惑星サガで、イベント発生
一通り艦内を回って挨拶したので、司令官室にいるマイルズに会って、今後の予定を聞くことになった。ラヴィ達には、クロトによる勉強と、メイドたちによる実践訓練と礼儀作法、ヒロと合流して宇宙艇の操縦訓練が待っている。これに、シールケが加わることになった。
オレは、ここで、この時代の本格的な知識を学習機によって詰め込まれる。ちょっと過酷。多分、宇宙艇の訓練は、急ぎではないので。そこが休憩時間になりそうだ。その分、カエラたちが操縦を覚えてくれると請け負ってくれた。
マイルズたちは、おれがライトボードから出した時限回廊の詳細地図の解析が終わったとかで、観測所にいて、航海シュミュレーションをしていると、秘書が言っていた。そこで、観測所を今一度、訪ねることになった。
航海の責任者はクロトだ。航海士たちも一安心という顔をしていた。ここに、ストロング艦長も来ていた。
「皆さん来ましたか」
マイルズが、おれたちを歓迎してくれた。クロトが、パノラマパネルを操作しながら解説してくれた。
「では、時限回廊の旅のシュミュレーションを前面のパネルに映します」
それは、オーロラテイルに酷似した形状をしており、回廊内には、アステロイドが、多数浮かんでいることを示していた。太陽系は、一つしかなく。太陽系にあるのは、パグーとその外周を取り巻くアステロイドベルトだけ。
いきなり、このサジタリウス号が大写しになり、パグーを飛び出した。そして、ずんぐりした戦艦から、弓を引いたような美しいホルムへと変形した。サジタリウスは、このアステロイドを微妙な角度調整で抜けながら、大きな星雲に近づいていく。
目の前の星雲は大きく、周りもアステロイドでいっぱいだ。このアステロイド群にある、小さなほころびのような空間に突っ込むサジタリウス。一挙に星雲のある危険宙域を抜けた。そこからは、アステロイドが通り過ぎる映像が徐々に遅くなり、サジタリウスが減速されていく。そして、回廊の出口に到達した。回廊の出口は、暗い宇宙空間に、にじんだ様に現れた。少し虹色をしており、ふわふわしている。ここを抜けると通常空間になり銀河の星々が瞬く。
「映像は、パグーを出発して、回廊を出て行く映像です。映像では一瞬でしたが、実際は2週間掛かります。今回詳細地図を貰えたので、回廊を出てから、1週間を残しての航海となりました」
強行軍だと思われていた航海日程が通常以上のものになり、ストロング艦長が、髭を撫でて、満足な顔をしていた。
「あのう、回廊内で、ワープしないんですか。これ、大変そうじゃないですか」
アリーシャたちは、時限回廊の説明を聞いていなかったので、はてなマークが一杯。
「それはとても勇気のいることです。ワープした場合、オーロラテイルのどこかに出るのでしょうが、予測できません。分かることは、十中八九、インナーコアから離れるということです。この出る場所の予測ができるのなら、銀河は、もっと栄えることになるでしょう」
「お母さんなら、予測できるんじゃないでしょうか」
「我々もそう思って、スーザンを宇宙に連れだしたことがあるのですが、ワープスピードとワープアウトに関する出口の特定は、一瞬過ぎて使えませんでした。なぜなら、時限空間は、常に揺らいでいるからです」
「でも、偶に、回廊の外の様子を見ています」
「スーザンと言う個体なら、我々戦艦が、時限回廊を出入りするのと同じ感覚で、時限回廊の途中にある小さな亀裂をすり抜けて、情報を出し入れできるのでしょうね。回廊を途中下車できる道はとっても狭いということです」
「あの、すごい危なそうだった星雲は、何ですか」
シールケもしっかり話に参加する。マイルズがとても嬉しそうな顔をした。
「未知領域です。入ったもので、出てきたものはいません。ヒロ君の言う通り危険な所です。それも、一番スピードが乗っているときに通過しますから、一番気を遣う宇域です」
「未知領域か」
「ヒロ、変な気を起こさないでね」
「結晶光を発しているんでしょう。綺麗だったから、もう一回見たい」
ラヴィが、あの星雲をもう一度見たがった。
「ここですか」
「ねえヒロ、なんか、ほわほわしてない」
「ほんとうだ、ほわほわしてる」
結晶光星雲は、まるで、心臓がどきどきしているように同期していた。
「結晶光に関しては、バリヤーが有効です。ですが、星雲の中に入るほど、結晶光が強力になり、先に進めなくなります。航海では、この星雲をうまくすり抜けるルートを発見しました。多分抜けるのに、10分かからないと思います。これに関しては、前日、再計算して突入します。その時はヒロさん、また協力をお願いしますね」
マイルズに、勉強は、明日からでいいでしょうと、おおらかなことを言ってもらった一行は、解散することになり、自分の部屋に落ち着いた。
オレはというと、部屋で、ノーマとライトボードを見ていた。銀河の全体図が出せるか試してみたり、さっきの結晶光星雲のヘルプが無いか探した。
「これが、オレたちの銀河か。すごいな」
「太陽系は、オーロラテイルのアウターリムね。今度行くでしょう」
「700万年後の地球か、ピンとこないな。結晶光星雲の説明は、なかったか?」
「ない。結晶光の説明もないわ」
「オレの時代に、そんなワードはなかったもんな」
「でも、星雲近くに行って星雲に接すると、ヘルプが出て来るんじゃない」
「そうなのか」
「ダンジョンに入ったら、そのダンジョンの詳細が出て来るじゃない」
「そうなのか!!」
「ヒロも、ラヴィと一緒ね。考えなしに突っ込むんだから」
「そんなこと・・」
「無くはないわね」
ラヴィとアリーシャが、おれの部屋を訪ねてきた。さっき、イベントのアラートが鳴った。場所は、惑星サガ。オレたちは、それに興味津々だ。マイルズに休んでいいと言われたし、全員で、これに参加することになった。
『人魚姫、危機一髪』
表題が振るっている。
惑星サガ
惑星サガは、ほとんど海の惑星だ。水深は浅いところが多く、海棲生物には天国のようなところ。陸は点在する島だけになる。陸があるので、中には、陸に上がった人魚もいる。水陸両棲で、人のように足があり、水中の中の移動も早い。ポーラ族が、人魚の進化の頂点に立つ。ノーマと同じ種族だ。
サガの水棲生物には、毒をもった生き物がたくさんいる。人魚はそれら、毒、麻痺、催涙、催眠などに耐性がある。長い時間をかけて、そういう進化を遂げたのだ。しかし、幼体のころは、その力が弱い。そこで、惑星サガでは、お守りとして、浄化作用のある真珠を持たされる。これが、貴重アイテムとして、惑星外の人間に狙われる。だから、人魚は、惑星外の人間が大嫌いだ。
「人魚姫ってことは、ノーマの親戚ってことだろ」
「遠い親戚よ。でも会ってみたい」
「じゃあ、行こうよ」
「惑星サガでしょう。船だと何年もかかる所よ」
「面白いじゃない」
即断即決、ヒロが、このイベントのボタンをぽちっと押した。




