第三話 恋って素敵だね―マリス視点
はじめて別の視点を書きました。
なのでキャラがぶれまくってると思いますが……。
作者なりに頑張ったので、おかしいなと思ってもスルーしてください。
誤字脱字などは、活動報告の方で教えていただけると嬉しいです。
僕の名前はマリス―ポート。
もうご存知だと思うけれど、いつか魔法学を教える先生になりたいそこら辺に転がっていそうな男だ。
そして陛下の親友でもある。
二ヶ月前に陛下が側室を取ったせいで王妃様が逃げ出してとても悩んでいると聞いて、正直な話何を言ったらいいのか分からないけれど間違っているのは僕は陛下の方だと思う。
側室を取る事は当たり前って言えば当たり前だけど、何も話さずに自分勝手に決められたらそりゃあ王妃様だって怒ったりするのは当然だろう。
もっと事前に話して納得してもらえるまで何度も説得するべきなのに。
陛下は王妃様の事を信用してこうしたと思うけど、それが逆に裏目にでたわけだ。
陛下は業務とかは何でもできるのに恋愛とかは昔っから鈍感で、極端な話相手に何をすれば喜ぶのかさえも未だによく分からないのかもしれない。
とりあえず僕は「自分が起こした問題は自分で解決しなよ」って言ってその場を離れた。
だって考えてほしいしね。お互いの事を。
確かに側室は側室で良い所もあるけれど、でも一番何が大切なのかを考えてほしかった。
いつも陛下と王妃様が仲良さそうにしていた姿を遠くで見ていた僕の気持ちが分かる?
僕だってもし上流貴族になれたら王妃様みたいな女性と……。
いけないいけない話がそれてしまったけど、王妃様を探すなんてまっぴらごめんだ。
たとえ心友だとしてもね。
そして教育実習生としてこの町にやってきている時、物静かで黒髪を肩まで伸ばしている優しそうな女性に出会った。
一瞬王妃様にどことなく雰囲気が似ていたけどそれは嘘だろう。
あの金髪の綺麗な髪の毛をなびかせていろんな人を魅了させてきた王妃様が、ここまで地味で目立たなさそうな人に化けているなんてありえない。
でももしそうだったら……何て考えると胸が締め付けられてそれ以上何も考えない事にした。
お花屋のすぐ近くでしゃがみ込んでいるあの女性を見て、いてもたってもいられなくなった僕は後ろからそっと声をかけた。
すると、鈴の音のような耳障りの良い声が聞こえて胸がドクンと高鳴る。
「お花を見ていたんです。このお花綺麗だったから……」
よく彼女の足元を見てみると、ピンクの花が咲いていた。
僕の実家はお花屋だったので小さい頃よく教えられてたなーなんて思いながら、そのお花の名前は『ピルティ』だと教えてあげた。
おまけに、花言葉は『嫉妬』なんだよなんて教えちゃって何してるんだろう自分。
すると少し寂しそうな表情を浮かべる彼女に、この後お茶でも飲みに行かないかと誘ってみた。
見ず知らずの自分と一緒になんて、嫌かもしれない。
けれど、見ず知らずの僕に彼女はちょっと疑った様子だったけど快く承諾してくれた。
素直に嬉しかった。
「私の名前はシイナです。この前ここに引っ越してきたんです」
彼女の名前はシイナと言った。優しそうな名前だ。
それから少しでも僕のことを知ってほしくて何でも答えた。きっと貴方ならできますよ。何て言われた時はちょっと照れくさかった。
だから夢が早く実現できるようにもっと努力したいと思う。
それでちょうど打ち解けてきた頃に勢いで夕食もどうかと誘ってみた。
もっと僕のことを知ってほしいし、僕も彼女のことをもっと知りたい。
そしたら彼女はちょっと困った顔をしてて。
でもこのチャンスもう二度とないかもしれない。
ずっと引かないで説得していたら、いいですよって言ってくれたので安心した。
それからしばらく二人でお茶を飲んだり下らない雑談をしたりして刻々と時間が過ぎていった。
お昼前になると彼女は仕事があるからと出て行ったけど、
僕はもう夕食のことで頭がいっぱいだった。
あぁ……どうやら僕、彼女に恋をしてしまったようだ。
今まで極力そういうことは避けてきたけれど、やっぱり恋っていうのは素敵なものだね。




