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ロードオブ召喚獣  作者: 星村直樹
人魚姫、危機一髪
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人魚姫危機一髪

 戦艦のヒューベースでは、宇族が、脱出準備を進めていた。ここは惑星サガだ。宇宙戦艦を壊す怪物がいるような惑星だ。だが、人魚をおとりにして、最終的に6人連れ帰れば、大儲けだ。

「おおい、カプセルをこっちに運べ」

「お頭、戦艦は捨てるんですかい」

「時間稼ぎに人魚を一人殺したら、お釈迦にされる。戦艦を盾に使うぞ。お前らも逃げ切れ」


 大量にカプセルが、ヒューベースに出たところで、ヒロが、立ちふさがった。カプセルの所までいかなくて済んだ。ご苦労さんと言う感じだ。この間に、ラヴィたちは予定通り艦内に散らばった。


 拡声モードON

「お前ら、お宝を置いていけ」 びっくりするような大声。


「おい、ありゃあクリスタルソードじゃないか」

「なんてこった、こんな時に」

「お前、人族だろ。超人風情が、おれらの仕事の邪魔すんな」


 ウルフ族だ。惑星ジュームの住人達だ。


「知るか、ここのカプセルは貰うぞ。お前ら大損だろ、このままここに居たら、命もなくなるぞ。逃げた方がいいんじゃないか」


「うるせえ、野郎ども散らばって逃げろ」


 そういうなり、いきなりレーザーガンを撃ってきた。


 ヒロは、大量のレーザー光線をかいくぐり、敵を無視して、宇宙艇やシャトルの外壁を壊して回った。せめてもの情けにファイターは、そのままにした。


 一番大きな宇宙艇の操縦席の窓を壊されたのを見たウルフ族たちが慌てた。あれをやられては、人魚を連れて、ここから逃げられない。慌てて、ファイターに乗り込む船員たち。


「おい、カプセルも持って行け」

「無理だ。おれらが乗れない」


「お前は、逃げなくていいのか」


「お前じゃない、ベクトだ」


「ヒロだ、また会おうぜ、ベクト」


「くそっ、大損だ。憶えていろ」


 ここで、戦艦自体が始動して浮き出した。


 カイトが、鬼のような顔になった。物凄い光がカイトに集まっていく。蒼剣を出したカイトが、必殺の一撃を放つ。


 フーーーーンバシュン

「海撃」


 光の衝撃波に海水が乗った。戦艦のメインエンジン、第一高速炉の水素タンクが爆発する。ここまで鋭い斬撃でなかったら、第一高速炉に傷がつき白熱化し、エンジンが大爆発するところだ。しかし戦艦は、動力を失って海に戻された。


― ヒロ脱出したよ

「こっちも片付いた。アリーシャ、ノーマはどうだ」

「戦闘中よ。相手は二人」

「あの女の子がいるけどノーマがいるから大丈夫だろう。ラヴィも、こっちにこい。ヒューベースに回ってカプセルを守れ」

― ぎゃう〈分かった〉


 この時点で、ポーラの戦士たちが戦艦に押し寄せた。これで、ヒューベースの人魚たちは大丈夫だと思ったが、ヒロは、ここを動かなかった。後は、ノーマに任せればいい。



 サツキは、カプセルの所まで来たが、二人のウルフ族に道を阻まれて身動きできなくなっていた。今のサツキの力では、水玉を作って、ウルフ族の息をできないようなさせるので、精一杯だ。カプセルを開けることができたら、中の水を使ってもっと大きな水玉を作ることができるが、今は、ここまでしかできない。向こうは頭部にフィールドを張って、強制排水を繰り返す。レーザーガンを持って、じわじわ自分のところに近づいてきていた。ちょっとの水でも苦しいから、逆に怒り狂っている。


「この野郎、出てこい」

「人魚を殺すぞ」

「ガハハハ、元々、こいつは殺すけどな」


 一人なら、何とかなるのに。お父さん


「大丈夫よ。よく頑張ったわ」

 ノーマは、カプセルの解除キーを検索していた。こんな小物、殺すまでもないと小さな水玉でウォーターシュートを撃った。


「なんだてめえ」

 二人は、狂ったようにレーザーガンを撃ったが、シャボンに偏光させられる。

「おい、こいつ、魔法を使うぞ」

「やべえ!」


 この二人は、戦艦の船首に逃げだした。たぶん、そこに、脱出船があるのだろう。


「ノーマ、逃がしていいの?」

「戦艦が無傷でしょう。こいつらの船団データーは、あなた達に知れる。もう、ここで、悪さはできないわ」


 ノーマが、カプセルキーを解除した。サツキがカプセルに走る。


「ミーノ、無事!」

「お姉ちゃん」

 ミーノは、今まで我慢していたのだろう。姉を見て泣き出した。それにつられてサツキも。これを見たノーマが気を使った。外にこぼれた水が二人を包み込む。



 この時、四人には、コングラッチレーションの光文字が、みえる。ノーマには、この子たちの上に輝いて見えた。


 ミーノは、レベル2になった。幼児なのにレベルアップのきっかけをつかんでしまった。サツキは、レベル5になった。ホイが使えるようになり癒しを行うことができる。また、ポイも使えるようになった。これで、毒などのステータス異常も治せるようになった。


「すごい、サツキのレベルが、いっぺんにレベルが5に上がったわ。このクエストは、この子たちのイベントね」


 ここにヒロ達が合流した。


 ノーマが、にっこりした。

「みんな見て。海露結晶」


「すごいな。こんな、大きいのは、初めてだ。おめでとう、蒼剣用の海露結晶だよ。アギトさんみたいに海撃が撃てるようになったんじゃないか」


「私たちも海露結晶だったけど、今回は、ノーマのイベントだったのね」

 ぎゃうぎゃう。


 泣き止んだ二人が、やってきた。

「みなさん帰りましょう。お父さんが呼んでいるわ」

「ありがとございました。ヒックヒック」

 サツキもミーノも、まだ涙声。

「ミーノは、妹よ。私、助けられると思っていたのに」


「もう、いいだろ」

「そうよ、たすかったのよ」



 ヒューベースに戻ってみると、多くの人魚が、ポーラの水球で海に帰されているところだった


「ミーノ」

「お父さん、お父さん・・」

 ミーノが父親に抱きついて、また泣き出した。


「やったね」

「ふー」

「今日もいいことしたな」

 ぎゃう


 そこに、人魚を開放したポーラ族の戦士たちがやって来た。


「海王さま、人魚を全員救出できました」


「海王さま!!」×4。


「言ってなかったか。ヒロ君、わしの家に来い。飯を食わせてやろう」


 飯と聞いてラヴィが色めき立った。

 ぎゃぎゃう〈ヒロ、食べたい〉

「私も」ノーマもそう。


「ノーマの時間だと夜中だろ」

「海王さまの家にお邪魔したいじゃない」

「わたしも行きたい」 アリーシャもみんなに賛成した。



 カイトが海王だと聞いたのに、本当に、本当に普通の家に招待された。そして、奥さんのマーヤが作った食事にラヴィがぱくついた。なんだかいつもの見慣れた風景。


「まあ、ラヴィちゃん、本当においしそうに食べるわね。嬉しいわ」

 ぎゃう、ぎゃぎゃうぎゃう

「えっと。おばさん、マグロのステーキ、すっごく美味しいねって言ってます」

 ノーマが通訳する。

「こら、海王の奥さんだぞ」

「いいのよ。地上に出た人魚は数が少ないの。カイトは、ここだと、町の町長みたいなものよ」

「そんなもんだ。ヒロ君、いま、サツキに協力者を探させている。シンの打倒か。そんなことを言う冒険者を初めて見たぞ」


 そこにサツキが帰ってきた。カイトに向かって、首を横に振っている。カイトは、そうかという顔をした。


「すまん、シンの話は難しい。会議を開いた方がいいかもしれない。お前らに協力したいというものが現れたら連絡する。どうすればいい」


「どうすればって」

「ヒロ、海露結晶は? 海の結晶石なんでしょう。他の海露結晶と反応するんじゃない?」

「見せてみろ」


「ノーマ頼む」


 ノーマが海露結晶を取り出すと、カイトは、蒼剣についている自分の海露結晶と見比べ始めた。そして、自分の海露結晶を光らせてみる。同調して、ノーマの海露結晶が光った。


「こんなことがあるのか。デカい海露結晶が二つもある」

 しかし、これをライトボードの倉庫に戻すと光らない。

「まあ、なんだ。入星許可証をやるから。好きな時に来るといい。そのときには、サガにいるシンの話を専門家にさせてやる」


「よろしくお願いします。そろそろ帰るか。ラヴィ、食事は済んだか」

「もうちょっと」

「気持ちいいぐらい食べるのね。昆布茶を飲んで待っていてあげたら」

「そうします」

 そこからは、軽い感じの話になった。ミーノとサツキは、ラヴィの横に座って、召喚獣のことを聞きたがった。カイトは、陸だと剣術の師範で、とても強いと教えてくれた。これを聞いたノーマは、自分の父親と同じ流儀なんだろうなと思う。


 戦艦を落とすような人だもんな。この人も超人だ。



 戦艦サジタリウスに戻って、惑星サガの話を十賢人のマイルズにすると、いきなり、ストロング艦長を含めた要人が集まって会議になった。惑星サガの海王は、超強力な戦艦を持っている。それに、サガの海王も、元老院議員だ。容易に首都星ラクールで活動できる。海王に手伝ってもらえれば、戦艦で逃げるシンを捕まえることが出来るかもしれない。

 戦艦捕獲担当のグリンが、またサガに行ってくれと言ってきた。ライトボードを見ると惑星サガに、「蒼剣とクリスタルソード」というイベントが出ている。確かにすぐ、サガの海王のところに行ける。これを聞いたここにいる一同が色めき立った。この後、ヒロ達は解放されたが、グリンが中心となって、徹夜で、ラクール星包囲作戦を詰めた。しかし、サガの海王との連絡手段がない。ここで、詰めた作戦をヒロに持って行ってもらうことになった。


 オレは、この話を受けて、ノーマを説得した。全部正直に話すのだ。それが信頼関係というものだ。

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