5 平穏な狩りがいいです
何とか街についた。
生きいてるよな俺……死に戻りとかではないよな?ティアもマルコも無事だよな?
大丈夫なようです。生きているって素晴らしい!
最後の戦闘で、こん棒とマルコがレベルアップした。
そりゃぁ、あれだけ敵倒せば上がりますよねって言う話。
むしろ、何も上がらなかったら酷いと思うの。
ステータスは精神力と筋力に振っておく。状態異常のやっかいさは知っているからな。
しばらく夜の狩りはいいです。レベルは確かに上がったけど、代わりに何かを失いそうだし……
戦闘は、日がある内にガンガンしよう。俺の精神衛生上、それが一番だと思います。
宿屋に戻って、すぐにログアウトした。
もう風呂入って寝る。精神的疲労がヤバい。
2日目。
夢の中でアリの大群に襲われたりとか、そんな事は一切なかった。
なかった。
痛覚の設定はデフォルトで50%でした。触覚に関しては違和感ないのにおかしくね?「かがくのちからってすげー」ってヤツ?
とりあえず100%にしたら警告のメッセがきた。リアルに影響がある可能性がありますとか。
3回も念を押された上、当社は一切の責任を負えませんとか言われてる。同意しないと100%に出来ないようです。
スゲー怖いけど同意した。違和感酷かったし、VRゲームで撃たれたり斬られたりとか、初めてではないし。
そういう痛みと、ファンタジーでありそうな敵の攻撃による痛みは別物だろうけど。
焼かれたり、凍らされたり、喰われたり、etcetc…………
・・・。とりあえず100%は止めておこうか。まずは80くらいで試してみよう。
さて、今日は何をしようか。
とりあえず、新しく覚えたスペルの説明を見てみよう。
【火魔法】ファイアシュート
大きな火の玉を相手に打ち出す。僅かではあるが、火傷による継続ダメージも与える。
【火魔法】パイロキネシス
連続して火を相手に放出する。炙られていた時間によって、火傷による継続ダメージが大きくなる。
【風魔法】エアーシュート
風の塊を相手に打ち出す。攻撃力は低いが、怯む可能性が大きい。
【風魔法】エアーコントロール
周りの風を少しだけ操る。ガスや煙などを高確率で掃える。
この火魔法の攻撃的具合よ。どちらも説明文が不穏なんですが。
どっちにしても使って見ない事には分からないし、全部使うんだけどね。
よし、確認も終わったし……武器の耐久性が不味い事になっているので、修理を先にしようか。
いや待て、金がないからわざわざ夜に狩りをしたんだった。
先に素材を売ろう。
何か珍しいものドロップしていたし、それなりの値段がすると良いなぁ。
「七十六万クレジットだな」
「すげぇ」
あっさりと大金が手に入った。しっかりとした鎧とか買うには不足だが、装備はまだいいや。
トラウマレベルの戦闘をした甲斐があったと言うものだ。
「五十万は蜜蝋だがな。こいつはそれなりに珍しい。使い道も色々とある。キラーアントは、夜にしか出てこない厄介な魔物でな。一匹一匹の強さはそうでもないが、感知範囲が広い。大きな音を出したりすれば、すぐによって来る。下手すると、百匹くらいの大群を相手にしなければならん事もあるくらいだ。もちろん手練れの冒険者であれば楽勝だが、そのクラスの使い手はわざわざこんな雑魚敵を相手にせん」
「つまり、手に入れようと思えば入れられるが、リスクとコストが合わない。そんな物だってことか」
「そういう事だ。で、全部売却ってことでいいのかい?」
「はい、おねがいします」
「まいど」
大金が手に入ったと言っても、貯めてまで欲しい物と言うのは現在ない。
消耗品である回復アイテム代、装備品の修理代、宿代くらいしか使い道が思い浮かばないなー。
あぁ、今更なんだけど、金銭のやり取りに関しては、自動で行われます。
所持重量とも別枠みたいで、いちいち硬貨やお札を取り出す必要も、数える必要もない。
ローグ系のゲームみたいな感じたな。変な所親切で便利だよ。
買い物と修理は完了した。金属ならともかく、木製のクラブも元に直すことが出来ている辺り、流石ファンタジーである。
さて、狩りに出かけるとしよう。日がある内なら、出てくるのは昨日と同じなはず。
共通して出るのは、ウィードウルフのみっぽいし。
新しく追加された呪文で、ファイアシュートだけしか使用してないから、残りのヤツも確認しなければ。
「サモンモンスター、サモンモンスター」
しかしコレ、一回で全員召喚出来んのか?
仮にパーティの上限である五体を召喚出来るようになったとして、いちいち五回も唱えなきゃならんの?
レベルが上がれば出来るようになることに期待するわ……
「さて、狩りに出る前に……昨日はご苦労様。お陰で何とかなったよ。ほら、ご褒美だ」
必要品の買い物と一緒に、こいつらが好きそうなのを買っておいたのだ。
見た限りでは、召喚モンスターたちに空腹度の設定はない。
それでも食事は可能だろう。味覚だってある筈だ。
マルコには食材売り場に有った骨付き肉を与える。尻尾ブンブン振りながら肉に齧り付くのは、やはり肉食獣なんだなと思う。
ティアにもご褒美を与えようと思ったのだが、妖精の好物って何だろうか?とりあえず甘いものが好きなイメージがあるので、ハチミツとかお菓子とか買ってみた。
買ったものを出して本人に選んでもらうとしよう。
最初に興味を持ったのはハチミツのビンだった。やはり甘いものか。
ビンを開けた瞬間に、頭から突っ込もうとするのを止めておく。ベトベトになるからやめなさい。
スプーンですくって与えると、美味しそうに舐めている。
「まだいるか?」
一杯分舐め終わってから聞いてみたが、満足そうに笑って首を横に振り、俺の肩に座った。
見た目通り小食らしい。
そして肉を食い終わってからは、ずっと骨をガジガジしているマルコ。犬かお前は。
「よし。それじゃあ狩りに行こう」
現在の時刻は八時。なら、昼前を目処にしておこう。
最初の内は魔法メインで、確認が終わったらクラブ中心に臨機応変で。
最初に現れたのはウサギであった。レベルは3が一匹に1が四匹。
こいつらも結構早いのだが、この中で一番早いのはマルコだ。
真っ先にウサギの中の一匹に飛び付いて、攻撃を仕掛ける。
俺も頑張らねばな。
まずは風魔法から試してみよう。
「エアーシュート!」
唱えた瞬間強めの風が吹いたと思ったら、俺の正面に居た一匹が、吹っ飛んで行った。
二回くらいバウンドしてから、木の幹に衝突して、ヨロヨロになっている。HPバーは半分程度減ったようだ。
おい、コレの何処が攻撃力がないだ。
いや、まぁ、相手がレベル1な事を考えるとそうかもしれない。
他の、レベルがもっと上の敵に使ったら、牽制の要素が強いだろう。威力もここまで無いはずだ。
ウサギが小さくて軽いというのもあるだろうから、他のモンスターではあそこまで飛ばないだろうな。
もう一つの風魔法は、名前からして完全な補助系なため、火魔法を試すとしよう。
「パイロキネシス!」
そう唱えて出てきたのは、1メートルほど先まで出ている火柱だった。
と言うかコレ、火炎放射じゃね?うわっ!?止まらないし、MPがどんどん削れていくぅ!?
一瞬だけ混乱したが、俺の意思で出しているんだから、俺の意思で消せるだろ。
とりあえずウサギ一匹に集中して浴びせてみる。
驚いて逃げ回っているが、既に浴びせていないのに毛が燃えて、HPバーもどんどん減っている。
説明文通りだが、火炎放射みたいな感じで出て来るとは思わなかった。
使い方によっては、相当嫌らしい攻撃が出来そうだが、使う場所も考えよう。
少なくとも、草原とかで多用するのは不味いだろう。周りの草が焦げているし。
あと、狭い所で使うのも止めておこう。普通に使っても熱かったし。
そうこうしている内に、マルコがウサギどもを噛み殺していました。食物連鎖の厳しさを垣間見た感じですね。
そしてレベルアップ。俺の職業レベルと召喚魔法のレベルが上がり、ティアのレベルも上がりました。
俺は予定通り筋力に、ティアは敏捷と技量に振っておく。あと、スキルも増やせるみたいなので、火魔法を獲得しておいた。コレでティアの攻撃力が跳ね上がりますね。
俺も新しく魔法を習得しておきたいところだが、現状に不足はないのでまだいいか。もう一回レベルが上がったら習得する事にする。
【素材アイテム】角兎の肉 品質F レア度1
ホーンラビットの肉。非常に柔らかいが、臭みが強い。
【素材アイテム】角兎の角 品質C レア度1
ホーンラビットの角。非常に鋭いが小さいため、使い道が限られる。
こんなのが剥げました。それぞれ一個。肉の品質が酷いのは、ミニ火炎放射で燃やしたウサギから剥いだヤツだからです。
とりあえず、レベル3の火魔法は使用を控えることにする。この辺りのモンスターには、効き過ぎるようだ。
ウサギは兎も角、ブタはなるべく打撃で倒そう。
そして、MPがすでに六割を切ってます。パイロキネシス燃費超悪いな。エアーシュートが一割くらいだったので、残りはつまり、そういう事だ。
もう一つの風魔法である「エアーコントロール」は、強めの風を吹かせる魔法みたいだし、今のところ使い道はないだろう。相手もそこまで複雑な攻撃はしてこないし。
でも使ってみる。
「エアーコントロール」
唱えた瞬間、周りの風が------見える?いや、感じる?
兎に角自分を中心に、風を俺の意思で動かせるという確信がある。
試しに強めの風が吹くように念じると、強い風が吹き始めた。
なるほど、このくらい自由に出来るなら、煙やガスの類は簡単に吹き飛ばせそうだ。
MPの消費はどうだ?そろそろ五割を下回るな。
数秒でこの燃費なら、補助としては優秀だろう。使い道は限られるけど……
よし、新呪文の確認も終わったし、お客さんも来たようだ。
ウサギが一匹だけだが、それでも敵は敵。
さてと、MPも少ないし、打撃中心に切り替えて戦闘して行くとしようか。
【素材アイテム】野豚の肉 品質C レア度1
ワイルドピックの肉。食用として一般的な物で、様々な料理に使用できる。
【素材アイテム】野豚の皮 品質C- レア度2
ワイルドピックの皮。食用ではあるが、下処理が面倒なため流通はさほどしていない。
【素材アイテム】草原狼の肉 品質D レア度1
ウィードウルフの肉。筋が多いため、あまり食用には向かない。
【素材アイテム】草原狼の皮 品質C レア度2
ウィードウルフの皮。意外と丈夫に出来ているため、皮鎧やコートなどの材料となるが、このままでは使用出来ない。
【素材アイテム】草原狼の骨 品質D+ レア度1
ウィードウルフの骨。そのままで用途はあまりないため、加工してから使われる。
【素材アイテム】角兎の皮 品質C- レア度1
ホーンラビットの皮。一般的な服の材料として広く使われているが、このままでは使用出来ない。
それぞれ三十匹くらいは相手したけど、ドロップは半分くらいか。
あと、魔石も一個だけ出た。品質はCだったけど。
しかし、分解すれば軽くはなるが、量が多いと所持重量ギリギリだな。
もう昼だし、空腹度も気になって来たから街に戻るとしよう。
レベルの方は、全員上がった。スキルの方は、杖、こん棒、蹴り、鑑定、遠見が上がった。
魔法スキルはあまり使っていないので、次の狩りでは積極的に使っていこう。
俺のステは筋力。ティアは敏捷と技量。マルコは精神力と筋力に。
あと、マルコのスキルに、威嚇と言うのが増えた。
唸り声を上げて、ビビらせる系のスキルみたいな感じらしい。
ウサギやブタにはよく効いていたが、同じオオカミにはあまり効かなかったけど。
そして、予定通り、魔法スキルを一つ習得した。
【魔法スキル】闇魔法Lv1
主に闇の力を使った魔法を使いこなすための戦闘スキル。レベル向上に従い、様々な呪文を得られる。補助にも攻撃にも使える。
こっちか水かで迷ったけど、闇にしました。多分だけど、精神異常系のスペルが多いと思ったからだ。
説明文を見てみると、
【闇魔法】ナイトヘッド
闇の力によって、相手の精神を攻撃する。一定の確率で、混乱や暗闇などの状態異常にする
【闇魔法】シャドウボール
闇の玉を相手に打ち出す。低確率で、混乱や暗闇などの状態異常にする
と言う感じで、両方とも攻撃系であるようだけど、状態異常も引き起こすみたいです。俺の目論見通りだな。
とりあえず一戦だけして確かめるのもありなんだけど、もう既に目の前が街の門なのよね。
レベル上げの確認ならその場で出来るけど、新しくスキルとか取ろうと思ったら隙だらけになるしね。
この辺ならもう負ける可能性は殆ど無いだろうけど、痛いのは嫌ですわ。
よし、試し打ちは次の狩りでするとして、昼飯と売却に行くとしよう。あと、ちょっとした実験もね。
とりあえず書き貯め分はコレでおしまい
これからは遅くても週一くらいでの最新になるかと
2/6 闇魔法の効果を変更