ゴング
「勝てたらだ」
ゴングが、言い直す。
そう言って、前衛のシャーンを置いてヒロに突進した。
両者は、ガツンとぶつかり、一歩も引かない。ヒロは、剣で受け止めず、左ひじだけで受け止める。ヒロの2倍もあるゴングが、ヒロを見下ろしながら、頭上に、とっておきの角を出して、ヒロを鋏もうとする。これにつかまると、身動きできなくなる。
おれは、ゴングの前足を軽く払って、うつ伏せにした。ズゴンと柔らかそうなわき腹を踏みつけようとするが、ゴングは、バンと、羽を出して仲間の所まで、飛んで引き下がった。
「見破られていると、とっておきにならないな」と、愚痴る。
シャーンが、ゴングの脇をたたいて前に出た。刀を逆手に持っている様な出で立ちだ。そんなに鋭利には見えないが、この腕から出ている鎌の刀身が振動しているのなら、当たるだけで、サックリ行くだろう。シャーンは、ヒロに突進した。
速い! それも、二刀流だ。忍者のように音も立てない。
ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピッと、剣が何合もぶつかる音がした。
ヒロは、片手で、対応している。その意味が分かるシャーンが、距離を取った。しかし、ヒロの追従がとまらない。もう、上空にジャンプしてライトセーバーを振りかざしている。
これをゴングが、薙ぎ払う。
ゴングの薙ぎ払いにも対応して、ヒロは、ゴングの頭を蹴った。そのまま、シャーンに剣を振り下ろす。
ピカッ
やはり、ガイガイオウが、レーザー砲を発射した。
しかし、レーザー砲の光は、ヒロの手前で屈折して天井に当たる。
「サンキュー」
アリーシャの空気鏡が、レーザー砲を阻む。
アリーシャは、反射も狙っているが、相手のレーザー砲が強すぎて、偏光するのがやっとだ。でも、ヒロには、それで、十分だった。
レーザー砲を偏向させられたガイガイオウが、唸った。
「ぐおーーーーーっ」
見る見る、肩が、せり上げって、透明な玉が、後、二つも現れた。
「レーザー砲3つか!!!」
透明な玉が、ギョロッと、ヒロをにらむ。的への標準は、見る行為と同じようだ。
「ピピッ」
アリーシャの警告音だ。
ヒロに打ち込まれなかったシャーンが、腕から出ている鎌を振り上げる。
それを、とんぼ返りするように避けた。そこに、ゴングのタックル、これも、ゴングの肩を蹴って、更に空中高く上がる。レーザー砲の格好の的となった。
この好機を逃すはずがないガイガイオウが、レーザー砲を3連掃射する。2発は、アリーシャが曲げたが、一発はヒロへ。
「グワッ!」
悲鳴を上げたのは、ガイガイオウだった。肩が撃ち抜かれ、レーザー砲の玉が、床に落ちた。
ヒロは、ライトセーバーを盾のような、ディープベースに変形させていた。この改造に使った光の盾は、光を反射する。
遠距離では、レーザー砲が効かないと見たガイガイオウが、戦線に参加する。遠距離型だと思っていたガイガイオウは、近接形でもあった。手を光らせながらパンチを入れてくる。ライトセーバーをもろともしない。
それも、三人の息がぴったり合っている。さすがに隙が無い。もし、ガイガイオウの両手が使えていたら、さらに厄介だったことだろう。
楯役のゴングもうまい。良いところに割ってくる。
三人パーティーで、全員近接か。すごいな。
隙を見せれば、ガイガイオウが、レーザー砲をこの距離で撃ってくるのだろう。
「アリーシャ、バインドしてくれ」
バインドは、敵を攻撃する技ではない。意志が通じるアリーシャと開発した、ヒロのエアージャンプだ。
「マ・フウ(舞・風)」
ヒロが空中に舞う。
そして
「キョウ・フウ(鏡・風)」
空中に空気の足場を作る。
ヒロは、これを蹴って枝の年輪が入ったような硬そうな床に、グランドインパクトを打った。
「グランドインパクト」
硬い床が波打ち揺れる。
足場を失った三人が、体勢を崩した。
そこに、信じられない大きさの大剣が、野球のバットのように三人を打つ。ヒロが、ライトセーバーをオーバーブレイドさせたのだ。
ドガッ
ズガッ
ドォン
三人は、壁に激突
ゴングが頭を振りながら起き上がる。
「みんな、すまん」
楯役のゴングが、力負けしたせいで、シャーンとガイガイオウが、ダメージを負ってしまった。二人が復帰するまで、一人で、踏ん張るしかない。
「風の魔法使い、やるな!」
「アリーシャの仕事だと分かるんだ」
オーバーブレイドは、伸ばしたとき最初だけ、大きく伸びる。ヒロの打撃に合わせてアリーシャが、風で広い刀身を押していた。自分の仕事が分かる人がいて、ちょっとうれしいアリーシャ。
ゴングは、頭の角を隠すのをやめ全開にした。
「うぉーーーーー」
ヒロのライトセーバーは、オーバーブレイドのままだ。パワー勝負になった。
ドゴン、ドゴンと、近くにいたら、剣を交える音だけで、吹き飛ばされそうなぶつかり合い。さっき一瞬大きく伸びたオーバーブレイドの刀身は、ヒロの身長の5/6ぐらいの長さに落ち着いていた。対してゴングは、ヒロの2倍の身長。鋭利ではないが、攻撃できる手足と頭をフルに使ってくる。
ゴング一人でヒロを倒せるのなら、そうしている。ヒロがゴングに力負けしていないので、それが難しい。だが、仲間のために時間稼ぎをしなければならない。ゴングは、ヒロを倒れている仲間の所に行かせないために、普段出さないスピードで、手足を動かした。
たぶん、このスピードでの攻撃は長く続けられないだろうと、おれは、思ったが、癖で、ここでゴングと勝負したくなった。
「オーバーグラビトン」
これは、ライトセーバー特有のスキル
ヒロが叫ぶと同時に、剣が重くなる。ゴングは、この重い剣を全霊で受け止めた。
「セーフティーラン」
普段は、防御用の受け止め技だが、ゴングの技は、戦いの中で進化した。ヒロの大剣を受け止めながら、一歩前に出る。
防御しながらの攻撃だ。ヒロには、自分の剣圧分、倍の負荷がかかる。奥に控えているアリーシャの所まで吹き飛ばされた。アリーシャが、空気のクッションで、これを受け止める。
「やるね。アリーシャ、ゴングに向かって、バインドしてくれ」
「バインド」
ヒロに空気圧が掛かり、破裂した。ゴングに向かって吹っ飛んで行く。ゴングは、これを角で受け止める構えだ。
「グラビティエンド」
ヒロは、光の大剣を振りかざした。光の大剣が、更に伸びたて、5段階に重くなっていく。
ドゴン、ドゴン、ドゴン、ダガン、ゴガン
とんでもない剣圧が、ゴングにかかる。
ミシッ、バギッ!!!!
ゴングの角が、片方折れた。
グラビティエンドは、剣の重さを倍、倍と重くして、相手を剣圧で押し切る技だ。2倍4倍8倍、16倍、32倍と重くなる。その代り、リキャストタイムに入り、当分ライトセーバーは、普通の刀身の長さでしか使えなくなる。ライトセーバーは、楯タイプのディープベースにもなれない。
そこに、復活した二人が、駆け付けた。
「ゴング、もう、いいぞ。休め」
ガイガイオウが、ゴングを慰労する。休むも何も、ゴングは、足が震えて、動くことができなかった。
「ガイガイオウ、ゴングを頼む」
シャーンが前に出る。今度は、スピード勝負だ。ガイガイオウは、ゴングを自分たちが打ち付けられた壁まで運ぶ。




