ヒロ、三人と婚約する
龍王城、龍王の間では、三龍王がもめていた。龍王が知恵を借りようと水竜王に尋ねると、水竜王が虚空を見て「すまん」と、謝った。何も考えていなかった。
「こいつが、わしの思考を停止させるから、こうなったんじゃ」
「親父殿は、裁定者なんだから、この会談に間に合えばいいだけだろ」
「こんな時に正論吐きよって。ラヴィが可愛くないんか」
「心配し過ぎなんだよ。なっ、ラヴィ」
ああ、味方が一人減ってしまった
龍王は、やはり、一人で、頑張るしかないかと覚悟を決めた。
龍王たちは、龍王の間の重い扉を閉め、ラヴィ専用の人用の扉をメイドたちに守らせて、ヒロに少し待ってもらう様、指示していた。
龍王の間の扉は、翼竜二人がかりでないと開かない。
そこに、バンと、大扉を開いてヒロが入って来た。
三龍王は、親族だ。同じ様に、笑ってごまかした。
「おほっ」
「ははっ」
水竜王と龍王は、気まずい感じだ。
「ワハハハハ来たか!」
ゼオは嬉しそうだ。
ヒロから見ると、ラスボスが3人もいる部屋だ。特に、ムシキングとスクラム組んでいるラヴィの父親、龍王の気が強い。だが、覇気が強いゼオに目が行った。
「あの人が親父さんか?」
ノーマに聞く。
「雷龍王様よ。ラヴィのおじいちゃん」
「こら、ノーマ。ゼオと呼ばんか」
「ごめんなさい」
アリーシャが補足する。
「私と、ノーマは、ゼオを呼び捨てにしないと、反対に怒るのよ」
こやつ、いつのまにラヴィの友達と仲良くなったんじゃ
水竜王があきれる。
雷龍王は、電磁波を操るプロだ。どんな、守りのフィールドも勝手にすり抜けてくる。その上スピードが速すぎて、衛士が制止する暇もない。だから、勝手にいろいろな所に現れては、気さくなことをやっていた。
ヒロたちの後ろに控えているシャーンと、ガイガイオウは、3龍王の気に押されて、立ち尽くしているだけだ。
アリーシャに、あの人がラヴィのお父さんよと、目くばせされた。ヒロは、これら3龍王をものともしないで、ラヴィの父、龍王の前に立った。
「ヒロです」
「ガハハハ」
龍王は、苦笑いして対応した。
龍王の前には、ドレスアップしたラヴィがいる。その少し後ろにムシキングの嫁、ウエンディが控えていた。
ラヴィが思わず声を上げる。
「ヒロ!」
「ラヴィ、すまんが、わしと話させてくれ」
「うん」
「ヒロ君だったな。その、やはり、シンは、現れるのか」
ヒロは、先ほどまでと打って変わって、緊張した。
「はい、そうなってほしくないですが・・」
「うむ、この世界は、ゲームではない。命は、一つしかないのは分かるな」
水竜王が、龍王の気持ちを察した。
「それでも、シンに立ち向かうしかない。そうじゃろ」
「その通りです」
「・・・・・、・・・・・、・・ラヴィを巻き込むのか」
「お父さん!」
ぐっと詰まるヒロ。それでも、そうするしかない。ラヴィは相棒だ。
「味方にも、シンに侵される者が現れます。シンから味方を助けることができるのは、召喚獣だけです」
「それだけか?」
ゼオは、水竜王との約束を守って、腕組みして聞いている。とんでもない戦いになりそうだと、真顔になっている。
「いずれ、強敵が現れます。自分には、ラヴィが必要です。ラヴィは、オレの相棒です」
ラヴィの顔がパッと明るくなる。ウエンディはニコニコした。
「ふむ、娘の命を自分に預けろと言うか」
「そうです」
「いいだろう、しかし条件がある。娘の命を預けるのだ。結婚してくれ」
「結婚ですか?」
「ラヴィは、一人娘だ。不満か」
「自分には、ノーマも、アリーシャもいます。召喚獣は、初めから、3体いたのです」
これを聞いた残り二人の嫁が、ゼオに訴えた。
「ゼオ!」
「ゼオ、私達もお願い!」
「いいんじゃないか、3人とも、嫁にすれば」
こいつ、口出しすなと言ったのに
裁定者の水竜王が憤慨する。
自分の思い描いたシナリオと違う方向に進み、戸惑う龍王。ムシキングが、これを受ける。ムシキングは、龍王の頭の後ろにいる。ひそひそと、アドバイスした。
「サイモン、とにかく、話を進めろ。ノーマとアリーシャは、まだ親と相談していない。結婚は先送りになるが、今ここで、三人とも、婚約させるんだ」
先手を打てと言ってきた。
それでは、ゼオの思い通りなのだが、サイモンの理論だとそうなってしまう。振り上げた拳を降ろすことはできない。龍王は、腹をくくることにした。
「では、 そう言うことだ。三人と結婚しなさい」
ヒロの頭は、真っ白だ。
「え・・」
言葉もない。
「すぐにとは言わない。ノーマとアリーシャは、両親と相談していない。だが、この場で約束しろ。それが、条件だ」
「婚約ですか」
「そうだ」
龍王は、ヒロから、婚約という言葉を出させた。やはり、一日の長がある。
ヒロは思う。
ロードオブ召喚獣で、はっきりしていることは、最終ボスは、一人で倒せる相手ではないということだ。なのに、自分は、現実そこに人として、たった一人で惑星パグーを訪れることになってしまった。これをクリアするには、召喚獣のラヴィ達と頑張るしかない。
「わかりました」
「そうか、わかってくれたか。水竜王、裁定を」
「うむ、この婚約、認めよう」
ラヴィたち3人は、飛び上がりこそしなかったが、大喜びした。
龍王サイモンは、ちょっとうなだれ、小さくため息をつく。何とかなったのだ。ムシキングが、それをねぎらった。




