ロードオブ召喚獣バージョンアップ
3年目を迎えたロードオブ召喚獣が、大幅なバージョンアップをした。このゲームは、人が、特殊な召喚獣と契約して敵と戦うアクションRPGだ。
レベル30になると、イベントが発生して、初めて召喚獣を得ることができる。召喚獣を得ると、肩の上あたりにサポートパートナーとして、ふよふよ浮かんで、ついてくる。ストーリーも3話目に進み、みんな、3体目の召喚獣を得ようと躍起になってイベントをこなしたり、宝探しをしているところだ。
3体目は、竜。
1体目の人魚を手に入れると、召喚獣本体の仕様は、変わらないが、見かけを他のキャラクターにすることができる。自分のは、竜だ。と、言うか、元々竜だった。仕様も、1体目のステータス回復系の人魚と違い、初めから、3体目の広範囲攻撃の竜仕様だった。
これをごまかすために、ずっと、野良でやっている。
なぜって、嫉妬をその身に受けたことがないやつが言うセリフだよ。
それに、このユニーク系の召喚獣は、おれに甘えて来る可愛いやつなんだ。名前は、バハムートの名にあずかって、レビアタンと付けたが、気に入らない。
NPCのくせに、呼んでも来ない。
そこで、レビーと、愛称にして呼んでみた。
興味津々の顔をする
なのに、まだ気に入らない。あいうえおの語音関係かなと思い、レがあるラ行の一番上の「ら」から始める。
「ラヴィ」
「ぎゃう?」
ラヴィが、超ヒットしたらしい。
「ぎゃう、ぎゃう、ぎゃう」と、甘えてきた。
ラヴィが現れた後、「今日ラヴィは、お休み、私が交代よ」と言って次々と召喚獣が現れ、今では3体が交代交代で現れるようになった。最初、召喚獣スロットは1つしかなかったので結局一体しか使えなかったから、そんなものかと、思っていた。
おれは、ヒロ えーっと、本名は、白井広人。だから、本名をちょっとだけもじってプレーヤー名をヒロにした。変な名前にするよりよっぽどいいと思うんだ。
世界の中心は、訪問先惑星に必ずあるバベルの塔になる
バベルの塔に、メインコンピューターがあり、プレーヤーは、ここに、ログインする。惑星を移動する際は、ここから、コロニー船に乗り込み移動する。コロニー船団には、ワールドシップがあり、ここにもバベルの塔がある。だから、そう言うログインもできる。
Lv上限が上がるたびに、この塔が高くなるので、プレーヤー達は、いやな予感がすると囁いていた。
現在95階。高い階ほど、高レベルなアイテムを売っていたりする
塔の階は、プレーヤーがレベルを上げて初めて高くなる。だから、バージョンアップの時は、誰もが、最初にレベルを上げたいと躍起になる。今回は、100階になるのだろう。
ほとんどの高レベルプレーヤーが、今のストーリー、竜惑星パグーに居る。
ここには、エルフの浮き島と、人魚の海底都市、それに、地上に竜の楽園がある。人として居るのはプレーヤーだけだ。
運営は、ここで、転生システムを組み込んだ。
Lv95になれば、惑星パグーでクリスタルを集めて、エルフ、人魚、龍族のいずれかに転生できる。しかし、転生してしまうとLv1に戻ってしまう。今まで得てきたステータスも、使えるレベルにまで、もう一度上がらないと使えない。
それでも、転生の恩恵がすごい。
人魚 海底を自由に探査できる
エルフ 空を飛べる 地上を自由に探査できる
龍族 強靭な肉体を得ることができ、パーティーを組まなくても探査できる
海底は、宝の宝庫だ。空を自力で飛べるのはエルフだけ。
だけど、自分は、龍族に飛びついた。なんせ、ずっと、ソロでプレイしていたので、一人の大変さが、嫌と言うほどわかっていたからだ。
だけどまだ、転生していない。
現在は、浮き島にいる。
何故なら、惑星パグーに来てからと言うもの、ラヴィが、ずっと浮き島を見ていたからだ。
だからと言って、安易な乗り物で、浮き島に来たわけではない。龍族を目指しているオレは、ザブ砂漠を超え、ライナー渓谷で、浮き島に転移できるダンジョンを見つけて入り、ゲートを通ってここまで来た。
浮き島に入って気が付いた。オレ達は、もう少しの所で、Lv100になる。しかし、ここは、エルフ転生者の初期フィールドだ。弱いモンスターしかいない。今の自分にとっては、穏やかな所だった。
眼下には、バベルの塔が見える。ただいま99階。
それを見て96階以後の、搭の階を積み重ねたのが自分だとわかった。
「ありゃ、まずいな、目立っちゃったぞ」
大人しくプレイしていたが、転生者が、多く出たので塔の階を重ねる者が少なかったのだろう。ザブ砂漠を抜けるのに、大ボスと戦ったのも、大きかった。ブラックスコーピオンに、経験値ボーナスがあったのが、こんな結果になった原因だ。
野良最強
おれは、火龍王のふたつ名で呼ばれていた。
おれとラヴィもパーティー戦を経験している。世界を滅ぼすストーリー最終ボスは、二人だけで勝てる相手ではない。パーティー戦をやると、向こうも情が移るのか、ギルドに誘ってくれる。だが、その気になれなかった。「また、ボス戦で」と、言って別れる。何故なら、Lv20の時に、ギルドに入ったが、ギルドマスターに、輪が乱れるからやめてくれと言われた。強すぎるのだ。おれは、また野良に戻ることになる。それを2度やり、もう、繰り返す気にはなれなかった。