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ロードオブ召喚獣  作者: 星村直樹
アルテミス城
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城の復旧

 今度は、巨魚族の控室を覗くことにした。今いるところは入り口だし、奥は、通路側なので明かりが入っているのだが薄暗い。もし、ライトが生きていたら、この先、探査が楽になる。ライトのスイッチは守衛室。つまり巨魚族の控室にあるはずだ。


 みんな、そーっと守衛室を覗いた。


「あっ、ミトだ」

 ぎゃう

「キングミトを見つけたいね」


 三人とも、はしゃいで守衛室に入った。


「ミトがいるところは安全なんですよ。不思議ねぇ」

 ミリアも、その後を追う。


 いるのは魚たちとか、無害な生物ばかりだった。ここは、巨魚族の部屋だ、とっても広い。


 ミリアは、城の安全地帯を見つけて、拠点ができたと喜んでいた。ミリア達は、遺跡の史跡調査するのが目的。オレ達を案内しているのだが、調度品など、細かいものも見て回っている。拠点ができれば、腰を据えて調査できる。


「安全地帯だわ。ここを詳細に調べたい。いいかしら」


「いいですね。拠点は必要です」


「城の入り口にある守衛室にいるって、みんなに伝えてきます。テレパシーを使うと緊急事態になってしまうので、音波で話してきます。ちょっと城の外に出るだけなのですぐ戻ってきますね」


「ラヴィを連れて行ってください。オレたちは、ライトボードで通信できますから。ラヴィ」

 ぎゃう!


「じゃあ、照明のスイッチを探してください。守衛室で、触って危険なものはないと思いますか気をつけて。ラヴィ、行きましょう」

 ぎゃう、ぎゃう


「二人とも聞いたか。キングミトは今度な」

「はーい」×2


 巨魚族は、人と魚の合いの子で、足がある。海中で直立に立つことができる種族。門番見栄えの良い種族だ。


「多分、10メートルから20メートルの人が、押しやすい位置に、スイッチがあると思うよ」

 ノーマが、そう言いながら、その辺りをサーチする。


「守衛室は安全だって言ってたけど、扉があるじゃない。外部の人に入られるのは、避けたい所だったんじゃないの」


「そうかも、でも、人魚用の小さい扉も有ったから。人魚もここにいたんじゃないかな。アリーシャは、人魚想定でスイッチを探して」

 今回、オレたちは、そこから入った。

「了解」

 アリーシャが床側からサーチを始めた。


 みんな水中で浮かぶのだから、ノーマがサーチしているところが有力かなと思って、ノーマの所に行く。


「どうだ」

「あれかなー、タッチタイプのパネル。でもそれだと、私たちじゃあ、全体を覆いきれない。やっぱり、人魚用のスイッチを探さないと」

 そう言って、何種類かのタイルのようなスイッチが並んでいるパネルを指さした。巨魚族でないと、押せない仕様になっているスイッチだ。


「人魚だと、魚だって押せるから、スイッチにカバーが付いているかもしれないぞ」

「気をつけて探すね」


 見上げると、此処にも照明がある。

 照明か。

 ドワーフの地下都市で、ガブに、バルゴの光について教えてもらった。バルゴの光は、光燐石という小さな石が光る仕組みで、それ自体が光源なので、とても省エネで、照明効果が高い灯だそうだ。単純な作りだから、簡単には、壊れないと言っていた。「アルテバロンを明るくしている光燐石は、直径24センチほどしかないぞ。普通サイズは、豆粒だ。希少なものだから、手に入ったら、分けてくれ」と、言っていた。


 さすがに、バルゴの光をふんだんに使っているとは思えないが、これほどの城だ。地下迷宮に灯りがないはずがない。ここでスイッチを見つけたら、地下でも同じ仕様に違いない。燐魚族のように地下コロニーがあれば、やはり、バルゴの光があるはずだ。安全を確保出来たら、ドワーフに調査してもらいたいと思った。


 ノーマは、

「はぁ、城のコンピューターが生きていればなー」

と、ぼやきながら探す。


 考えてみたら、ノーマは、海王の娘だ。アルテミス城というのは、海王の居城だったところだった。


「ええっと、ノーマさん」


「なに?改まって」


「ここって、海王の居城だったところだろ。自分の家ってことじゃないのか」


「1000年前よ。それに、水陸両棲の一族は、海上に住んでいるでしょう。ご先祖様と、全く生活様式が違うのよ。城の仕様なんて分からないわよ」


「そうじゃなくて、もし、コンピューターが生きていたら、王族なら、音声入力で、何でもできるんじゃないのか」


「そうよ、城のコンピューターが生きていれば、楽なのに」


「じゃあ、メインコンピューターを見つけて修理すれば、探査効率が上がるってことだよな」


「そうなるかな。でも、1000年前よ。それに、火山の噴火って大災害じゃない。無理よ」


「ライトが生きているって、疑っていなかったじゃないか。同じことだろ」


「ミリアさんが疑っていなかったから、そうかなって思っただけ」


「戻ってきたら聞いてみる。調査を続行してくれ。ちょっと光明が見えてきたぞ」


 海の文明は、ソフトエネルギーだ。地熱だったり、海流だったりする。何かを燃やすというものではない(一部ある)ので、修理すれば使えるような気がする。


 何度も経験したが、真っ暗な地下ダンジョンほど危険な所はない。こっちは光がないと、前が見えないのだから手持ちの明りだけでは、探査範囲が極端に狭まる。ムロ殲滅作戦の時に、彼らの目が死んでいなかったので、地下にも光があると確信しているが、打てる手は、全部打ちたい。なんせ、彼らは、とんでもない強さだった。



 ミリアに、さっきノーマに言ったことを相談してみた。通路のライトが点く根拠があるに違いない。コンピューターにしても良い返事が返って来たので、驚いた。でも、ガブたちって、気が向かないと働かないんだよな。よっぽどうまい酒を持って行かないと無理かもしれない。


「そうです。居住区を調べた時に、ライトが点く部屋を発見したんです。だとすれば、通路とか、もっとしっかりしているところのライトは生きているってことでしょう」


「例えばですよ、城のメインコンピューターを修理すれば、この城が、生き返るってことですか」


「その通りです。でも、廃墟ですよ。そんなことして、何のメリットがあるのです?」


「火山って言うのは、確かにずっと小さな噴火を繰り返していますから危険なように見えますけど、壊滅的な噴火って、起こるの何千何万年単位ですよね。その間は、ここは豊かな土地です。危険地帯には住まないとか、防災訓練さえちゃんと行っていれば、ここは、良いところですよ。魚だって、こんなに丸々太っているじゃないですか。こんなに立派な城なんです。アルテミス迷宮がどんなものか分かったら、また、住めるようになるかもしれないでしょう!」


「アルテミス迷宮の攻略を楽したいのね」


「バレバレね、ヒロ」

「ムロ達、強かったもんね」

 ぎゃう


「おまえら、ライトのスイッチを探していろ」


「くすっ」 「ふふっ」 ぎゃぎゃう

 女たちに笑われたけど、引き下がれない。


「もしですよ、ドワーフが修理をしてくれることになったら、許可してもらえますか?」


「それは問題ないでしょう。マイア様に聞いておきますね。でも、費用は、ヒロさんもちでお願いします」


「も、もちろんです」



 この後、全員で、人魚用のスイッチを探した。スイッチは、巨魚族用のスイッチの真ん中に隠されていた。通路の明かりは、全部ではないが点灯している。これだけで今日は、探査結果を出したと思う。

 そうこうしているうちにアマゾネスが帰ってきた。全員で、城内部のルートを探査することになった。

 ヒロは、アルテミス城の復旧に、とてもこだわった。多方面に、頭を下げて、復旧を手伝ってもらい、城から噴き出る、硫黄や温泉にまで、成り行きで手を付けた。そのおかげで、アルテミス城は、とても安全な所になり、後に、燐魚族たちが住み着くようになる。元々この城は、海王の持ち物だった。だから、水陸両棲の人魚たちの陸上生活支援施設もそのまま残っていた。燐魚族は、ここに住み着くようになって、多くの者が陸上生活もできるようになる。燐魚族の始祖様の、予言通り、ヒロは、燐魚族を地上に導く者になった。

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