ガイガイオウ
「強いな」
ガイガイオウが出てきた。ガイガイオウは、肩から迫り出していた光玉を体内に仕舞っていた。今は、ゴングのように体全体が少し光っている。
「もう、いいだろ。パーティーじゃ、なくなったぞ」
「オレは、二人の特徴を持っている」
そう、言って、両腕をグイッと前に出した。腕から、ソニックブレードが現れた。
こんな昆虫見たことない
未知の敵だ。
よく見ると、少し浮いている。見た目はそう変わっていないのに、戦闘スタイルが、全く変わっていた。
「ガイガイオウ、お前は、蟲族じゃないだろ」
「宇宙時代に入ってからだが、古い種族さ。お前が知らないだけだろ」
ヒロは、ここが、信じられないぐらい先の未来だと認識させられる。
「ビームに反重力か。体は、バリヤー。宇宙戦闘が得意なのぐらいわかるぞ」
「ヒロの方が、変っているだろ、お前もさっき重力技を使ってたしな」
「あれは、この刀のスキルだ」
「そうか」
おしゃべりは、このぐらいでいいだろと、音もなくこちらに向かってきた。
おれとしては、おしゃべりで、ライトセーバーのリキャストタイム稼ぎを、もう少し、したかったが、仕方ない。
「小手調べだ」
そう言って、ガイガイオウは、天井側に浮かびながら体のバリヤーを膨らませた。バリヤーバブルは、この闘技場を覆うほどになった。バブルが床を這い天井に達すると、パリンと、弾け飛んだ。
「アリーシャ、大丈夫か!」
「平気」
アリーシャは、空気のバブルに包まれている。ガイガイオウのバブルに追いやられ、隅の方にいた。
この技、属性は違うけど、ノーマが使えそうだ
「すごいな」
感心するヒロ。
「なんともないのか? お前みたいなやつは初めてだ」
普通、このバリヤーが弾けると、更に吹き飛ばされて、壁や天井に打ち付けられる。ガイガイオウは、さっき壁に打ち付けられた仕返しをしたつもりだった。
「ゴングのバリヤーと違うだろ。ライトセーバーをきっかけに、すり抜けたぞ」
「すごいな、その剣、欲しいぞ」
「オレに勝てたら、いいぞ」
ヒロが、ふっと、笑う。
「そうか」
そう言うなり、腕のブレードを倍ぐらいに伸ばして、上空から急襲してきた。ヒロがそれを受けると上空で回転して蹴ってくる。ヒロとバトルスタイルが近い。ガイガイオウのスピードが上がっていた。
蹴りを軽くよけて反撃しようとしたが、ガイガイオウは、それに合わせるようにレーザー砲を撃ってくる。1対1なので、仲間に当てる心配はない。
おれは、これを刀身で、裂くように受け止めた。軸が少しでもずれたら、自分に当たるタイミングだった。
おれは、普段、敵の攻撃を避けてから、刀を添える。その余裕がないほどの相手だ。アリーシャは、二人の動きが早すぎて、戦いに入れない。おれの指示待ちになった。
「ヒロ、だめよ!」
アリーシャが叫ぶ。
強い相手だ。ヒロは、無為意識に、スラッシュを使おうとした。
「わるい」
スラッシュ : 斬撃技
ただの斬撃なら問題がないが、ヒロは、ライトセーバーを使っている。それも、ガイガイオウのバリヤーバブルを裂いている。アリーシャが、いやな予感がするとヒロを静止した。アリーシャの勘は、当たる。たぶん、ガイガイオウが、真っ二つになるイメージをしたのだろう。
「何だ、手加減か」
「ちがう、色々あるんだよ」
そう言いながら、弱いスラッシュを撃った。
シャインと、ガイガイオウがソニックブレードで受ける。
ヒロは、更に中くらいのスラッシュを撃つ。この強さだと、ライトセーバーの光属性が乗る。
ガイガイオウは、両手のソニックブレイドで、ギャインと、これを受けたが、仰け反り地上に降りてきた。斬撃は、受け止めきれず天井に大きな傷跡を残した。
地上に降りたガイガイオウを見て、アリーシャが、ほっとする。ヒロは、手の届かない相手に、全力を出す癖がある。
おれは、天馬の蹄を装備したままだ。今の装備なら飛べないこともないが、この、飛翔アイテムは、おおざっぱで、これぐらいの空間では、慣れるのに時間がかかる。今の敵を前に、そんな余裕はない。
アリーシャが、ヒロのアイテムを点検した。
「ブラックソードよ。それなら、好きにしていいわ」
拾ったばかりのアイテムだ。クラフトをしていないが、とにかく硬い。強敵でも、普通の剣として使えるだろう。
「本当か!」
ライトセーバーは、リキャストタイムが終われば、レーザー砲の盾としても使える。光刃をしまって腰に下げ、ブラックソードを出した。
「毒の属性付き」
アリーシャは、ガイガイオウにも聞こえるようにヒロに話す。
ブラックスコーピオンのドロップだもんな
おれは、ブラックソードを初めて使えて嬉しくなった。
ブラックソードは、普通の剣の3倍はある重さだ。この重さが手になじむ。
二人は、普通の剣士の様にぶつかった。そして、蹴りと打撃がこれに加わる。
アリーシャは、闘技上の壁に無数に空いている観覧席のようなテラスを見た。いまでは、驚くほど多数の蟲人間がそこにいた。
ヒロと、ガイガイオウは、延々ともいえる打ち合いをしている。これを見ない手はないと蟲たちが集まってきたのだ。
ガイガイオウの三次元的な体捌きに感心しながら、ヒロが応戦する。まるで、忍者だ。
この三人とパーティーが組めたらいいな。それに、シャーンとアリーシャの相性は最高だ。ガイガイオウには、ノーマに、さっきのバリヤーバブルの技を、教えてもらいたい。
そんな、甘いことを考えながら戦う。
アリーシャのおかげでノーダメージなヒロと違い、さっきの極大のライトセーバーのオーバーブレイドに打たれて壁に激突したガイガイオウが疲弊しだした。




