世界樹の守護者たち
「わーーーーーー、樹だな」
ヒロは空を仰いで、のけ反った。
「でしょう」
ゲートは、世界樹の根元にある。眼下には、巨大な街も見える。しかし、振り返って見上げると、天辺が見えない。
「ねっ、飛んで行くしかないでしょ」
「浮遊石だけじゃ足りないな。久々に飛翔アイテム出すか」
ヒロは、天馬の蹄を出して風の結晶石をセットした。今回は、飛翔石もセットして、高速で自由に空を飛べるようにカスタマイズする。更に、剣には、浮遊石をセットして飛距離を伸ばす。
「ここは、ワイバーンの巣がある所だったよな。戦闘準備もしとけ」
「わかった」
「何もなけりゃあ、一個だけどな」
そう言って、風の結晶石をもう一つセットする。フル装備だ。蹄は2つある。各々セット完了した。
ノーマは、ステータス異常の回復は得意だが、HP回復が弱いままだ。アイテムの確認をする。
「ジャスト召喚のまままでいい?」
「いつもそうだろ、バトル召還してほしいか?」
「ここがいい」
ノーマをジャスト召喚すると、ヒロのステータス耐性が上がる。ノーマとは、この方が相性が良い。
「よし、行くぞ」
飛翔アイテムを肩にセットすると羽のような形になる。おれは、空を飛ぶイメージをした。天馬の樋爪から、光の羽が2枚発生してその間から大量のエアーが噴出した。
浮遊石で軽くなったおれは、大地をおもいっきり蹴った。
ヒロたちは、すごい勢いで世界樹上空に向かって舞い上がった。
龍王城を守るワイバーン飛翔隊は、龍王から何の指示も受けていない。そんな中で、地上からの侵入者を発見した。それも、すごい勢いで飛翔している。普段、こんな無茶をする侵入者はいない。せいぜい、世界樹をよじ登る程度で、ゆっくり査察できる。
慌てたワイバーン飛翔隊は、急きょ戦闘態勢に入った。常時7匹体制の隊は、1匹を連絡に王城に送り、6匹で戦闘に臨む。連絡係は、途中上空の駐屯所にも連絡しながら、王城を目指す。
ほとんど、獣捕獲用にしか使ったことがないネットを4匹で張り、2匹で、この侵入者を静止させようと立ちはだかった。
根元付近の飛翔隊駐屯所は4か所、しかし、このスピードでは、応援は、間に合わないだろう。
「やっぱり現れたか」
「ワイバーンよ。殺さないで」
「分かってる。ラヴィーに迷惑は、かけないさ」
「ギャオ―――ン」
音波攻撃だ。実際は、力ある声で、「止まれ」と、言っているが、ヒロには全く聞かない。
「ギャオ―――ン」×2
2匹は、同時に音波攻撃を仕掛けてヒロに突っ込んだ。
おれは、剣の柄で、この二匹の後頭部を殴る。二匹は、気を失いながらも、ひらひらと地上に落ちて行った。
バサーーーーー
間髪を入れずネットがヒロを覆った。ヒロは、錐揉み状態になり方向を失う。
やるな
バスンと、ネットを裂き上空を目指す。
「ピピッ、ヒロ!」ノーマの警告音が鳴った。
バサササーーーーーーーーーー
更にネットが降ってくる。
おれは、これをかわして次のネットに飛び込んだ。
ボンと、ネットの中央を裂いて現れたヒロにワイバーンたちは、なすすべもなく倒されていく。
上空を見上げると、応援に、五小隊が駆け付けた。伝令になったのは、最初の小隊の小隊長だ。彼が一番足が速い。今度は、隊長を含めた完全な小隊が、5小隊も襲ってきた。小隊長クラスは、火の玉を吐く。そして、隊員は、横4方向と、上下を囲い込んでのカギ爪攻撃を仕掛ける。
スキのない攻撃だが、おれにとってはありがたい。
「追う手間が省ける。まだまだ、時間はあるだろ」
「フル装備だもんね。当分飛んでいられる」
「よし、ノーマ、小さいのだぞ、小さい水玉弾を火の玉を吹くやつの鼻っ柱にぶつけてやれ」
「いいの?」
「やってみろよ。小さいやつだと連弾もできるだろ」
ノーマが、人差し指をくるっと回しながら、隊長格の火を噴くワイバーンの顔めがけて水玉弾を撃った。
ボガン、ボガン、ボガン
隊長たちは、口に含んでいる火竜弾が、目の前に飛んできた水の塊とぶつかって破裂。目を回して地上に落ちていく。
「すごい、今の、私よね」
「水爆だよ。向こうさんの火の玉が、水玉に当たって爆発したんだ。後二匹だ、任せる」
その間、おれは、体当たりしたり、鉤爪攻撃してくるワイバーン達をどんどん気絶させていく。
「ピピッ」
またネットだ。今度は、ノーマが反応した。
おれは、攻撃してくるワイバーンに隠れながら、ネットを落としてくる小隊めがけて突っ込んだ。そこには、火竜弾を吐く隊長もいる。
ボガン
「ノーマ、近すぎるぞ」
「ごめん」
ネットを落としてくる小隊の小隊長の攻撃にノーマが合わせてしまった。4匹が目を回して落ちていく。
「まあ、悪くはないか」
「えへへ」
さっきの攻撃で、2波目の攻撃は、あらかた片付いた。残った小隊長は、無事なワイバーンを引き連れて退散していく。このまま戦っていても、全滅するだけだ。
逃げていくワイバーンの奥を見ると、今度は、山のようにワイバーンが迫ってきた。
「ピピッ、百匹ぐらい、いるんじゃないかな」
「どんだけ来んだ」
気が付いたら、もう、2000メートルは上空に上っていた。ここには、ワイバーン中隊が駐屯している。ワイバーンの住処は、龍王城の上になる。龍王城までは、太い樹の幹しかない。王城もそうだが、ここを突破されると、自分たちの生活圏が脅かされるとあって、強いワイバーン達が出張って来た。




