ラヴィたちの初ログイン
バロンから毛長牛を借りてバベルの塔に向かうことになった。3人は、慣れていて楽しそうにしたが、ヒロは、最初、牛が動いてくれなくて困った。お腹を足でつつくと動くはずなのに、のんびりされた。そろそろ、ラヴィ達が見えなくなるところで、バロンがじれた。バンと毛長牛のお尻を叩く。毛長牛は、猛突進で、ラヴィ達に追いついた。
「わー止めてくれ」
そして追い越した。
「ありゃー、行っちゃった」
ノーマが手をかざして、遠くに走り去るヒロを見送った。
「ケイおばさんが、一番気性の荒い毛長牛だって言ってた。おじさん、ヒロが気に入ったって言ってたのに」
ラヴィが、あーあという顔をする。
「そうなんじゃない。一番早い牛なのよ」
「アリーシャ、それ、ウォッチの能力?」
「勘よ」
3人は、ヒロと違って、まったりしていた。
「よかったねレディオ商会、許してもらえて」
「ありがと」
「そだ、アリーシャの部屋。今度見せてね」
「ヒロのホロ見たい」
「これがばれたら、止めになっちゃうよ。よろしくねラヴィ」
「秘密を守る話ね。最近お父さんに教えてもらったんだ。『うそをつく必要はない。話せないと答えればよい』だって」
「初めから、何も言わなかったらいいの」
「わかった?」
「わかった」
アリーシャの部屋には、ヒロのホロがいっぱいある。ヒロの部屋の再現も。これがばれたら、ものすごくヒロが怒るのが目に見える。
しばらく行くと、また、ヒロの毛長牛が、動かないで、のんびり草を食んでいた。
「みんな来たか。こいつ、動かないんだ」
「お尻叩く?」
「遠慮する。もう、こりごりだよ。足で、コンコンってしているのにな」
「あっ、足で、毛長牛の胴体を絞めつけてる?」
「してない」
「それでよ」
ヒロが、毛長牛の胴体を足でちょっと絞めつけると「うもっ」と、言って、草を食べるのをやめた。更に、足で、コンコンすると普通に歩きだした。
「すごいな、アリーシャ。それ、ウォッチの能力か」
「かんよ」
ヒロも、やっと、毛長牛に馴れて4人でバベルの塔を目指すことになった。
バベルの塔1階には、運営に意見を言える運営代理のNPCノバがいる。ノバは、運営とやり取りするときマスターコンソールを使う。それが、メインコンピューターにも繋がっている。ノバがいれば、今回の依頼は解決したも同然だ。しかし、ラヴィ達は見なかったという。
バベルの塔近くで、お昼になった。みんなで、お弁当を広げた。この片道で、ノーマは、水筒の水、1本飲をみ干していた。ここは、少し乾燥している。ヒロ達には、清々しいところだ。
「ノーマったら、帰りの水も取っとかないとダメじゃない」
アリーシャが心配する。
ごくごく「ぷふぁー。そうなんだけど、ここ、ちょっと乾燥し過ぎ」
「ザブ砂漠だと大変ね」
ラヴィが、ザブ砂漠の戦いを思い出した。タオ草原の西がザブ砂漠になる。その先に、ジラーフの浮島が浮いている。
「オレの昆布茶呑むか? そうだ、素でも、水玉出せるだろ」
「小っちゃいよ」
「やって見せて」
ノーマが指を三本出すとその上にビー玉大の水玉が3個ふわふわ浮かんだ。これが今の限界だ。
「その水玉を霧状にして、体の周りに対流させたらどうだ。気分良くなるんじゃないか」
「えー」
「一回頭の上にあげてみたら?」
「こう?」
頭の上に水玉を上げると、意識出来なくなるのか、パシャッと頭の上に、水玉が落ちた。
「あれね」
「うふ、あれね」
「なによ。でも気分良くなったわ」
「河童だろ」
「言わないで、あげたのに」
「お皿はないけどね」
ノーマは、ブスッとしたが、みんな笑った。
「ラヴィ笑いすぎ」
「ごめん」
「水玉の回転を上げてみろよ、たぶん霧状になるから。ザブ砂漠のBOSと戦った時は、すごく時間がかかったぞ。自分のコンデション管理も大事さ」
ノーマが試す。水玉が霧になって体を覆った。
「あれ、すぐできた」
「そりゃそうさ。ウォーターシュートを強力にするときは、回転数を内側に向けてあげるだろ。今はそれができないから霧になるんだ」
「ふーん、私も進歩してたんだ」
アリーシャが、さっきのノーマ対バロンを思い出した。
「おじさんには、口で、瞬殺だったけどね」
「今度は負けないんだから」
食事も終わって落ち着いたので、打ち合わせになった。
「みんなは、どこでロードオブ召喚獣にアクセスしたんだ」
「白い部屋」
「最初、なんにもなかったんだけど、部屋の真ん中にアクセスできそうな台が出てきたのね。それも3つ」
「三人で、それに触ったら、ヒロがちょうど初ログインしている映像が映ったの。台には、ログイン、YESorNOって出たのね。みんな迷わずYESを押したのよ。そしたら、ウェルカムの光文字がド――ンと、目の前に浮かんだんだ」
「無茶するな、危険とか考えなかったのか」
「私たち、冒険している最中だったのよ。進むに決まっているでしょ」
ラヴィがおおざっぱなのは昔からみたいだ。
「まさか、ヒロに召喚されるとは思わなかったけど」
ノーマが嬉しそうに言っているのを見て。ノーマもラヴィに迎合したのが分かる。
「とにかく、異世界に行けてOKって感じ」
「アリーシャは、仲間もできたし、そうかもな」
ヒロは、( ̄∇ ̄;)ハッハッハと苦笑いした。
「まあ、電脳世界だけどな。白い部屋か。そんなのあったか?」
「地下よ」
「メインコンピューターがある所だよな。ノバがいなくても、そこでどうにかなるかもしれないか」
「ヒロ、一つ聞いていい?」
「なんだ、アリーシャ」
「プレーヤー全員のライトボードを旧ライトボードにするなんて、ゲームマスタじゃないとできなんじゃないの」
「おっ、みんなからゲームのことを結構聞いてるな。普通のオンラインゲームだったらそうだよ。でも、ロードオブ召喚獣は、運営がすごく少ないんだ。だから、ちょっとしたことだとメインコンピューターのAIが、判断して、プレーヤー対応するんだ。有名な話だと、ジャスト召喚がそうだよ。魔法師だけでパーティ組みたいとレベレーションのギルマス、ハルキさんが要望を出したら、通ったんだ。今回の話はもっと簡単で、惑星パグーでは、新しいライトボードが不具合で使えないから、復旧するまで旧ライトボードに戻してくれと言えばいいんだよ」
「要望通りそう」
「メインコンピューターにアクセスできたら、だけどな」
何となく行けそうだと思いバベルの塔に入ることにした。




