ワイバーン
今度のワイバーンは、甲冑を装備し、武器を持った戦闘集団だ。
「あれは、龍王城の者たちだろう。ラヴィの友達だって言ってみるか」
「無理よ」
「ラヴィに、王に謁見しに行くと言ってもらえばよかったな」
「今更、おそーい」
「じゃあ、力を示すか」
「うん」
ワイバーン達は、隊形まで組んでいる。横広がりで、これ以上は、通さないと言う構えだ。
「オレ達を通さないために壁を作っているんだろうな。ちょっと脅すか。ウオーターウオール」
ノーマが光りだした。タイミングを計る。
ヒロは、一挙に戦闘集団の高度まで上がり、対峙した。まず、ワイバーンがついてこれるスピードでないことをアピールする。
「オレは、龍王に謁見に来ただけだ。いきなり襲ってきたワイバーンも、気絶させただけだぞ」
大声でどなってみるが、反応がない。
中央の、金キラした甲冑を着ているワイバーンが、「ギャオ――――ン」と、雄たけびを上げると、この空域が裂けるのではないかというぐらい。全部のワイバーンが雄たけびを上げた。
ドギャオーーーーーーーーーン
先頭集団が、一気にヒロに押し寄せてきた。
ここで、ノーマは、ファー――ンと光り、シャボンを先頭集団の目の前に、いっぱい膨らませる。
「ウオーターウォール」
ノーマが、輝く光の中で、ヒロの指示を詠唱した。
ぱしゃあ
シャボンは、水の壁となってワイバーンの行く手を阻んだ。
空の上で、これほど大量の水を浴びたことの無いワイバーンたちが、躊躇しているところにヒロが突っ込んだ。
ヒロは、戦闘集団に囲まれることなく、各個撃破していく。
たった一人に混戦を強いられてしまった。
中央にいる金キラしたワイバーンは、将クラス。腕組みをして、ニヤッと笑っている。これほどの強敵に出くわすことはそうないことだ。
「ギャオ――――――――ン」
中隊長の雄叫びを聞いた先頭集団が下がった。しかし、もう、半数近くやられていた。おれは、こういう数で押してくる相手にとても強い。
中隊長は、手を出すなと、全員に指示した。
そして、人の言葉で、ヒロに宣言した。
「何処のどいつか知らんが、謁見はあきらめろ。取次もなしだ。もう一度出直してこれたら、話をきかんでもない」
お前は、ここでワシに倒されるから、次は無いと言っている。
「次は、いい。おまえを倒せばいいんだろ」
「おまえではない、ヒューガだ」
「ヒロだ。後ろの奴に言っとけ、次はお前らだ」
「ほざけ」
ヒューガは、人の倍もある長さの鉞を振りかざした。おれは戦士だ。力押しは嫌いではない。ギシャーンとヒューガ渾身の鉞をはじき返す。
驚いたのは、ヒューガだ。こんな強い相手は見たことない。
「おまえ、今までどこに隠れていた」
「さあな、来たばっかだ」
「ピピッ」
話している内に、ヒューガのしっぽ攻撃が下から襲い掛かる。おれは、簡単に避けてダイブブレイクを撃った。
「ダイブブレイク」
滑るように急襲する。ヒューガの鉞を打点としたブレイク攻撃だ。弱い武器なら壊れ、強い武器でも普通のエネミーなら衝撃で、武器を落とす。ヒューガは、武器を落とさなかったが、手がしびれて次の攻撃が遅れた。
「ラウンドストライク」
ヒロは、そのまま、一回転しながら、ワイバーンの頭に踵落としを入れた。それも、ヒューガは、耐えて見せた。
「やるね」
まずい、格が違う
とっさにヒューガは、そう、思ったが、部下の手前、後に引けない。それに、今の蹴りで、脳を揺さぶられて、前が二重に見える。
ヒューガ最高の攻撃は、火龍波である。広範囲の炎攻撃で、この距離なら逃げ場はないはずだ。ヒューガは、口をガバッと開け、ワイバーン特有の炎攻撃の体制に入った。
ドゴーン
「ウォーターシュート」
ボガンと、ヒューガの目の前で、水玉弾が破裂した。ヒューガは、目を回して下界に落ちて行く。それを何匹かの者が後を追った。
「だから、近いって」
「ごめん」
おれは、振り返って宣言した。
「次はどいつだ」
中隊長をやられたワイバーン達は、狂ったように、ヒロに押し寄せた。隊形が崩れる。
おれは、更に、混戦になるように中央を突破して後方から、この戦士たちを攻めた。




