円卓会議オフレコ
ここまでの円卓会議は、視聴者向けだ。ここで、本当のギルド長会議になった。
「ヒロさん、もう少し会議を続けます。オブザーバーとして聞いてください。これが終わったら、たぶん探査依頼をさせていただくことになると思います」
「ノーマは帰していいですか。海王に今までのことを話さないといけない」
「もう少しいていただけますか。ヒロさんへの依頼の件を最初に話し合います。ノーマさんにも関係ある話です。終われば、ヒロさんも解放しますよ」
「了解です」
「では、優先順位です。キートンさん、モニターに議題を出していただけますか」
キートンが指示すると、イベンターの人が、大きなモニターを持ってきた。
「ヒロさんには、動いていただかなければなりません。まずは、これをかたずけましょう」
議題 ヒロへの依頼
1、バベルの塔探査 ライトボードの復活
2、地竜人の探査 シン化防止
3、ウラヌス探査 アイテム分布 エネミー状況
4、町周辺探査 レベル上げスポット、エネミー分布状況
最初に、ラジオが発言した。
「1と2だけでいいだろ。ウラヌスは、行けないんだ。町周辺は、俺とユウトさん、オダさんと珉珉で行けばいい」
「会議の時は、とりあえず全部出すものなんだよ。4人がレベル15あるのは知っているが、シャークは、たぶん、それ以上だろ」
「まあ、私が、魔法師ですから、生還率は、高いと思います。オダさんも、お願いできますか」
「問題ござらぬ」
珉珉、ラジオが、クンフー。オダが、剣士で前衛だ。ユウトが魔法師で、後衛になる。
ホーンが、まいったという顔をして発言した。
「地龍人が人間の時にシンに侵されて、そのまま地龍の成体になったら、ボス級エネミーじゃないか。仲間を救うっていう話に留まらない」
「厄介ね」 レベレーションのレイかも同じ意見だ。
戦闘ギルドは、だいたい同じ意見だ。
ガクガッカイの博司は、ヒロから、地元の人の世話を頼まれたと思っているので、ちょっと意見が違う。
「それを言ったら、現地の龍族の幼体だって、危険ですよ。いずれにしても、防衛用の服なり、お守りが必要です。もし、ライトボードが生きるのなら、その方が、効率よくないですか」
「博司さんに賛同する」
ラジオやテラの商社ギルドは、博司を押す。
テラが、「可能性の話で悪いのだが」と、発言した。
「ライトボードが戻れば、同じギルドだと、ちょっとぐらい離れていても、パーティコマンドに、反応が出るでしょう。エルフの人が、すぐ、カナン山に行けるとは思えませんが、効率が上がるのでは」
「そうか、現地の人に連れて行ってもらえばいいんだ」
最初は、地竜人捜索派が多かったが、テラの発言で、流れが変わった。
ユウトが、裁決した。多数が、ヒロにバベルの塔探査をしてもらって、ライトボードが旧バージョンのみに設定できるか試してもらうことになった。
「ヒロさん、よろしいですか」
「そうしたいと思っていました。それで、お願いなんですが、皆さんが防衛したという蟲人間のことです。タガメ族は味方です。彼らは、戦闘というより斥候タイプです。皆さんとの連絡を密にするために、受け入れてもらえませんか」
「解りました。門の前で待っていてくれたら、私が出て行きましょう」
「ユウトさん一人は、まずい。オレも行く」
「拙者も」
「お願いします」
ヒロの次の目標が決まった。バベルの塔だ。これを聞いた、ラヴィ達が喜んだ。自分たちもそう思っていたからだ。
アリーシャの思い
円卓会議が終わり、プレーヤーの気持ちも同じ方向に向かったと、思ったヒロが、「さてと」、と、ノーマとラヴィを見た。ノーマは、やることも多いし、アリーシャのことを聞かれると、今だと答えてしまう、やばいと思って、早々に退散した。ラヴィは、アリーシャのことを怒らないでとヒロに訴えるのであった。
「私、帰るね」
「そうしてくれ」
ヒロの胸辺りにシャボンが立ち、ノーマが、父親と打ち合わせに帰った。
「ギャウ、ガッ、ギャウ。ごおーーーん、ぎゃう」
「そんなに怒っていないさ。とにかく、アリーシャの話を聞こう。ここに、居たいって言っても、素で来るしかないだろ」
「ぎゃう、ばっ、がー、ぎゃうぎゃう」
「そうだな」
周りは、何を言っているのかわからない。ラジオが、アリーシャを心配して、ちょっと顔をゆがめて二人の会話の内容を聞いた。
「ヒロ、よく、ぎゃうだけで、ラヴィの言っていることが、分かるな」
「オレも最近だよ。ノーマの方がすごい」
「で、何て言ってんだ」
「アリーシャが、お前んところのギルドにちょくちょく顔を出したいんだと」
「当り前だ」
「だがな、おれがこれから行くバベルの塔は、遠い。素で来るしかないだろ。だからって、エルフ族は、海中で生活できない。まあ、オレと同じ装備で来ればいいんだが」
「ぎゃう、ばっ、がー」
「そうだよな、バベルの塔の方が優先だろ。この話は、その後の話になる。まあ、アリーシャの話を聞いてやるよ」
「頼む」
「我々の番組にも付き合ってくれと、言ってください」
イベンターのキートンが、ノーマの代わりがいるのはありがたいとヒロにお願いした。
「了解。ユウトさん、皆さん。アリーシャに会いに行きます。ラジオ、連れてけよ」
「よろしくお願いしますね」
「レディオ商会の後は、うちにも寄ってくれ。素材は、作業場にあるんだ」
レディオ商会もそうだが、ボーグも、服制作に、すぐ入る気だ。
ヒロ達は、もう少し、会議があるというメンバーを置いて、レディオ商会に向かうことになった。
レディオ商会は、ギルド会館からそれほど離れていないところにある。作業場も兼ねているので、大きな建物だ。
円卓会議は、終わった。アリーシャは、ドキドキしながら、ヒロを待った。珉珉が、自分の肩にアリーシャを置いて「大丈夫よ」と慰める。しかし、その後、ギルド長会議になり、なかなか、ヒロが、やってこない。ラヴィに、事情は聞いているのだが、そわそわして落ち着かなかった。
「自分たちが、異世界人だなんて、ヒロに言えるわけないでしょ。ラヴィもノーマも、そう、だったじゃない。ばれた後も、普通に接してくれたのよね。大丈夫よ」
「そうなんだけど、ラジオさんが、ヒロを最前線に行けって煽っていたでしょう。ぜったい怒ってる」
「それは、ラジオが怒られていたわよ。だから、もう、気が済んでいると思う」
「うん」
やはり、仲間がいてくれるのはありがたい。牛さんや、クロさんや、アリスさんも、難しいしい顔をしていないので、ちょっと安心しながらヒロを待つ。
「帰ったぞー。議長やらなくて済んで、清々した」
「ギルマスー (-。-;)」
ラジオじゃあ、しょうがないかと迎えるメンバーたち。
「アリーシャ居るか! ヒロが、話があるそうだ」
「私の肩の上よ」
そう言って、珉珉も一緒にヒロの所に行く。
「ヒロすまん、オレはギルド会館に帰る。珉珉、後は頼んだぞ。服制作の話も進めてくれ。大儲けだ。わはははは」
「了解」
ラジオは、上機嫌で、ギルド会館に向かった。ラジオの場の空気を読まない発言で、肩の力をぬくメンバーたち。
「ごめんなさい」
「はー、それで、どうして、こうなった」
「ベイダーのメンバーに騙されて、レベル上げが進まなくなった時があったでしょ。その時、ラジオさんに声を掛けられたの」
「レベル30の時だよな。惑星サガの召喚獣獲得を邪魔された。もう召喚獣がいるというバグを逆手に取られて、攻略が進まなくなったんだ」
「ラジオさんのお店に行って助けてもらったでしょう。私が一緒だった。そのとき、ラジオさんが、運営の人ですかって、私に聞いて来たのよ。色々あって、よくわからない状態だったから。つい、何のことですかって、答えてしまったのね。それで、プレーヤーだってばれて、後で話がしたいって、ヒロが同じフィールドにいると、ゲームにアクセスできるんじゃないかって教えてもらったの」
「ラジオな奴! オレが行くところに、どんどん店が増えていったわけだ」
「ラジオが、すぐ店を作るから、私たちは、大変だったのよ」
珉珉があきれる。
「でも、アリーシャの為じゃない」
アリスが、経理で、相当頑張った。
「最初は綱渡りだったけどね。お腹痛かったよ」
「牛さん!」
「アリーシャ、仲間ができていたんだな。良かったな」
「ヒロ!」
「ぎゃうぎゃう」
ヒロは、思ったより懐が深い。アリーシャは、ヒロをよけい大好きになった。珉珉が、大丈夫だったでしょうと、アリーシャに、ニコッとする。
「仲間がいるんだもんな。ここにちょくちょく来たいわけだ」
「私、アイテムの鑑定が仕事なのね。みんなと仕事がしたい」
「かまわないが、最優先事項だ。これから、バベルの塔に行く。全員でだ」
「わかった」
「ばっ、ぎゃう、ぎゃうぎゃう」
「そうだった」
「わかったわ」
「なに?」
「甲殻族のフォブさんが、創生時代のことを思い出したのね。その話を聞いてからバベルの塔に行こうって」
「この事件のことが分かるかもしれないのね」
「微妙、ヒロは、創生時代の前の人だから」
「そうなの?」
「オレ等の後の時代になって、ノーマ達の種族が現れたんだ。今は、おれ等しかいないだろ」
「タイムパラドックス?じゃあ、どうして、私たちは、ここに飛ばされたの」
「分からない。だから、聞きに行くんだよ」
レディオ商会の幹部たちが、難しい顔をして黙り込んでしまった。
アリーシャの心配事が、取り越し苦労に終わって、その後、ノーマを呼んで、ヴォーグにも行って後処理を終えた4人は、フォブ爺の所に話を聞きに帰った。フォブ爺は、まず、エルフの始祖ベロニカに会えと進言してくれた。




