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4 夜の恐怖

2/2 敵モンスターの名前を変更

 予想通り和食はなかった。主食も米ではなくパンだった。

 分かってはいたけど、少しだけ悲しい気分になったので、ログアウトしてから味噌汁を作って食べました。

 やはり日本人は、米と味噌と醤油がなければ生きていけないのだ。

 オルタナティブ・アース・ファンタジーの世界でも、米や大豆が存在していることを切に願う。


 それはそうと、夜の狩りに向かおう。

 MPは七割ってとこだが、HPはほとんど全快まで回復している。

 ログアウトしていた時間は昼飯食った時と変わらないのだが、宿屋で休むとこうも違うのか。

 取らずにログアウトした時は、回復なんてほとんどしていなかったので、絶対に宿を取った方がいいだろう。

 料金的には普通だと思うが、これが毎日の出費だと思うと勿体無い精神が湧いてくるな……

 そこはまぁ、必要経費と思って割り切る事にする。

 その内自分用の家とか買えるようになったらいいなぁ……


 そんなあるかどうかもわからない未来は置いておいて、準備をしよう。

 飯を食いながら、買っておいた方がいい物とか考えていたし、情報とかも調べておいた方がいいだろうしね。



【武器アイテム】ニレのクラブ 分類:こん棒 攻+3 耐久性100 品質C レア度3

 ニレの木で出来た殴打武器で、触媒にはならない。堅い素材で作られているため、耐久性はなかなか。



 クラブと表記されているけど、どう見てもバットだよなコレ。

 とりあえず、打撃武器が欲しかったので購入。

 分類はこん棒だけど、杖スキルでも使えなくはない。ただ、武技の使用は不可だった。

 ですので、



【武器スキル】こん棒Lv1

 主に殴打武器を使いこなすための戦闘スキル。レベル向上に従い、様々なプラス修正と武技を得られる。


 

 スペシャルポイントの消費は3。これで武技の使用も可能になった。

 ちなみに武技の名前は『フルスイング』だった。やっぱりバットじゃないか?

 しかし、殴打武器と言うのは筋力がモノをいう武器だ。俺の現在の筋力値は10。

 あまり威力は期待できないだろう。

 だが、MP節約の事を考えるならば、魔法を使うより武器を使った方がいい。

 だったら杖で殴るよりも、こん棒で殴った方が威力出るだろう。


 あと、こんな物も必要かと思って買った。




【防具アイテム】草原狼の皮ベルト 防+0 耐久性80 品質C レア度2

 ウィードウルフの皮で出来たベルト。防具と言うよりは、武器などを腰に下げるためのアイテム。



 サブウェポンがあるなら、この手の装備はあった方がいいだろうと思って。

 コレがあれば、



【補助アイテム】魔力式ランタン

 使用者の魔力や、魔石を利用して光るランタン。触れてもほとんど熱くないため、腰ベルトなどに吊るして使うことも可能。



 こういうアイテムも、両手が開いた状態で使える訳だ

 値段はそれなり。使う魔力もそう大した物ではないらしいので買ってみた。

 暗い所を移動する時は、光源が必要だろう。

 ちなみに魔石と言うのは、モンスターが偶に落とすもので、魔力が結晶化したものらしい。

 品質にもよるが、Eくらいのものでも2、3時間は持つとの事。


 それと、装飾品も買ってみた。



【装飾アイテム】鈍銀のブレスレット MP消費率軽減(小) 耐久性50 品質C レア度3

 魔法具の一種。色々と混ざった銀で出来ているため、耐久性が落ちている。



 性能はいいけど、耐久性に問題があるらしい。それでも、それなりの値段だった。

 これを買うために、残りの財産がゼロになりました。

 朝飯代を得るためにも、夜の狩りを頑張ろう。そんな超地味な背水の陣である。


 夜でもけっこう人が歩いている。大半が、何かしらの武装をした人だけど。と言うか、俺と同じプレイヤーだろうけど。

 多くは複数人で歩いているが、俺と同じソロで歩いている人もチラホラいる。

 いずれは俺もパーティを組んでやってみたいが、それは当分先という事にする。

 まだまだいいや。

 レベルが上がって、召喚モンスターの種類も増えたら、そんな必要なさそうに思えるけど。


 そういえば召喚魔法のレベルが上がったから、もう一体召喚出来るみたいだわ。

 ちなみに、同時に召喚出来る数は、召喚魔法のレベルではなく職業レベルの管轄らしい。

 どちらにしても、フィード出て召喚してみよう。

 どれだけMPを消費するか確かめたいし、そもそも出来るかどうかも試したい。

 


〈新しく使役するモンスターを召喚します。リストを表示しますので、以下の中から選択して下さい〉


 フェアリー

 ウルフ

 ホース

 ウッドドール



 この中から一体新たに召喚出来るようだけど、どれを召喚しようか?

 説明文があるだろうから、それを見て決めよう。



【召喚モンスター】ウルフ 主要戦闘位置:地上

 狼。普段は従順で大人しいが、戦闘時は獰猛であり執拗な存在。機動性だけでなく、探索や警戒などにも優れている。主な攻撃手段は、噛付きや脚爪。


【召喚モンスター】ホース 主要戦闘位置:地上

 馬。戦闘も出来ない訳ではないが、運搬関連の方が優れている存在。装備さえあれば馬上でも戦闘可能で、非常にタフ。主な攻撃手段は、体当たりや踏み付け。


【召喚モンスター】ウッドドール 主要戦闘位置:地上

 木製人形。古の魔法使いが、作業を補助するために作られた存在。疲労と言う概念のない、忠実な従僕。主な攻撃手段は武装に依存する。



 とりあえずホースはいい。移動に便利そうなので、いずれは使役したいものだ。

 ウッドドールは説明文を見る限り、戦闘向けではない。出来なくはないと思うが、必要であるであろう武装を購入するための金がないのだ。

 だったらウルフか。前衛と言うよりは、遊撃タイプだと思うがどっちにしても攻撃手段が増えることはいいことだ。

 相変わらず前衛は居ないが、そこは気合いでカバーしよう。


「サモンモンスター」



 ウルフ Lv1 マルコ

 

 体力  9

 生命力 10

 精神力 8

 敏捷  26

 知力  13

 筋力  14

 技量  12


 スキル

 噛付き 引っ掻き 気配察知 夜目



 大型犬サイズの、赤みがかかった茶色の毛並みをした狼がそこに居た。

 敏捷は非常に高いが、体力や精神力とかが低いな。スキルは攻撃手段と補助能力で半々と。

 すり寄ってきて、俺の匂いを嗅いでいる。

 とりあえず首の辺りを撫でてみる。意外にも柔らかい毛質で、気持ちよさそうにしている。

 名前はとある狼系の神話的生物から捩って。まぁ、そこまで有名ではないか。色々混ざっているし。

 

「よーしよし、これからよろしくなマルコ」


 俺の言葉に、一吠えしてまたすりすりしている。可愛い奴め。

 ペットを飼ってみたいと思うのだが、住んでいるマンションがペット不可なんだよなぁ……

 その気になれば引っ越せるけど、立地条件が俺に最適なため引っ越したくない。

 まぁ、こうして仮想空間で動物と戯れることが出来る訳だし、無理に引っ越しとかしなくてもいいか。

 しかしこのワンコ、もふもふである。コレはスクショを撮っておかねばなるまい。


 そして、MPの消費はほんの少しでした。ティアも召喚して、漸くメモリが減ったことを確認できるくらいだね。

 いや、もしかしたらブレスレットの効果でこれなんだろうか?

 あー……次する時は外してやろうかやっぱいいや。めんどいし。

 何はともあれ、夜の狩りを開始しましょう。

 ランタンも点けて、最初の内はクラブメインでやって行こう。持ち替えは腰ベルトから杖抜くだけだし、慣れれば簡単だわ。そういう動作も経験済みだしね。


 そんなことを考えながら進んでいくと、マルコが唸り声を出し始めた。

 どうやら敵が現れたらしい。

 俺の目には暗くてはっきりしないが、とりあえず地面に何かが動いているというのは分かった。

 さて、鑑定をしてみよう。



 キラーアント Lv2 魔物 敵対状態



 アリでした。でもデカいわ、20センチくらいありそう。でも一匹だけだ。

 でも、下に叩き付けるより魔法使った方がいいと思う。残念だけど、クラブの初仕事はコイツではないようだ。

 顎をカチカチさせながらこちらに近付いているが、ティアが光玉で攻撃をする。

 ダメージは兎も角、怯んだ様子も見せないが、注意はティアの方だ。


「ファイアボール!」


 後ろにちょっと下がりつつ、火魔法をぶつける。

 これだけでほとんどHPは残っていないようだ。虫だし火は苦手だろうな。

 止めはマルコの体当たり。噛付かないの?虫だし不味いか。


 こんがり焼けて、あまりいい臭いがしないが、無視して剥ぎ取りナイフを突き立てる。

 が、何もドロップしなかった。初仕事がコレとは……

 まっ、これから数えるのも面倒くさくなるくらい仕事が待ち構えているだろうから、気にしないでおこう。


 ほら、次のお客さんだよ。

 鑑定の結果、またアリです。今度は三匹います。レベルは1が二匹と2が一匹。

 そして、ウィードウルフも一匹だけだが現れた。

 しかし、Lvは3だ。


「蟻の相手は任せた!エンチャントウィンド!」


 とりあえず敏捷を上げておく。それでも一番早く攻撃してきたのはこのワンコだった。

 もう既にこちらに飛び掛かってきていた。

 視認した時点で、武器を杖からクラブに持ち替えてる。

 間に合うか!?


「フルスイング!」


 頭目掛けての武技を使用した横振りは、吸い込まれるようにしてワンコの頭にぶち当たった。

 動かされている感覚がアレだが、手応えはあった。何かが潰れた音と折れた音がやけに耳に響いく。

 HPはあまりない。アシストもあったお陰か、ホームラン級のバッティングだったと思うが、いくら何でも威力が高すぎないか?

 そう思うが、その理由は、ポップアップされたメッセージ教えてくれた。


〈クリティカルヒット!〉

〈ウィークポイントヒット!〉


 どうやら凄くいい感じで当たったようで、ダメージにボーナスが入ったらしい。

 止めを刺す前に、アリどもを相手にしているティアとマルコはどうだ?

 アリどものHPは、ほとんど減っていない。

 逆に、マルコのHPは地味にだが減っている。

 ティアは当然のように無傷だ。

 とっとと止めを刺して、アリの相手をすることにする。

 こいつら物理攻撃はあまり効かないらしい。いや、こちらの攻撃力が弱いだけか?

 どちらにしても、魔法を使った方が攻撃力は高いだろう。


「エアカッター!」


 風の刃が一匹のアリを襲う。こいつは一匹だけ居たレベル2だ。

 命中はしたようだが、思いの外威力はない。

 こちらは牽制だから問題はない。本命はコレだ!


「シッ!」


 サッカーボールでも蹴るかのようなトーキック。

 こちらは軽く吹っ飛ぶくらいの威力はあったが、それと引き換えに足が酷い違和感に襲われる。

 攻撃を喰らった時に感じていた違和感を、更に酷くしたものだ。

 その違和感も、すぐに消えていった。

 これどうにかならんのだろうか?

 

 まぁ、殆ど瀕死になるくらいだし、止めはマルコに任せるとしよう。

 残りは火魔法で葬ろうか。

 すぐに三対二になる。そう思ったのだが、横から追加で一匹増えた。

 レベルは1。

 ぶっちゃけ火魔法一発で瀕死になるくらいだから、大丈夫だろう。





 と思ったが、甘かった。まだ戦闘は続いている。

 続々と現れるアリどもに嫌気が差してきた。

 仲間を呼ぶ習性でもあるのかと思ったけど、鳴き声とか発していない。

 だとするなら、感知範囲が広いのだろう。

 今もこうして、別の方向から数体現れたし。

 既にMPは2割を切った。持っていたマナポーションは残り二本。

 倒した数はこれで十五匹目。それでもまだ増えて行ってる。

 更に、こんなのまで現れる始末である。



 血吸いコウモリ Lv1 魔物 敵対状態



 空を飛んでいるが、飛行速度はそうでもない。

 エアカッター一発で沈むくらいだし、対応は出来る。

 しかし、こちらも既に四匹ほど倒したが、また一匹追加された。

 これはヤバいかかも分からんね……





 結局アリは合計二十一匹、コウモリは七匹倒した。イヌは最初の一匹だけだったのが幸いか。

 途中からクラブに持ち替えてぶん殴ったのだが、こちらの方が手数が多いため、結果的に楽になった。

 そのおかげで、増殖速度よりも撃破速度のほうが上回ったのだろう。

 しかし、コウモリ相手にMPを消費したので、マナポーションは残り一本だけとなった。


 とりあえず剥ぎ取りを行おう。

 その間にまたモンスターが来るかもしれんが、アイテムの誘惑には勝てない。

 急ごう。最悪そのまま剥ぎ取らずに逃げればいい。



【素材アイテム】魔石 品質C- レア度3

 魔力が結晶化した物質。魔物の核とも言われている。


【素材アイテム】殺人蟻の甲 品質D レア度1

 キラーアントの甲。そこそこ硬いため、防具の部品としてよく使われている。


【素材アイテム】殺人蟻の顎 品質C レア度2

 キラーアントの顎。思いの外鋭い。


【素材アイテム】殺人蟻の蜜蝋 品質C レア度4

 キラーアントの蜜蝋。食用ではない。滅多に落とさない珍しい素材。


【素材アイテム】蝙蝠の牙 品質C+ レア度1

 血吸いコウモリの牙。鋭くはあるが非常に小さい。


 魔石はワンコが落とした。それはいい。

 問題はアリだ。何か落としやがったぞ何だこりゃ?

 蜜蝋ってハチの話じゃないのか?

 まぁ、巣を作るための物だし、アリだって巣を作るか。


 今の戦闘で、小盾と遠見以外がレベルアップした。使える魔法が増えたのは、素直に嬉しい。

 ステは筋力に振っておく。あと2か3くらい筋力に振ろうかな。

 しかし、魔法はバンバン使ったから分かるけど、踏み付けも蹴りのカウントなんだろうか?

 足でダメージ与えたら蹴り扱いとか?

 牽制には丁度いいが、足の違和感は見過ごせないくらい酷い。

 ティアとマルコもレベルが上がった。

 ティアには敏捷と技量に、マルコは体力と筋力に振っておく。


 俺の残りHPは7割ほどか。

 アリに蹴りを入れる度に反動ダメージを喰らっていたらしい。

 あと、最後の一匹から顎攻撃を喰らってしまった。

 だけど、あれだけでかいアリに噛まれても痛みはそうでもなかった。

 戦闘中に感じていた違和感の正体は、痛覚の設定にあるのだろうか?


 ヘルプを見てみたいところだが、それは後回し。

 マルコが敵を感知したようだ。

 アリである。


 もう嫌だ!相手にしたくない!


「ティア!マルコ!相手にせずに逃げるぞ!」


 そう言いながら回れ右してダッシュ。エンチャントウィンドも使っておく。

 幸いにして、アリどもの速度は遅い。俺たちより早いのはイヌくらいだ。


 そのイヌが、三匹ほど現れやがった!

 こんな時に出て来るなと言いたい。

 しかし、先ほどの戦闘でレベルが上がったため、すぐに終わった。

 クラブでぶん殴る戦法だったため、一匹に噛まれたが、気にせず攻撃する。

 HPは半分ほどになったが、ティアが回復してくれたので問題なし。


 そして、こん棒のレベルがまた上がった。早いな。

 剥ぎ取りをしていたら後ろに居るアリどもに追いつかれそうだ。

 お前らコレ絶対さっきより多いだろふざけんな。遠見がレベル上がったわ。


 そして、またワンコ。同じく三匹で、レベルは全員1。

 ド畜生どもがあぁぁぁ!新しい魔法の実験台にしてくれるわ!


「ファイアシュート!」


 飛んで行ったのは、バレーボールくらいの火の玉。

 それが畜生一匹に命中して、その一発で倒してしまった。

 実にいい威力だ。

 だが、MPは結構使うらしい。目に見えて減ったのが分かる。

 多様すればすぐになくなるな。


 ティアの出す光の玉もレベルが上がって強化されたようで、一度に三個くらい飛ばしている。

 ダメージは相変わらずだが、喰らった畜生どもの様子が明らかにおかしい。

 鑑定で見てみたら、こいつら混乱状態とか表示されている。

 なるほど、あ○し○光か。

 混乱してピヨッている畜生の喉元に、マルコがガップリ噛付いた。

 そして、そのまま食い千切った!?あらやだワイルド。

 アレはそのままマルコに任せて、残った畜生の顔面に全力でクラブを叩きこむ。

 少しだけ残ったので、エアカッターで止めを刺す。


 処理が完了したが、アリの大群がすぐそこまで来ているのが嫌でもわかった。

 レベルアップの表示が色々出ているが、逃げることを優先する。


 サービス開始の初日から、トラウマが出来そうです……



敵の出現やアイテムのドロップなどの確率は、ダイスで決めています

一番レアなアイテムは、クリティカルでしか出ません

ちなみに蜜蝋はクリティカルです


そして、最後の逃走ですが、三回エンカウントしたらアリに追いつかれて死んでました


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