表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロードオブ召喚獣  作者: 星村直樹
火海牛ムロ
71/148

空中戦決着

 飛びムカデの赤目は、ワイバーンの翼ばかり狙っていた。それも、攻撃は、前足のみならず、胴体についている足も、それなりに動いていた。東のハガラ将軍の所は、ムロの総攻撃にも加わらないといけない。万全ではない状態で、苦戦を強いられていた。ヒロは、それを助けなければいけない。しかし、ラヴィが、思い切ったことをしたため、急激にMPが消失、追撃の手を緩めることになった。その為、赤目にやられるものが増え、アリーシャのサポートが、追いつかなくなったので、戦死者が出始めた。

 

 ハガラ将軍は、側近に、ムロの総攻撃の指揮を任せて、赤目と対峙することにした。開戦一番、広範囲の火炎で攻撃、火炎波を赤目の頭に吹きかけた。


 赤目は、驚いて、更に上空に舞い上がった。


「ふん、四面楚歌になっても、まだ天空に逃げるところがある。昇龍の古文と一緒だな」

 ハガラ将軍は、古い戦記に詳しい。空を飛べる者は、ここで終わることがないことを知っていた。


 ハガラ将軍が、赤目を飛び越して昇り、上空から押さえつけようとする。赤目には、硬いニードルのようなしっぽがある。下から攻めるのは得策ではない。


 ガシンとぶつかる両者。


 赤目は、口の鎌で鋏もうとしたが、ハガラ将軍に、ヒロのように押し切られ、ガクンと地上側に押し戻された。


 ギギギギギギ


 赤目は、地上に落ちるように見せかけて、体を鞭のようにしならせ、しっぽ攻撃をする。上空から、ハガラ将軍の頭上に、ニードルの影が落ちる。


「己の影を踏めば、敵の影も見える、だ」

 ハガラ将軍は、後ろにも、横にも逃げないで前進した。後ろのニードルは、飛びムカデの、体の関節が曲がる限界に達したため、それ以上、ハガラ将軍を追うことが出来なくなった。


 むき出しになる胴体。


 ハガラ将軍は、遠慮なく、この胴体を縦割りした。


 ギギーーーー ギギン、ギギン


 赤目は、胴体の足で、ハガラ将軍を絡めとろうとする。その一本を切り落として、上空に逃げるハガラ将軍。赤目は、8の字を描くように、ハガラ将軍を追った。


 ハガラ将軍は、待っていましたとばかりに、火炎攻撃をした。相手は、自分を追っている。今度は、広範囲攻撃をしなくても火流弾が当たる。口をガバッと開いて、火の玉を吐いた。


 ゴバッ

 それも、特大の火の玉だ。


 赤目は、この火の玉をすり抜けるようにハガラ将軍に、迫った。また、両者が激突するタイミングだ。しかし、今度は、ハガラ将軍に分が悪い。ぶつかるだけなら互角だろうが、口の鎌に挟まれるタイミングだ。ハガラ将軍は、これを受けないで下に逃げた。そこに、必要に迫る、しっぽのニードル。


「ジャストガード」


「君か」


 ハガラ将軍にヒロのサポートが入った。


「お久しぶりです」


 ヒロは、ワイバーン千竜隊と和解するために、グワン将軍に詫びを入れた。しかし、最初は、あまり良い対応をしてもらえなかった。次に、ワイバーン中隊長をしていたヒューガ将軍に会いに行った。こちらは、真っ向勝負だったため、さっぱりしたものだった。

 ヒューガ将軍に弱点を教えたヒロは、ヒューガのお願いで、そのまま、二人で、ハガラ将軍の所に行くことになった。ヒューガが付いて来てほしいと言ったからだ。ヒューガ将軍は、元々、ハガラ将軍にあこがれてワイバーン隊に入った。しかし、ヒューガは、ストロングスタイル。スピードタイプのハガラ将軍とは、バトルスタイルが、あまりにも違っていたため、遠慮して、弟子入りをお願いできなかった。


 ヒューガは、ヒロに、自分もスピードタイプになれると指摘された。それをハガラ将軍に相談した。そして、その証拠を見せるために、その場で、ヒロと模擬戦をして見せた。その、模擬戦で、ハガラ将軍のヒューガを見る目が変わった。将軍は、ヒューガの弟子入りを認めた。そこで、ヒューガは、末席ながら、やっとつかんだ将軍職を手放そうとした。それは、ハガラ将軍が許さなかった。今のヒューガがあるのは、将軍に上り詰めたればこそだと、「両方をやれ、それが、弟子入りの条件だ」と、ヒューガに厳命した。


 ついでに、ハガラ将軍が、ヒロを他の将軍たちに紹介した。ヒロにとって、将軍たちとの出会いが、龍王からの命令では、なかったのは、とても幸運なことだった。グワン将軍も、ハガラ将軍の勧めで、普通に話してくれるようになった。


「赤目の奴、わしの火を泳いで、こちらに向かってきたように見えたぞ。弱点属性は、何だ?」


「水です。本当は、もっと体が、柔らかかったのでしょう。ですが、地上に出て巨大化した後、硬質化したのだと思います。体を鞭のように使う戦闘スタイルからも、それがうかがえます。ですから、赤目に水を掛けると、相手のしっぽ攻撃の動きは、良くなりますが、今よりは、打撃、斬撃が通るようになります」


「そうか、では、そちらは、ノーマと言うことになる」


「そうですが、ノーマには、ムロの足止めをしてもらわなければいけません。ここは、剛の力で、赤目をねじ伏せるしかありません」


「嫌いではない」

 ハガラ将軍は、そう言ってニヤッと笑って見せた。


「ヒューガには、ガイガイオウが付きました。ガイガイオウは、反重力生物です。ガイガイオウのサポートで、ヒューガは、赤目と対等に戦えるようになる」


「そうなのか、ヒューガの奴、どこにもいないぞ」


「まだ、反重力の体に慣れないからです。最初、思いっきり上空にすっ飛んでいきましたから。衛星軌道まで飛んじゃったかな。そのうち帰ってきます」


「バカ者が」

 ハガラ将軍が、豪快に笑う。そこに、赤目が、上空から迫って来た。今度は、ガシンと、二人がかりで、赤目を跳ねのけた。


 そうしているうちに、ムロへの総攻撃が始まった

「ヒューガが帰ってくるまで、わしも、ここにいる。そっちの指揮は、師範代に任せてきたでな」


「助かります」


 そう話している二人に、赤目のしっぽ攻撃が、下から来た。ヒロには、アリーシャのサポートがあり、ピピッという警告音が聞こえていたが、大笑いしていたハガラ将軍は、少し反応が遅れた。ニードルは、はじいたものの、赤目の胴体に激突するコースを取ってしまった。


 まずい


 そう思ったが、ハガラ将軍は、歴戦の勇者だ。この場で、背を向けるのは、最悪の戦法だと知っている。衝突するであろう胴体側に突っ込んだ。


 そこに、上空から、黒い影が舞い降りて、赤目の胴に一閃した。


 ギギーーーーーーーーーーン


 赤目は、胴体を始めて、横に切られて、仰け反った。


「師匠、大丈夫ですか」


「バカ者、この勢いを利用して、突きを入れるところだったわい」

 そう、強がって見せたが、弟子の雄姿に、口角を上げて、喜んでしまった。


 冷静な判断の役目をしているガイガイオウが、ちょっと仰け反り、頑固おやじを見つけたと言う顔をした。しかし、それを悟られないように、

「ヒューガ、有効打だ」

 そう言って、話を進める。


「師匠、ヒロ。正面を頼む。オレは、胴を真っ二つにして見せる」


「任せろ」

「頼んだ」



 赤目は、今まで受けたことのない斬撃を受け、逃走以外考えなくなった。それを読んで先行していたヒロが、赤目の正面に回った。ハガラ将軍は、その上空に急ぐ。赤目の習性からして、更に上空に逃げようとするだろうと読んだ。


 体が小さいヒロに突っ込んだ赤目は、ここを突破口にしようとする。しかし、ヒロのジャストガードにはじかれてしまう。赤目は、群れのリーダーで、冷静な司令塔なのだろうが、体を横に切られたのがショックで、冷静な判断を欠くようになっていた。


 急いで、上空に逃げようとする赤目。


 そこに、ハガラ将軍が、キツイ横打を入れた。蛮刀で、前足を切り落とした。


 ギギーーーーーーン

 赤目の体は、間延びした。


「チャンスだ」

 ガイガイオウが吠える。ヒューガは、師匠に心で、お礼を言った。


「ギャオーーーーン」

 ドガッ


 ヒューガのアックスが飛びムカデの胴に、振り下ろされた。ヒューガは、元々ストロングタイプ。それに、スピードが乗ったのだ。飛びムカデの胴が、真ん中から、真っ二つになった。


 これを見た、コウが、飛びムカデ討伐隊に指示した。父親の後を継いで軍師になるのは、弟のコウの方だ。

「全員突撃」


 赤目は、上空に逃げようと、同じことを繰り返すだけになる。最後は、ヒューガ将軍に、脳天を割られて、ギギンと、地上に落ちて行った。


「えいえい」と、勝鬨を上げるヒューガ将軍

 全員、それに応えた。

「ドギャオーーー」


 ヒロが、「オー!」と、答えたのは、言うまでもない。その後ろで、盛大に上がるムロの蒸気雲。アリーシャが、その光景を目に焼き付けた。アリーシャは、後に、この絵の新しいホロ制作に意欲を燃やすことになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ