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ロードオブ召喚獣  作者: 星村直樹
貝の里
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リナ

 翌朝、ラヴィは、カナン山に来ていた。ゲートは、カナン山の麓。南の町グランに通じている。父親に事情を話して、しばらくここに住むことにした。ラヴィは、隠し事がへたくそだ。正直に全部話した。父親は、お目付け役のメイドを3人付けはしたが、自立する良い機会だと、これを認めた。メイドは、三種族から選ばれた。


 ゼオは、南の町の家を別宅と言っていたが、ここに、おばあちゃんがいる。龍族の寿命は長い。おばあちゃんと言っても容姿は、若く美しい。雷竜族なので、人形だ。母親のぬくもりを知らないラヴィが、おばあちゃん子になるのは、ごく自然なことだった。ラヴィは、おばあちゃんが大好きだ。




 昨夕、ゼオが、ワータイガを連れ帰ったので、お屋敷は、大騒ぎになった。ゼオのせいで、ワータイガの毛が、静電気で、逆立っていたので、みんな怖がって近寄れない。そこに、ゼオの嫁、リナがやってきた。


「ワータイガじゃない。どうしたの?」


 ゼオは、惚れた弱みで、いまだにリナに頭が上がらない。


「ラヴィが友達になった。ホップだ。ホップ、リナだ。挨拶しろ」

「あおーん」


「まあ、かわいい。いま、静電気を取ってあげるわね」

 リナが、パチッと静電気をショートさせると、ワータイガの毛が落ち着き、怖がっていた使用人も、遠巻きに少し近づいてきた。


「まあ、ビロードの様。いい毛並みだわ」


「おっ、気に入ったか。ラヴィが喜ぶ」


「飼うの?」


「ラヴィがな。明日ここに来る」


「いいけど、町の子達が怖がらない?」


「説明は、ラヴィに聞いてくれ。なんでも、ブリーダーになったそうだ。ラヴィは、ホップと友達になった。ラヴィの友達は、我々に危害を加えないぞ」


「そうなの! うちの店に置こうかしら」


「やめてくれ、いきなりは、きついだろ」


「いいの?」


「当たり前だ。なあ、ホップ」

「がおん?」

「ワハハハハ、ラヴィがいないと、話せん。また今度な」

 そう言ってホップを撫でた。


「ラヴィは、この子と話せるの?」


「そうだぞ、どこにホップを泊める?」


「今日は、ゼオの部屋でいい?明日、町の友達に相談する。」


「くそしても知らんぞ。わしは、砦に用がある。その詳細もラヴィに、聞いてくれ」


「ホップ、トイレは、外でしてね。そしたら、部屋をあげるわ」

「がおん?」

「ワハハハハ、リナ、久々に笑わせてもらったぞ。おまえじゃ無理だ。ラヴィに言ってもらえ」


「まあ!」


 怒った顔も、いまだに可愛い。ゼオは、ホップを撫でて礼を言った。ゼオは、ホップが、ボディランゲージを少し読んでいることが分かった。それで、それからはホップと話すときは、オーバーアクションするようになった。




 ラヴィが、丘の上のお屋敷に向かって歩いていると、ホップが嬉しそうに駆け寄ってきた。メイドたちは、すぐ戦闘態勢を取る。ラヴィは、そんなのお構いなしに、ポップに飛びついた。


「ホップ、おばあちゃんと仲良くなった?」

「がう」

「良かったー」


「ラヴィ様!」


「ごめん、ホップ、人魚のマーナよ。こっちが、雷竜のカイラ。エルフのサファイ。挨拶して」

「あおーーん」


 三人のメイドは、ドキドキしながら、頭を下げた。


「ちがうちがう、ホップは、なでられたら喜ぶのよ」


 メイドたちは、更に、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキしながらホップを撫でる。大人しいホップに、エルフのサファイが、興味を持った。


「ラヴィ様、もしかして、ホップと話せるんですか」


「そうみたい。ホップの一族って、幻獣と偶に話をしているのね。召喚獣は、幻獣よ。それに、今は、ブリーダーになって、ホップと友達になったから、意志が通じるのよ」


「それは、ハイエルフの領域です。すばらしいです」


「そうなの! アリーシャが、昨日ハイエルフに成ったけど。じゃあ、ホップと話せるのね」


「そうなんですか」

 アリーシャの年頃ではありえないことだ。しかし、アリーシャも召喚獣である。サファイは、十賢人に報告しなければと思った。


「リナ様が好きそう」

 雷龍のカイラが、感想を言う。カイラは、この南の町グランの出身だ。


「それでは、お屋敷に向かいましょう」

 メイドたちも、ラヴィと同じ年頃の娘を選抜した。その中でも、人魚のマーナは、一番お姉さんだ。私がしっかりしなくっちゃと思っている。




 お屋敷に近づくと、リナが、腰に手をあてて門の前で待っていた。


「おばーちゃーーーん」

 ラヴィが手を振る。


「来たかい」

 ラヴィがリナに飛びついた。


「ホップは、いい子にしてた?」

 リナは、身長が2メートルある。ラヴィは、1,65 見上げるように聞いた。


「いい子ね。今度店に連れて行くってホップに言ってちょうだい」

「わかった」

「ホップ、こっちにいらっしゃい。友達のビエラよ。家を作ってくれるのよ。一緒に庭に行きなさい」

 リナは、ビエラを抱いて友達だとアピールした。

「わふっ」


「ビエラについて行ってって、家を作ってくれるそうよ」

「がおーーーん」


 ビエラの所の職人が一歩引いた。


「なさけないね。ホップいらっしゃい」と、大きく手招きした。

 ホップが嬉しそうにビエラの所に行く。

「まあ、本当。ビロードの様」

 ホップの毛並みに、大喜びのビエラ。ボディランゲージが通じたとニコニコしながら、ホップと庭に向かった。


「ビエラは、ホップと話せるの?」

「オーバーアクションすると、ちょっと通じるみたい。細かいことは、話してあげてね。ラヴィ、聞きたいことがいっぱいよ。庭でお茶しましょう」


 リナは、ラヴィの後ろに控えているメイドたちを見た。


「あら、カイラ。メイドになったの」

「へへへ」

「キートン、カイラ達を案内してあげて。みなさん、ラヴィをよろしくね」


 三人は、メイドらしく頭を下げた。カイラは、後でマーナとサファイに質問攻めにあうことになる。



 お屋敷の庭は、ゼオがここで、自警団を鍛えるために戦闘訓練をしていた関係で、だだっ広い。南の町グランは、ゼオのおかげで、大きな町になった。ゼオは、自警団の本体を北の砦に移し、腹心のトマスを保安官にして、グランを任せている。カナン山の北側は、エネミーであふれている。ゼオは、何かあるたびに北側に出かけている。


「10匹ホップみたいなのを飼っていいんですって?」

「うん」

 ラヴィは、ニコニコしながら、ホップの大きさを測って頭を抱えている職人たちを見た。


「こりゃ、犬小屋ってわけにいかないぞ」

「ワータイガの生態が分かる学者を連れてこい」

「土台は、作っとかないと」

 などと、騒いでいる。


「みんな、ここで飼っていい?」

「いいわよ。だだっ広いお屋敷がにぎやかになるわね」

 リナは、公人を離れると、酒場のおかみになる。リラックスして、話し方も砕けた感じになる。


「シンだったかい。ラヴィは、ずっとここに居ないんでしょ。世話人を雇わないとね」

「ありがと。ブリーダーのレベルが上がると、ホップを戦闘に連れて行くことができるの。心強い味方よ」

「分かったわ。みんなのためになるのね」



「後、9匹もかい。大変だねぇ」

 ビエラが、ホップと一緒にやって来た。


「おばさん、おねがい」

「わうん」

「任せといて。町のみんなに見せても平気かい?」

「うん」

「ちょっとは、ホップ達の餌代も稼がないとね」

「ビエラ、商売する気!」

「ちょっとだけさ。ギルドも大きくするかねぇ」


 ビエラは、職人をまとめるギルド長だ。町の発展に貢献している。その割には、リナの旅人の酒場に入り浸っている。


「いいかも。ホップが群れに帰れるようになるころには、群れのリーダーになれるぐらい強くなっているの。もしかしたら、他のみんなとも仲良くなれるかも」

「いいね」

「いまから町の子たちがホップに慣れるのは、いいかもね」

 二人とも賛成した。

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