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ロードオブ召喚獣  作者: 星村直樹
ジラーフの浮島
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ブラックスコーピオン

 一番大変だったブラックスコーピオンを思い出す。


「とりあえず、あいつを倒すぞ」

「ぎゃう」


 おれは、剣士だ。攻撃と防御は得意だが、魔法の類は、ほとんど使えない。ラヴィは、魔法師だ。攻撃も回復も行ける。まさに最強コンビだ。



 ライナー渓谷には、浮き島につながるゲートがある。ラヴィは、いつも浮き島を見ていた。おれの目標は、この浮島にラヴィを連れて行くことだ。だから、すぐには、龍族にならず高レベルを維持して浮島攻略を目指す。ライナー渓谷は、ザブ砂漠の果てにある。だから、ここには、砂漠の主がいた。ブラックスコーピオンは、ボス級のエネミーである。体は、鎧のように頑丈で、しっぽの毒攻撃は、受ければHPを瞬く間に減らしていく。Lv85にしては、最強のステータス攻撃をする。



 敵は、いきなりジャンプして、蹴り攻撃をしてきた。これを飛んで避けると、大きな爪に殴られるか、運が悪いとはさまれる。ひたすら耐えていると、しっぽの毒攻撃で、毒殺される。


 弱点は、首の関節にある。背中に上がられると、しっぽ攻撃しか出来ない。おれは、6本もある足の蹴り攻撃を避けながら、背中に何度も登り、首の関節を狙う。ラヴィは心得ていて、自分の肩から離れない。しっぽ攻撃が来たら知らせてくれる。


 ラヴィの主な役目は、サポートだ。他のプレーヤーは、ラヴィのシャイニングバーストを見ているし、召喚獣の火龍が強攻撃だから、そう、思っているかもしれないが、実際は、ずっとサポートしてくれている。かといってHPが減れば、弱いが回復してくれる。でも、偶に強力な攻撃をするものだから、それが、印象に残る。



 足の装甲を壊せば、弱点になる。だが、壊した代わりに、小さなスコーピオンが湧いてきて、弱点に攻撃させない。剣士は、物理攻撃だ。装甲のHPを削るのは得意中の得意。ジャストガードしながら、セオリー通り、足の装甲を壊して回った。そのやり方だと、弱点攻撃より時間がかかるし雑魚エネミーも湧くが、確実だ。自分も、火龍王だとか言われているが、結構地味な攻撃を得意としていた。



 全部の足装甲を壊した時だった。急にブラックスコーピオンの動きが早くなった。


 うわっ、聞いて無いぞ


 砂漠にいるブラックスコーピオンと違う。これでは、背中に乗って、弱点攻撃するしかない。


「ぴぴっ!」


 背中に乗るとラヴィが、警告音を鳴らした。なんと、しっぽが2つに分かれていた。この毒にやられたら、まずい。さっきまで、なかった攻撃だ。


「ピピッ!」


 今度は、鉤爪攻撃も来た。これも普通ない攻撃だ。しっぽと鉤爪に、前後を挟まれてしまった。


「こいつ、2段階攻撃できるのか」

 これだと、Lvは、95クラスになる。たぶんHPが、半分削られるとこうなるのだろう。



 足元は、雑魚エネミーで埋め尽くされていた。まさか、ブラックスコーピオンの前方に逃げるわけにはいかない。口から、遠距離攻撃のエアー手裏剣を無数に飛ばしてくる。ラヴィが、「ぎゃおーん」と、雄たけびを上げた。



「ラヴィ、後ろを頼む」

 ラヴィが肩から飛び立った。おれは躊躇なく鉤爪を払う。


 ラヴィは、「アオーン」と、リフレクションプロテクトを自分にかけ、体当たりで、しっぽを2つはじいた。


 おれは、全力を出した。

「ローリングフォール」


 縦回転の攻撃スキルを発動させて、鉤爪をはじき、そのまま首の弱点に全力攻撃だ。剣は、弱点の首筋にめり込んだ。更に突き立てた剣にラヴィが乗り、電撃を流し込む。この電撃が、ボスの下にいた雑魚エネミーを一掃した。



 後顧の憂いがなくなったおれ達は、地上に降りて、無防備になった足を攻めた。首筋に突き立てた剣は、新たな弱点となる。おれは、別の剣を抜いて足を攻撃した。



「ギャガオーーーーーーン」


 雄叫びだ。おれ達は全力て、ここから離れた。真っ赤な電撃がブラックスコーピオンを包む。全方位攻撃が来た。それもLv違いの強攻撃。やはり、この二股のブラックスコーピオンは、Lv95だ。


 永遠と、この全方位攻撃を避けながら、無防備になった足を攻撃しているとラヴィが、光りだした。おれは心得たとばかりにコマンドを叫んだ。


「シャイニングバースト」


「ぎゃおん」



 ラヴィは、おれの肩から離れて巨大化し、バハムートになった。小さかった羽は広がり、その羽も嫌と言うほど光る。


「ゴギャガ、ゴォオーーーーーーーン」


 ラヴィの前身が光り、口とも羽ともなく、全身から、シャイニングバーストが発射された。二股のブラックスコーピオンに光の柱が立つ。


「ギャーーーーーーー」

 ブラックスコーピオンは、二つのカギ爪を万歳させて、シャイニングバーストを受けるしかなかった。最後のあがきで、赤い雷が全身を覆う。その時おれは、ジャンプから、空中で、ローリングホールを発動させ、更に上空にジャンプしていた。その、おれの肩に、元の大きさに戻った、ラヴィがとまる。


「二本目だ!」

 今度は、根元までめり込んだ。ラヴィがすかさず電撃を流す。


「ギャーーーーーーー」

 また、ブラックスコーピオンが、二つのカギ爪を万歳させた。普通だったら、ここで終わっている。二人は、慌てて、遠くに逃げた。思った通り全方位攻撃だ。赤い雷が、二股のブラックスコーピオンを包む。


「どうなってる。HPが、半端じゃないぞ」


 二股のブラックスコーピオンは、全方位攻撃を連発させだした。これでは近寄れない。「ギャーーーーーーー」


「ギャーーーーーーー」

 万歳しまくるブラックスコーピオンを見て、特殊攻撃しか無いかと思ったおれは、とっておきを出すことにした。このまま放っておくと、ブラックスコーピオンのHPが回復してしまう。周りに冒険者がいないのを確認して、ラヴィにお願いした。



「ラヴィ、リフレクションプロテクトアタックだ」

「ぎゃう」


 ラヴィが、プロテクトの効果範囲を広げた。おれの全身も、このフィールドに包まれる。いまでは、おれもラヴィも光彩がにじむように白く光っていた。おれは、ジャンプして、空中で、ローリングホールを発動させ、更に上空にジャンプした。


「ローリングホール!」

 おれたちは、この真っ赤な雷の中に突っ込んだ。白いプロテクトシールドが、赤い稲妻をはじき続ける。

 そして、首筋に剣を立てた。


「三本目だ」


 ラヴィが、電撃を流す必要は、なかった。二股のブラックスコーピオンは、「ギャーーーーーーー」と、万歳して、そのまま動かなくなった。アバターが、崩壊し霧散する。


【コングラッチレーション】


 今日一番の強敵に勝つことができた。3本突き立てた剣の代わりに、ブラックソードがドロップ、そのほかに、解毒剤やら、ハイポーションやらが、大量にドロップした。


「このブラックソードは、普通の剣の3本分ってことだよね」


 そう、ラヴィに話しかける。ラヴィは、自分の胸辺りを撫でていた。ラヴィにもアイテムがドロップしていた。初めてのことだ。砂漠の秘宝がラヴィの胸辺りに輝いている。ラヴィは、このマジックアイテムを使って、新たな技が使えるようになったのだ。


「ラヴィおめでとう。初めてのドロップだね」

「あおーん」


 二人ともLvが、97になっていた。

「レベルアップボーナス付きか、なんだか、100が見えてきたよ。エルフになるのもいいかもな」

「ぎゃう?」

「ジョウダン冗談、龍族だろ」

「ぎゃうぎゃう」

「わかった、わかった。浮き島の入り口を探そう」


 二人は、ライナー渓谷の奥に足を踏み入れた。

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