ミトの繁殖
アルテミス城に住み着いている大物エネミーを倒したおかげで、その後は、何事もなく、居住区との通路まで到達した。ここからは、居住区に曲がるので、後は、安全だとわかっている。暫く遺跡調査主体で進み、アルテミス城地下通路に到達することになった。
アリーシャが城の詳細地図を作成し、それをノーマが、アマゾネスのブック〈記録〉に伝達。アマゾネスたちは、ブックに3人、ミリアに一人、ヒロに一人ついて連携を強化する。
「最初は、巨魚族の部屋に向かいましょう。そこにミトがいれば、安全地帯よ」
ミリアの指示で、全員、大きな部屋を目指す。
ぎゃう、ぎゃぎゃう 〈ミト居たよ〉
「そうね、でも少ないわ。何か問題があるのよ」
そこにヒロ達も、ノーマ達もやって来た。
「海水の循環が足りないんじゃないか。通水口にタコが住み着いていて、流れが悪くなっているとか」
「巨魚族の通水口は、人が通れる広さだもんね。そこだけでも、確保しとく?」
ノーマは、バトル形態のままなので、元気いっぱい。
「じゃあ、頼むか。5人で大丈夫か」
「まかせて」
「任せてください」
アマゾネスの小隊長も元気いっぱいだ。早速、通水口に出かけた。
ヒロ達は、ノーマを見送った後、控えで、ここに残り、ミリアの探査に付き合うことになった。此処をウォッチしているアリーシャが興味深いことをつぶやいた。
「巨魚族って、まるで、人みたい」
斥侯タイプのアマゾネスが、アリーシャについているのだが、そのつぶやきに、正解ですと答えていた。
「正解よアリーシャ。巨魚族は、哺乳類。地上から海に戻った種族ね」
「クリスティーナさん、巨魚族に詳しいんですか!」
「族長のマイア様がおっしゃっていたのよ。地上で巨大化した巨人族たちの中で、海に戻った種族がいたのね。たまたま浅い海に住み着いていたのだけど、そこが深くなっていって、今のように外洋に住むようになったそうよ」
「パグーで、ですか?」
「惑星サガよ。サガは、昔、もっといっぱい陸地があったんですって」
「じゃあ、巨魚族が、パグーに来るための船があるってことですよね」
これに、ヒロが食いついた。
「そうね。詳細は、マイア様に聞くといいわ。巨魚族は、勇敢な戦士よ。船の操船は、人魚の仕事ね。海王の一族でもわかると思うわ。竜族は、元々、パグーが本拠地でしょう。あなたたちエルフが、惑星ジュームが本拠地だったのと同じよ」
「面白い。じゃあ、時限回廊の全種族が、ここにいるってことですか」
「そうなるわね。惑星サガは、ほとんど海になってしまったでしょう。惑星ジュームは、結晶光の影響が大きすぎるし、ここが一番穏やかな所よ」
「そう思います」
ヒロが実感を持ってクリスティーナに相槌を打った。
「本当にそうね」
アリーシャも一緒だ。
「そうね。ヒロさんたちは、バーチャルだけど、サガも、ジュームもよく知っているのよね。もし、マイア様の許可が下りたら、私も旅してみたいわ」
「そんなことしたら、巨魚族も含めて、みんな着いて行くってうるさいですよ」
「ジュームに行くときは、エルフ族もそうです」
「みんな過保護よね。私たちって、結構強いのよ。そうね、ヒロさんが、私たちが繁栄する相手を見つけてくれたら、もっと気軽に旅できるかもしれないわね」
「繁栄って、パートナー種族のことですか?」
「そうよ。ヒロさんは、私たちを陸に導く人ですもの、最後まで、面倒見てね」
「パートナー種族が見つかると、燐魚族も、子供を生めるようになるのよ」
「そうかもしれないけど、今まで見つからなかったんでしょう」
「アリーシャのウォッチ能力が上がると、分かるかもしれないでしょう。期待しているわ」
― ごめん、そっちに一匹逃げちゃった
「通水口にいっぱい居たのかな」
「クリスティーナさん。ノーマから連絡です。通水口から、タコが出てきます」
「行きましょう」
通水口から出てきたタコは、人の大きさぐらいしかない。出口で、ヒロが仕留めた。
「こいつをこのままにしておけませんから、外に連れ出しますね」
三人は、連れ立って、巨魚族の部屋から出て行った。
ラヴィ達は、この部屋がほぼ生きていることを確認したのち、ミトたちのところにやってきていた。さっきの通水口のタコ騒動の後、水の流れが変わったように思う。
ぎゃぎゃう
「本当、ミトたちが、さっきより光っているわ」
ぎゃー 〈あったかあい〉
ラヴィは、ミトに、ぽすんと寝転がった。
「ラヴィ!」
ぎゃ?
「ラヴィ、そのミト、色が変色しているわ」
ぎゃっ
ラヴィが寝ていたミトが、薄い黄色から、見事なゴールドの光を放ちだした。
「おめでとう。それ、キングミトよ。何かいいことあるわよ」
ぎゃーーーー
ラヴィは、キングミトに思いっきり抱きついた。すると、プルンとキングミトから、いろいろなミトが、ポコポコ分離しだした。小さいミトが、そこら中に漂う。
「素晴らしいわ。今回の幸運は、ここが安全地帯になったってことね。ミトの繁殖を見ることができるなんて、ものすごい幸運よ」
ぎゃうぎゃう
これを聞きつけたヒロと、ノーマ達が帰ってきた。ノーマ達は、通水路をきれいに掃除してタコを全部外に追い出した。ミトが繁殖したのなら、もう、ここには、当分戻ってこないだろう。
「きれい!」
そこら中に漂う小さなミトたちは生まれたてで、色とりどりに力強く光っている。ノーマとアマゾネスが、その中を泳ぐ。遅れて、戻ってきたアリーシャとクリスティーナも、それに加わった。ヒロは、腰に手を当てて、それを見守った。
アリーシャが、これを3Dホロにしたのは言うまでもない。みんな、このホロを貰って、たまに見ることになる。
安全地帯を二つもゲットした一行は、一路、地下迷宮入り口を目指した。それは見張り塔から地下に降りていくと現れる。今回、全員で、空気の有る所まで行って、そこから引き返すことになっている。
一度下って、また上昇すると、広い空間に出た。ここには空気が有る。
「蒸し熱いね」
ぎゃう
「いやな感じ」
ノーマが言う通り、全員そう思った。
アルテミス迷宮には、ヒカリゴケが生えているようだが、ヒロがアイテムボックスから出したライトが無かったら、何も見えないようなところだった。
「やっぱり明りがほしいね」
「ヒカリゴケが繁殖しているところは明るいわよ」
ぎゃう、ぎゃぎゃうぎゃう 〈城のライトを生かした方が明るいよ〉
「明日は、城の動力源を見に行くか」
そんな話をしているとき、暗闇の奥から異様な叫び声が聞こえた。
ヒャーーー
キチキチキチ
「一方は分からないけど、キチキチ言っているのは、飛びムカデだろ。不味いな」
「引き返しましょう」
ミリアの判断で、全員引き上げることになった。やはり、城の動力源を生かして、地下迷宮にある照明を点けなければ危険だ。翌日からは、城の再生に注力することになった。
ヒロは、翌日、ミリアとアマゾネス達に武器を作っている。ミリアは、海撃のような衝撃波を飛ばす「蒼飛」というマジックアイテムを。アマゾネスたちには、剣とか盾とか、サス又を制作した。その中で、クリスティーナは、唯一「緑慧」という回復アイテムを手にした人だ。斥侯で、目も効くので、ミリアと同じ後衛に就くことになった。緑慧は、ホイしかうてないが、魔力消費がとても少なくて済む。このうちまくることができる回復魔法アイテムのおかげで、アルテミス城の探査が、進むことになる。




