒロ! 私の用は済んだよ。今は、レディオ商会に来ているの。アリーシャたちが、ウラヌスシェルで、パールを作るんだって。
>パールの核よ、核。真珠の養殖をこれですると、高級品になると思わない?
「ウワッ、儲かりそう。誰のアイデアなんだ」
>眠眠さんよ
「すごいな。それで、アリーシャは、暇になるか。BOSが強そうなんだ。二人とも来てくれないか」
>OKよ
>いいわ。今すぐ?
「まだだ。いま中盤って、ところかな。BOSの小っちゃいのが、おなら攻撃するんだよ。二人がいないと苦戦しそうなんだ」
>私が行かなきゃダメじゃない
ノーマが、そういうのを中和できる。
>分かったわ、後で呼んでね
二人とも、今回のバトルには、参加しない予定だったが、実は、水晶洞という名前に、お宝の匂いが、ぷんぷんするので気になっていた。
「相手はアギラスだ。仕様はサガの時と違うと思うけど、調べといてくれ」
>了解×2
二人とも、大きな声でやる気を見せた。
地下15層に降りると、水晶の明かりで、周りが開けているように見える。植物が生え、小動物もちらほら見るようになった。
ラヴィのパーティの間にいるファングと、ハイネが、ものすごい勢いで、この階層を分析しだした。そのままにしてやりたいのはやまやまだが、多分もうすぐ囲まれる。
「横穴が増えてきました。左右に土煙を巻き上げてもらえますか」
「分かったわ」
「どっちに飛ぶ?」
自分だったら天井だけど、メリハリか。
「サファイとマーナの後ろに出ましょう。ラヴィ達は心配しなくていいです」
「盾役でいいんだな」
「じゃあ、私は、サファイさんの横でいいかしら」
ハイネは、ファングのサポートに徹する気だ。ハイネの職業は、祭司だ。回復呪文に長けている。
「多数のロウガを察知、気をつけて」
サファイの警告。
「お願いします。行きましょう」
「おう」
「土煙陣」
ハイネが左右に土煙を巻き上げた。
包囲攻撃する気だったのだろうが、土煙が、水晶洞の横穴に入り込み、数体のガロウがたまらず外に飛び出した。逆にこれが攻撃の合図になった。だが、こいつらは、攻撃ではなく、土煙を嫌がって出て来ただけだ。しかし、前後のガロウは、オレ達に突っ込んできた。
土煙は一瞬だが、ガロウたちは、横に回り込めないので、真っ直ぐかかってくる。ヒロの狙い通りだ。
アックスを八の字に書きながら振り回しているファングに、ガロウが飛びかかってきた。ファングはレベル違いのガロウに一歩も引かない。しかし、最初の衝突で、体力を奪われる。それをハイネが後ろからホイを打ってサポートする。
ギャフン、ギャフン、ギャフン
後ろだけで、5体か。何体で、襲い掛かってきているんだ?
ヒロは、3匹を瞬殺して、ガロウのリーダーを探す。リーダーを倒すと統率の取れた攻撃は、してこなくなる。
なぜ、ヒロが3匹か。それは1匹、襲ってこなかったからだ。そのガロウは、興味津々な顔をして、ヒロを見ている。
「ハイネさん、一匹、変なガロウがいます」
「彼女は、殺さないで。多分リーダーの彼女か、奥さんよ。サファイさん達にも徹底して。じゃないと永遠と襲ってくるわ」
「エネミーにそんな」
「あるんだよ。エネミーだって子孫を残すだろ。ゲームじゃないと、これが普通だ」
「分かる気がします」
サファイが同意した。
そうかもしれない。あの白っぽいガロウは、リーダーの指示に従わないで自由にしているように見える。
「テリトリーを守っているだけって言うことですか」
「ここには食べ物が豊富にあるわ。縄張りなんでしょ。だからと言って私たちは、力を示さないと、ここを通れないのよ。戦うしかない」
ヒロは、ファングと対峙しているガロウを横から蹴って半殺しにして、中央に戻る。中央は、土煙が晴れて、5匹のガロウが、前2匹、後ろ3匹に分かれて、攻撃態勢をとっていた。それでも、ファングは後ろを警戒して残った。




