序章 呼び鈴
「今日も頑張っていきましょう。」
赤林 光男は社員たちと朝礼をしていた。
いつも通りの朝だ。今日は、冬の1月21日。世間ではインフルエンザが流行っているそうだが、一日でも休んだらどうなるかと冷や冷やする。
朝礼を終えた赤林はいつも通りの朝の過程を終えデスクに座ろうとした。
その時、デスクの上にある電話が鳴った。
どうやら、事務担当の松井 昭英からだ。
「どうされました?」
松井がかけてくるのは大抵取引先関係だ。だから、取引先関係だと赤林は思った。
「取引先のミーラクからのお電話です。お繋ぎしますか?」
どうやら、その考えは当たったらしい。
「頼むよ」
メロディが流れたかと思うとすぐに切り替わった。
「お忙しいところすいません。ミーラクの営業部 加藤 学です。」
相手に焦りが見えた。
「先月私どもの取引先の会社が倒産した件についてです。」
詳しいことは知らないがミーラクの取引先が倒産したというのは知っている。
「未だ、穴は埋まっておらず今後この調子では赤字続きです。
ですので製造費もう少し下げていただけないでしょうか」
赤林は唾をのんだ。最近下げたばかりなのにこれ以上下げたらどうなるかわからない
「落ちついてください加藤さん。そういう話は顔を合わせてゆっくり話しませんか?」
「今からそちらに向かいますのでよろしいですか?」
断ってもしょうがない。
「わかりました。いいでしょう」
受話器を置いた。察するにミーラクは危機的状況になっているのは間違いないだろう。