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ロードオブ召喚獣  作者: 星村直樹
世界樹
19/148

ゴング

「勝てたらだ」

 ゴングが、言い直す。

 そう言って、前衛のシャーンを置いてヒロに突進した。


 両者は、ガツンとぶつかり、一歩も引かない。ヒロは、剣で受け止めず、左ひじだけで受け止める。ヒロの2倍もあるゴングが、ヒロを見下ろしながら、頭上に、とっておきの角を出して、ヒロをはさもうとする。これにつかまると、身動きできなくなる。


 おれは、ゴングの前足を軽く払って、うつ伏せにした。ズゴンと柔らかそうなわき腹を踏みつけようとするが、ゴングは、バンと、羽を出して仲間の所まで、飛んで引き下がった。


「見破られていると、とっておきにならないな」と、愚痴る。




 シャーンが、ゴングの脇をたたいて前に出た。刀を逆手に持っている様な出で立ちだ。そんなに鋭利には見えないが、この腕から出ている鎌の刀身が振動しているのなら、当たるだけで、サックリ行くだろう。シャーンは、ヒロに突進した。


 速い! それも、二刀流だ。忍者のように音も立てない。


 ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピッと、剣が何合もぶつかる音がした。


 ヒロは、片手で、対応している。その意味が分かるシャーンが、距離を取った。しかし、ヒロの追従がとまらない。もう、上空にジャンプしてライトセーバーを振りかざしている。


 これをゴングが、薙ぎ払う。


 ゴングの薙ぎ払いにも対応して、ヒロは、ゴングの頭を蹴った。そのまま、シャーンに剣を振り下ろす。


 ピカッ


 やはり、ガイガイオウが、レーザー砲を発射した。


 しかし、レーザー砲の光は、ヒロの手前で屈折して天井に当たる。


「サンキュー」


 アリーシャの空気鏡が、レーザー砲を阻む。


 アリーシャは、反射も狙っているが、相手のレーザー砲が強すぎて、偏光するのがやっとだ。でも、ヒロには、それで、十分だった。


 レーザー砲を偏向させられたガイガイオウが、唸った。

「ぐおーーーーーっ」


 見る見る、肩が、せり上げって、透明な玉が、後、二つも現れた。


「レーザー砲3つか!!!」


 透明な玉が、ギョロッと、ヒロをにらむ。的への標準は、見る行為と同じようだ。


「ピピッ」


 アリーシャの警告音だ。

 ヒロに打ち込まれなかったシャーンが、腕から出ている鎌を振り上げる。

 それを、とんぼ返りするように避けた。そこに、ゴングのタックル、これも、ゴングの肩を蹴って、更に空中高く上がる。レーザー砲の格好の的となった。


 この好機を逃すはずがないガイガイオウが、レーザー砲を3連掃射する。2発は、アリーシャが曲げたが、一発はヒロへ。


「グワッ!」


 悲鳴を上げたのは、ガイガイオウだった。肩が撃ち抜かれ、レーザー砲の玉が、床に落ちた。


 ヒロは、ライトセーバーを盾のような、ディープベースに変形させていた。この改造に使った光の盾は、光を反射する。


 遠距離では、レーザー砲が効かないと見たガイガイオウが、戦線に参加する。遠距離型だと思っていたガイガイオウは、近接形でもあった。手を光らせながらパンチを入れてくる。ライトセーバーをもろともしない。


 それも、三人の息がぴったり合っている。さすがに隙が無い。もし、ガイガイオウの両手が使えていたら、さらに厄介だったことだろう。


 楯役のゴングもうまい。良いところに割ってくる。


 三人パーティーで、全員近接か。すごいな。

 隙を見せれば、ガイガイオウが、レーザー砲をこの距離で撃ってくるのだろう。


「アリーシャ、バインドしてくれ」


 バインドは、敵を攻撃する技ではない。意志が通じるアリーシャと開発した、ヒロのエアージャンプだ。


「マ・フウ(舞・風)」

 ヒロが空中に舞う。


 そして


「キョウ・フウ(鏡・風)」

 空中に空気の足場を作る。


 ヒロは、これを蹴って枝の年輪が入ったような硬そうな床に、グランドインパクトを打った。


「グランドインパクト」


 硬い床が波打ち揺れる。


 足場を失った三人が、体勢を崩した。


 そこに、信じられない大きさの大剣が、野球のバットのように三人を打つ。ヒロが、ライトセーバーをオーバーブレイドさせたのだ。


 ドガッ

 ズガッ

 ドォン

 三人は、壁に激突


 ゴングが頭を振りながら起き上がる。

「みんな、すまん」


 楯役のゴングが、力負けしたせいで、シャーンとガイガイオウが、ダメージを負ってしまった。二人が復帰するまで、一人で、踏ん張るしかない。


「風の魔法使い、やるな!」


「アリーシャの仕事だと分かるんだ」


 オーバーブレイドは、伸ばしたとき最初だけ、大きく伸びる。ヒロの打撃に合わせてアリーシャが、風で広い刀身を押していた。自分の仕事が分かる人がいて、ちょっとうれしいアリーシャ。


 ゴングは、頭の角を隠すのをやめ全開にした。


「うぉーーーーー」


 ヒロのライトセーバーは、オーバーブレイドのままだ。パワー勝負になった。


 ドゴン、ドゴンと、近くにいたら、剣を交える音だけで、吹き飛ばされそうなぶつかり合い。さっき一瞬大きく伸びたオーバーブレイドの刀身は、ヒロの身長の5/6ぐらいの長さに落ち着いていた。対してゴングは、ヒロの2倍の身長。鋭利ではないが、攻撃できる手足と頭をフルに使ってくる。


 ゴング一人でヒロを倒せるのなら、そうしている。ヒロがゴングに力負けしていないので、それが難しい。だが、仲間のために時間稼ぎをしなければならない。ゴングは、ヒロを倒れている仲間の所に行かせないために、普段出さないスピードで、手足を動かした。


 たぶん、このスピードでの攻撃は長く続けられないだろうと、おれは、思ったが、癖で、ここでゴングと勝負したくなった。


「オーバーグラビトン」

 これは、ライトセーバー特有のスキル


 ヒロが叫ぶと同時に、剣が重くなる。ゴングは、この重い剣を全霊で受け止めた。


「セーフティーラン」

 普段は、防御用の受け止め技だが、ゴングの技は、戦いの中で進化した。ヒロの大剣を受け止めながら、一歩前に出る。

 防御しながらの攻撃だ。ヒロには、自分の剣圧分、倍の負荷がかかる。奥に控えているアリーシャの所まで吹き飛ばされた。アリーシャが、空気のクッションで、これを受け止める。


「やるね。アリーシャ、ゴングに向かって、バインドしてくれ」

「バインド」


 ヒロに空気圧が掛かり、破裂した。ゴングに向かって吹っ飛んで行く。ゴングは、これを角で受け止める構えだ。


「グラビティエンド」


 ヒロは、光の大剣を振りかざした。光の大剣が、更に伸びたて、5段階に重くなっていく。


 ドゴン、ドゴン、ドゴン、ダガン、ゴガン


 とんでもない剣圧が、ゴングにかかる。


 ミシッ、バギッ!!!!


 ゴングの角が、片方折れた。


 グラビティエンドは、剣の重さを倍、倍と重くして、相手を剣圧で押し切る技だ。2倍4倍8倍、16倍、32倍と重くなる。その代り、リキャストタイムに入り、当分ライトセーバーは、普通の刀身の長さでしか使えなくなる。ライトセーバーは、楯タイプのディープベースにもなれない。


 そこに、復活した二人が、駆け付けた。


「ゴング、もう、いいぞ。休め」


 ガイガイオウが、ゴングを慰労する。休むも何も、ゴングは、足が震えて、動くことができなかった。


「ガイガイオウ、ゴングを頼む」

 シャーンが前に出る。今度は、スピード勝負だ。ガイガイオウは、ゴングを自分たちが打ち付けられた壁まで運ぶ。

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