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ぼくは口の中で歌をつぶやきながら、荒涼とした平野を歩いている。
頭上の青い空には、鮮烈な午前中の太陽が白く輝いている。
まばらな下草の生えた地面をわたって、秋の涼しい風が体を包んだ。空気に混じった土の香りを深々と吸いこんだ。
背後には、おびただしい武装したキャラクターたちが思いおもいの格好で群れを成していた。
行く手のだだっ広い荒野には、灰色の巨大な塔がそそり立つ。
その先端は空にかすんで見えない。
基部にはこの世界を支える強大な”魔力”そのものである”龍脈”が横たわっている。
この重要拠点を巡って、いったいどれほど多くの戦いが行われてきたことだろう。
しかし、長かった戦争もほどなく終わる。
これから始まる戦いが、この”最終戦争”の帰趨を決定するのだ。
塔に近づくにつれ、見晴らしだけはすばらしい景色は重苦しい巨石の壁に埋まってゆく。
次第に僕の後ろに付き従ったキャラクターたちは、張りつめた空気に覆われていた。
ぼくを軍団長として信頼してついてきてくれた人たちだ。
戦争を主導する”最終戦争の四戦士”の一人、”青ざめた死”として、ぼくは恥ずかしくない戦いをしなければならない。
不安に苦しみながら、ぼくはできるかぎり無感情をよそおって、塔を目指してなおも進んだ。
やがて巨大な土台の前に、敵の姿が見えた。
膨大な建築物を背景に、小さな女の子が腕を組んでいる。微風にやわらかな金髪がなびいていた。
あどけない幼い顔立ちを険悪に歪ませ、たった一人立っていた。
それが敵将、アウナだった。