龍族転生者の現実
もう、寝ろと、言っているのに、ノーマが、復帰サインのコールを出してきた。ずっと、観戦していたらしい。
戦闘が自分の世界で、それも、リアルなものだから仕方ないかと、バトル召還した。それに、ラヴィだけでなく、アリーシャにも宝石がドロップした。羨ましいだろうし、見たいんだろうなと、ノーマ言うことを聞いてやることにした。
「アリーシャいいなー」
そらきた
「ノーマもレベルが一つ上がっているぞ」
「えー、レベルだけ」
「そう言うな、ガイガイオウのバリヤーバブルを見てただろ。あれ、ノーマもできるんじゃないか」
「そっか、シャボンが弾ければいいんだよね。ねーねー、その光玉見せて!」
ニコニコしながら、アリーシャの所に走った。
切り替え早っ
今日も頑張ってたし、その内ノーマにも宝石がドロップするだろう。
ノーマは、うらやましいのもあるのだが、宝石に見入ってしまった。アリーシャが、額の目を動かすたびに、なんだか目が、キラキラして見える。
「すごい、綺麗!」
「そうなの? ヒロ。銀の皿、出していい? 私も見たい」
二人とも、全く落ち着きがない。
「いいけど、見終わったら、ゴングの角をきれいに切るから、治療してくれ。ノーマは、ガイガイオウたちに、オレ等のことを説明してくれ」
「うん」
「わかった」
ヒロは、ゴングに振り返った。座り込んでいるゴングの傷跡を見る。
「この白いところ、神経じゃないか。もしかして、ものすごく痛かったか」
「そんなことないぞ。痛みは、切り離すことができるんだ」
「角の神経伝達を強制的に調節できるのか。分かった」
「何が分かった」
「さっき言っただろ。オレが治せるのは、見た目だけなんだ」
「つまり?」
「角が、武器になると言うことだ。ゴングの折れた角で、素材アイテムがドロップした。これで、剣を作る。見た目は、角なんだが、取り外せるようにする。剣術はできるか?」
「まったくだ。オレの種族は、伝統的に、肉弾戦を得意とする」
「せっかくだから、覚えろよ。シャーンも、ガイガイオウも、剣を使える。教えてもらえ」
「そうするか」
ヒロは、ゴングが、角の神経を断ち切ることができると聞いて、すぐ、ハーツソードを思い浮かべた。この剣は、属性変化剣だ。武器自体は、中武器程度で、大したことは無いのだが、剣の柄の部分に穴が開いていて、ここに結晶石を入れると属性が変わる。ヒロが、浮遊石を仕込んでいた剣の原型だ。今回、この剣を2本使って結晶石のスロットを2穴にする。何故なら、シンに対抗できる戦士が一人増えることになるからだ。
まずは、ゴングの生きている角の加工だ。きゃぴきゃぴしている二人を呼んで、そろそろ仕事をしてくれと頼んだ。
「アリーシャ、ノーマ、そろそろ頼む」
アリーシャが、ニコニコしながらやってきた。
「角の基部にリジュウム鉱石を使って、時間がたつとエネルギーが満タンになるようにしたい。それに、オリハルコンで、硬度も上げないといけないから、深く削りたいんだ」
「痛そう」
「大丈夫だぞ、オレは、痛みを切り離せる」
「そうだとしても、神経を生かしたいんだ。そうすれば、リキャストタイムを音無しで知ることができるだろ」
なんだか、でかい虫歯を治療するような感じになった。クラフトというより、加治屋や医者の領分だ。
ヒロたちが、作業に取り掛かった時、ノーマは、蟲人間たちに囲まれていた。ノーマは、ヒロの事情を話していた。
蟲人間は、いつのまにか、100人ぐらい集まっていた。代表して、ガイガイオウが、ノーマの話を聞いた。
「じゃあ、ヒロは、知的創生時代からきた人族なのか」
「そう、創世の時代からパグーに来た、ただ一人の人族よ。大事にしてね」
「分かったが、その、一緒に来た創生時代の人は、何人ぐらいいるんだ」
「ヒロだけよ。あっ、そうか。いっぱいよ」
「もっと、具体的に話してくれないか」
ノーマは、自分用のライトボードを出して、惑星パグーで、プレーヤーサーチをかけた。
「えっと、エルフが、7024人。魚人が、11382人。竜族が、2058人よ」
そう言いながら、ノーマは、竜族の表示を見てぎょっとして、顔が、真っ青になる。
「どうした?」
シャーンが、心配する。
「今、龍族が、2057人になったわ」
シャーンとガイガイオウが、顔を見合わせた。
「間違いないか」
「うん・・」
ガイガイオウが、急に将軍の顔になった。
「竜族の転生者は、どこにいる」
「カナン山」
納得する蟲たち。
「ビー、カナン山に斥候を送ってくれ。町に情報収集する者も頼む。もし、カナン山で、竜族を見かけたら、話しかけてやってくれ」
「了解だ」
ビーが羽音を立てると、50匹ぐらい蜂族が集まってきた。
ノーマは、急に不安になって、ガイガイオウに頼んだ。
「あの、すみません。魚人の町もお願いできませんか。ヒロが心配してたんです」
「いいぞ。タガメ族に任せよう。エルフはいいのか」
「神官のイルマ様と十賢人が向かったので、大丈夫だと思います。浮き島は、穏やかだったし」
「そうか、悪いが、もう少し話を聞かせてくれ」
「うん」
ノーマは、深く頷いた。




