雷竜王と水竜王
龍王の間に、龍王サイモンの父親がカナン山からやってきた。 雷竜王だ。
雷竜王は人形。体は甲冑のような鱗に覆われているので、裸なのだが、そんな感じはしない。
龍王は、体長20メートル。飛龍で、火を吐く。対して、雷竜王は、身長が3メートルほどしかなく、体形は人形の龍人だ。だから、ラヴィが人形で成長を止めたことを喜んでる。
ラヴィには甘いのだが、こんなに小さいのに、いまだに怖い親父さんだ。地震雷火事親父というが、その中の2つも当てはまる。
「サイモン、婿殿は、まだか」
いきなり龍王の間に現れてこれだ。雷と共に、ドオンと落ちてきた。
「水竜王がまだです。ムシキングに足止めしてもらっています」
「じっさまか」
実の父親をじっさま呼ばわりだ。
「ラヴィは?」
「ウェンディに、ナーシャのことを話してもらっています」
「かわいい孫を悲しませおって、ナーシャをすぐ復活させろ」
できたら苦労しないと思うサイモン。とりあえず無視した。
「カナン山に、婿殿の世界の竜人がたくさん来たはずでは?」
「来たぞ、何人かぶちのめした。奴らは、死にたがりか。すぐカナン山に入ろうとしたぞ」
「何人か死んだようです。火龍系の竜人は、こちらに送ってください」
「任せろ、数が多すぎて閉口していたところだ」
「婿殿に話させましょう」
「うれしいぞ、婿殿だけ、とんでもなく強い」
「親父殿も、感じますか」
「わしが試すか?」
「ラヴィと、戦うことになりますぞ」
「すまんすまん、それはまずいな。ワハハハハハ」
今、止めていなかったら、絶対ちょっかい出していたと思う龍王。
雷竜王は、ラヴィの最終形態を知らない。そわそわして聞いて来た。
「その、ラヴィが召喚獣の最終形態になった時は、やはり雷攻撃するのか」
「私の娘ですぞ、火炎攻撃に決まっているでしょう」
「残念だ」
「実は、私も、実力を知らんのです。婿殿に聞きますか」
「わしで試すか」
「結構です」
何しに来たんだ、この人は、と、実の父親ながらあきれる。
「まだか、婿殿は」
「水竜王が来てからです」
「わかった。わしが担いで連れてくる」
たぶん本気だ。水竜王は、全長が100メートルを超えている。親子げんかにならなければよいがと思う。
しかし、水竜王と話をしてもらうのは、悪くない。雷竜王が、出しゃばったら、破談だ。
「お願いします」
「待ってろ」
雷竜王は、来た時と同じように、雷がピカッと光ってドンと、いなくなった。
水竜王は、海上を飛んでいた。龍族の一大事が、いきなりやってきた。水竜王が、海を治めているので、知的創世時代からやってきた魚人も気になるのだが、ラヴィの方が、優先順位が、はるかに上だ。
竜惑星パグー、統治の、後継者、婿取りが、掛かっている。
ラヴィが婿を決めてしまったのだ。その意味を知らないヒロの首を縦に振らせなくてはならない。龍王城に急いでいるが、いつになく頭も回転していた。
そこに、バカ息子がやってきた。とても嬉しそうだ。
「親父殿、みんな持っておりますぞ」
「光りながら現れるな。まぶしいじゃろが」
こいつの対処を忘れていた。サイモン、ナイスじゃぞと、思う。
「ゼオよ、ヒロはどうじゃ」
「すごいですよ。勝負したいです」
言うと思った水竜王。
「そうじゃな、可愛い、ひ孫のために、それは許可できんが、お前が、約束を守ってくれたら、最初にヒロ殿をカナン山に導くぞ。どうじゃ」
「本当ですか!!! 行きたいところがあるんです」
「ゴーレムの谷か。一人でも、行っとろうが」
「奴らに電撃は効かんです。こっちは殴るしかない。婿殿も、打撃系でしょう。奴らが祭っているタイタンと話がしたい」
「成る程の、タイタンと勝負がしたいんじゃな。許可しよう。では、条件じゃ。婿取りは、わしが決める。口出しするな」
「それは、かまわないが、一言もか」
「一言もじゃ。どうする」
雷竜王は、ヒロにちょっかい出したくて仕方ない。でも、よくよく考えてみたら、最初にカナン山に来てくれるのだ。
「分かった。約束しよう」
水竜王は、一安心した。
「親父殿、わしが担ごうか」
「ふん」
そう、鼻先で笑ったが、まだ、考えがまとまっていない。それに、こいつと並走していたら、うるさくてかなわん。
「まあ、やってみろ」
「おう、初めて、親孝行できる」
「そうだったか?」
水竜王も、ひ孫のラヴィに弱い。孫を、そして、ひ孫を作ってくれただけで、親孝行じゃわいと思う。
しかし、次の瞬間、それは、甘かったと分かる。雷竜王は、サービスのつもりで、地上すれすれを飛ぶ。とんでもないスピードだ。考えをまとめなければならないのに惑星規模のジェットコースターに、思考停止させられた。
なにするんじゃ、こいつ
水竜王は、親孝行している息子に憤慨した。




