バベルの塔メインコンピューター
ヒロ達は、エルフ王に呼ばれ、バベルの塔に向かった。バベルの塔の前には、龍王もいるのだが、ピクリとも動かない。一階にある地下階段の前で、ムシキングと共に擬態で待っていた。ここに、ムシキングの奥さん、ウエンディもいる。
エルフ王に導かれるまま、地下に降りて行くヒロ達。そこに、海王のアギトと神官のイルマが加わった。イルマの目を通して、アリーシャの母スーザンもこれを見守っている。
ゼオは、「よくわからんからいい」と、ついてこなかった。ゼオは、兵士たちを慰労し、みんなで、バロンの牧場で、酒を飲むと言っていた。別の種族人達も一部、これに参戦。カナン山のグランにある旅人の酒場にいるギルドのメンバーは、酒の手配で、てんてこ舞いになった。
バベルの塔地下10階に降りると白い部屋に明かりがともる。何もない部屋だと思われたが、ヒロは、アリーシャに導かれ、中央付近で左手をドラッグすると、超巨大なコンピューターが現れた。
スーザンが、イルマにつぶやいた。
「光素体のコンピューターだわ」
「ええ、私達の技術より進んでいる」
このコンピューターが、どんなものかわかる龍王とムシキングが、コンピューターを見上げて、あきらめの会話をした。
「光か、解析は無理だな」
「操作や仕様の確認はできるだろ。ヒロ君がいる」
「だが、それだけだ。プレーヤーは、プレイできるだけだろ」
「そうだが、そのプレーヤーは、2万いるのだぞ、仕様は、把握しておくべきだ」
「もっともだ、ラヴィ達にも手伝わせよう」
龍王とムシキングの、そんな話をしり目にヒロが、「ヒロです」と言いながら、ID認証システムに触れた。
「ヒロ、ID:major0145725 承認しました。私は、ワールドです。どんなご用件ですか」
「惑星パグーの転生者にお願いされてきました。惑星パグーでは、新しいライトボードが不具合で使えません。復旧するまで旧ライトボードに戻して貰えないですか」
「不具合照合。根本的なハードの欠如。20465の転生者に対して、ライトボードの不使用が認められました。旧ライトボードに切り替えます。ライトボード、使用可能になりました」
「よかったー」
三人の娘たちが喜んでいる中で、ウエンディが、ワールドに、質問した。
「新しいIDの取得は、できますか」
「新規加入の方ですね。申し訳ありません。只今、ベースシステム以外、機能しておりません。復旧するまでお待ちください」
「復旧するのですか」
「マスターがいらっしゃれば、そうです。ですが、宇宙暦499年より接続がございません。今しばらく、お待ちください」
「これが、700万年も前のものなのか」
龍王が驚愕を露わにする。
「では、召喚獣のプレーヤーは、どうですか」
ウエンディは、引き下がらない。
「テストプロトコルは、定員に達しました。今後の予定は、未定です」
「ウエンディ」
デビット〈ムシキング〉が、ウエンディの肩を抱く。ウエンディは、肩を落として、少し震えていた。
「急ぐな。子供たちが答えを出すさ」
「ええ、あなた」
「マスターは、マーレ様ですか」
エルフ王が、エルフ最大の秘密を口にした。
「はい、マーレ様もその一人です」
「ナーシャもそうか」
龍王が、ここで、一番聞きたかったことを口にする。
「はい、ナーシャ様もそうです」
「運営は7人で、その中でもマスターって呼ばれていたのは、3人だよね。もう一人は?」
「すいません。既存の答え以外は、答えられません」
「婿殿、こちらが、答えを用意していないと確認が取れんのだろう」
「その様ですね」
神官のイルマと、スーザンは、エルフ王から出た「マーレ」なる人物のことを話し合いだした。
「エイブラハム、何か知っているのか」
ムシキングが聞く。
「すまない。ベロニカ様に、『話すな』と、言われている。これをヒントにしてくれ」
ここの所ずっと、勘が冴えていたアリーシャが質問した。
「他のメインコンピューターは、正常に動作してますか」
「通信システムがダウンしています。確認できません」
「アリーシャ、このコンピューターが、まだあるのか」
龍王が、まだ、捜査の可能性があるのだなと聞く。
「はい、惑星サガと、惑星ジューム。ワールドシップにあります」
「そうなのか、エイブラハム」
「惑星ジュームは、無い。こちらに来る前に破壊されたはずだ」
「ワールド、そうなのか?」
「そんなことはありません、宇暦6996498年までの確認ですが、ベースシステムは生きています」
「ベースシステム・・・調査してみないと分からない」
「惑星サガとワールドシップは、健全なのか」と、ヒロ。
「はい、やはり、宇暦6996498年までの確認ですが、そうです」
「アギト、惑星サガは、何処にある」
「すまん、フォブ爺に聞いてくれ。アウターリムのキナシステム方面が入り口だ。だが、惑星サガが、どこにあるのかわからない。アウターリムは、広いだろ。だが、人魚族の転換点になった惑星だから、歴史で、みんな学ぶぞ。時限回廊は、インナーコアにも通じている。エルフの方が詳しいんじゃないか」
「承知した」
龍王は、次の目標を発見した。
「ヒロさん、ご用は、お済ですか」
「サイモンさん、いいですか。デビットさんも」
「また、お願いする」
龍王が頷くのを見てワールドに返答した。
「ありがとう、用件は、終わりです」
「今、話された内容は、ヘルプにメモされました。ありがとうございました」
ヒロが、左ドラッグした。コンピューターは、また、見えなくなってしまった。
メインコンピューターの話を受けて、龍王、ムシキング、ウエンディが、話し合いだした。ラヴィがそれに加わる。ノーマは、アギトと、アリーシャは、エルフ王たちと話し合いだした。
ヒロは、ジオイドの代表ユウトに連絡を取ろうとした。しかし、ここでは通信できない。他の全員を、ここに残してバベルの塔を出た。
「ユウトさん」
・ヒロさんですか、ありがとうございます。ライトボード、復帰しました。
「良かったです。なんか騒がしくないですか」
・パグーに来て、初めての快挙ですよ。お祭り騒ぎです。こちらに来て、詳細をお聞かせください
「戦死者が出ました。少しかかると思います」
・そうですか・・残念です。 パグーの人に、良くお礼を言ってください
「そうします。すいませんが、エルフと竜の転生者に、連絡取っていただけますか。こうなった経緯も、話してやってください」
・了解です。ヒロさんたちが、こちらに来るのを楽しみにしています
「できるだけ早くそうします」
タオ平原は、夕方で、赤く染まっていた。
ヒロが、肩の力を抜いてタオ平原を望んでいると、ラヴィ、ノーマ、アリーシャが寄り添ってきた。
「みんな、お疲れさま」
「みんないいなー。私だけ、ドロップアイテム無し」
ラヴィにだけアイテムがドロップしなかった。
「そう言うな」
「ヒロが、何かご褒美あげたら」と、ノーマ。
「何を?」
「ターナ盆地の森林探査」と、アリーシャ。
「カナン山の?」
「ホップの故郷よ。ホップも頑張ったじゃない」
ホップは、アリーシャもノーマも、お気に入り。
「それ、いいかも、私のパーティに加わって」
「聞いたぞ、ガイガイオウに怒られたんだって? 大体、素のレベルじゃ、森林は無理だよ」
「森の外にシシガーの住処を見つけたの。結晶核付きは見てないけど、もう、凶暴になってた。それに、あのときは、ワーウルフが来たから大変なことになったの」
「そりゃそうだろ、ターナ盆地なんだから。わかった、ホップの為だ」
「約束よ」
「ノーマ、ワールドシップって、外銀河を目指していたよな」
「そうだけど、それって現実でどうなったかは、分からない」
「ワールドの言いようだと700万年経ってるから、もう、この銀河には、いないわよ。でも、惑星サガにテレポーターがあれば、行けるんじゃない」
「アリーシャの言う通りかもな。まだ、パグーが平和でないから、ワールドシップは、先の話かな」
「お父さんが、惑星サガのコンピューターを調べるって」
「お父さんも、手伝うって」
「頼むよ。それで、マーレさんって、どんな人か分かったか」
「イルマ様もお母さんも推察しているところ」
「そうなんだ、オレは、なんだか身近な感じがしたぞ」
「エイブラハム様しか知らないのよ、ベロニカ様に聞く?」
「ベロニカ様に到達するのが大変だよ。分かった、イルマさんとスーザンの推察を待つよ」
「ケイおばさんがね、ステーキご馳走してくれるって」
「本当は、ゼオとバロンが祝勝会に来てもらいたいのよ」
「マーナや、サファイやカイラも駆り出されて大変なんだって」
「お父さんたちは、いいのか」
「ゼオとバロンなら仕方ないって」
「うちも」
「はは、ステーキ食べに行くか」
「ヒロは、お酒弱いんだから、巻きこまれないでよ」
3人とも、まだ、バトル召還のままだ。かといって、一度、家に帰ると、ここに来るのが大変なので、このまま牧場に向かうことにした。4人は、タオ草原をのんびり歩いてバロンの牧場に向かう。途中、なかなか来ない4人を迎えに、牧場のカウボーイたちが、毛長牛と一緒に迎えに来た。4人は、急ぐわけでもなく、のんびりとバロンの牧場に向かった。




