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ロードオブ召喚獣  作者: 星村直樹
アルテミス城
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激闘クラーケン

 パグーのタコというのは、頭に貝殻が付いた種類が主流。ところが、さっき見たタコは、オレとしてはよく見かけるタコだった。8本足で、宇宙人のような丸い頭をしている。燐魚族は、タコを食べる習慣がないので、その辺は、詳しく話してくれなかった。


 確かに、あんなものを生で食べたら、お腹の中で吸盤が、胃壁や腸の壁にくっついて、大変なことになる。美味しく食べようと思ったら、料理の仕方が肝心で、要は、茹でればいいのである。



「ねえ、小さな部屋の中から、タコの足がいっぱい見えない」

「気持ち悪いよね」

 アリーシャまで、オレにひっついてきた。ラヴィは、セオリー通り、ミリアに、ギャウギャウと部屋を指さして、警告している。


「すっごく大きいけど、普通のタコだろ。日本人は、タコが大好きなんだ。美味しいよ」

「げー、そうなの」

「私、食べたことないよ」

 ノーマでさえ食べたことが無かった。


「あんなの茹でればいいんだよ。ジオイドの人達に聞いてみろよ。みんな好きだから」


 ロードオブ召喚獣は、日本サーバー発祥。最高レベルは、日本人ばかりだ。そのせいで、転生者もほとんど日本人。だから、みんな行ける口。


「みんな、あ・れ・を」

「酷いなアリーシャ」


「分かったけど、時間かかりそう」

「サンキュウ、サンキュウ。気持ちだけもらっとく。こんど、シャオンさん達に頼んで、タコ焼きをご馳走するよ。それより、足の吸盤に気をつけろ。引っ付かれて巻き込まれたら身動きできなくなるぞ」


 ブルブルッ

「私、シャボンバリヤーが出来るようになった」


「シャボンを大きくはできないんだろ」


「アリーシャと合わせたら大きくなるよ」

「私が、シャボンの中にいないと膨らまないけどね。水の中だと遠隔は、うまく行かないのよ」


「じゃあ、タコに突っ込むか」


「絶対無理!」

 アリーシャは、わざわざオレ目の前まで来てバッテンを作って見せた。みんなジャスト召喚時は、オレの頭で寝て見たり、肩にとまって、足をぶらぶらさせたり、好き勝手やっている。



「ちょ、ちょっとあれ」

「わーーー」


 中型魚人の部屋に差し掛かった時だ。クラーケンと言っていいだろう。ここの主が出てきた。ラヴィがおれらに振り向いて、どうすると言ってきた。


 ぎゃうーーー 〈戦う?〉

「戦いましょう。あれは脅威だわ」


 ミリアのリクエストが来た。確かクラーケンは、ぬめぬめしていて剣が通りにくい。水中だとライトセーバーは、水を沸騰させてとても使えない。ノーマの蒼剣は使える。そして、その兄弟剣のクリスタルソードも使える。だけど、手元にない。水竜のために一振り作ったが、みくまり様に収めたので持っていない。


 ブラックソードに、水のクリスタルをつけてやってみるか。水の抵抗が減る。


「ノーマは、バトル召喚。アリーシャは、おれの補助。ラヴィは、ミリアの補助を頼む。今回は、ノーマがメインかな。オレが防御するから、足を切り落としてくれ。それじゃあ行くぞ」


 ミリアは、ラヴィと「目を狙うわよ」と、打ち合わせしていた。


「ノーマ、バトル召喚」


 ノーマにシャボンが巻き上がって、人形の大きさになった。


 クラーケンは、のっそり、右の部屋から我々の前に現れ、道をふさぐ。


 ノーマが、蒼剣を抜いた。剣は、柄から光燐石が少し飛び出している。そこから、光刃が発生した。蒼く光り、80センチぐらいに伸びたところで光が広がる。光刃の光が収まりだすと、深い青色になり、海底に存在感を示した。蛮刀タイプの剣だ。



 おれが、ノーマの横に行くと、アマゾネスが周りを固めに大勢やって来た。彼女たちの6方陣は堅い。ノーマがアマゾネスと戦ってくれたら、おれはリベラルに動くことができる。


「アマゾネスは、ノーマを守ってくれ。蒼剣は、クラーケンの足を簡単に切り落とせる」

「まだ守りながら攻撃できないの。助けて」


 6人から一斉に「任せて」と、返事が返ってきた。ノーマが、おれから離れてアマゾネスの所に行く。


「私たちはどうする?」

「足が8本もあるんだ。固まらないほうがいいだろう。ラヴィ達は、時計回りに回りながらクラーケンの正面に出るようだ。おれらは、後ろに回って足を狙うぞ」

「墨を吐いたら、エアーシェルを使うね」

「急上昇しそうだな。憶えておくよ」


 ピピッ

「どうした」

 そう言いながら、アリーシャに振り向いて驚いた。クラーケンがもう一匹同じ部屋から出てきた。

「ヒロ!」

「おれたちだけで、やるしかない。突っ込むぞ」

「弱点が分からない」

 アリーシャが混乱しているが、ラヴィ達に2体同時に相手にさせるわけにはいかない。


 キュゥ、キュゥ

 ゴギュゥ、ゴギュゥ


 もう一匹の方には小さいタコもついている。

「ラヴィ達から一番遠い足を落とすぞ」

「なんで?」

「タコは、それぞれの足に脳を持っているんだ。切ってもすぐに動きを止めない。やられるなよ」

「えー!!」

 アリーシャは、みんなに「ヒロの話を聞いた!」と、足が危険だと警告する。


 まだ足がわらわらとしている内が、一番危険がない。攻撃するときは、全部の足で絡めて、自分の口に持って行こうとする。それも、驚くほど速い。



「アリーシャおれの足元に足場を作ってくれ」

「コウフウ〈抗風〉」

 オレは、足場を作ることで、高速に移動した。警戒される前に、先制したい。

「ダイブ」

 ズバッとやったが、切れない。そこで剣先を食いこませていきなりとっておきを出した。

「オーバーブレイド」


 ブラックソードが、一瞬超巨大剣になって足を切断する。その勢いに任せて、もう一本落とした。


 ゴギュゥーーー


 オーバーブレイドが収まってオレと同じぐらいの大きさになったブラックソードに、小さいタコたちが襲い掛かってきた。


 普通は、脱兎のごとく逃げる習性じゃなかったっけ?


 そんなことを検証している暇はない。眉間に剣を突き付けて、一番大きな脳を串刺しにした。ここを落とすと、もう襲ってこない。しかし他の足は勝手にわらわらして、オレに絡みつこうとする。


「きゃー あっち行って。ザン、鏡風」

 アリーシャが、鏡風で、ガードして、ザンを目蔵めっぽうに打ちだした。そのアリーシャを抱えて、その場から離れた。


「今、頭のようなところにある脳を刺したから、もう追ってこない。どうした。いつもの冷静なアリーシャらしくないぞ」


「はあはあ、だって、気持ち悪いし、弱点分からないし」 ちょっと涙目。

「とにかく、おれから離れるな」

「うん」


 その間にも、クラーケンが、足を延ばしてきた。

「ジャストガード」


 分かった。全く未知な相手というのが怖いんだな。解説しながら戦ってやるか。


「ヒロ、血が青いよ」怯え声

「あいつらは、赤血球〈鉄〉の代わりに銅を使っているんだ。銅は錆びると青くなるだろ。あの頭のようなところが胴体だ。お尻のようなところに口がある。噛む力は、とんでもなく強いぞ」

「もう、わけわかんない」


「大丈夫だ。眉間の所にメインの脳がある。そこを落とせば、こちらの勝ちだ。オーバーブレイドのリキャストタイムが終わるまで、足を落として弱らせるんだ」

 足を2本も落とされたのに、逃げないな?

 そう思って、足の数を数えて驚いた。足が、まだ、7本ある。タコは、足を切られても再生する。その時、2本に分かれることがある。こいつは、そう言う奇形なのだろう。

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