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drain ードレインー 内閣府デジタル庁異世界転生救済課  作者: ねず ただひま
嚆矢濫觴(こうしらんしょう)の章

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8/12

ウツボカズラの代償

はなぶさ


「おーい、起きろ。終わったぞ」


俺は失神している救出対象者オッサンの顔を平手でペチペチと叩き、縛っているロープを切って、眼鏡の位置を直して、口を塞いでいたガムテープを勢いよくビッっと剥がした。


「痛そう…」

それを見て千代草ちよぐさが顔をしかめる。


「千代ちゃん、シロしまっとき」

施覆花おぐるまさんが千代草ちよぐさにそう言うと、はいと返事して斜め掛けの可愛らしいポシェットの蓋をめくる。

「シロ!ハウス!」千代草ちよぐさのその言葉で、ホワイトドラゴンのシロはポシェットのなかへと吸い込まれて消えた。


「全然起きないな…」

南天なんてんがポケットから鉄球をひとつ取り出し、真っ赤に熱してそれをオッサンのおでこにそっと当てた。


ジュッ!

と音がすると同時にオッサンが跳ね起きる。

「熱ッっ!!」

ようやく目覚めたオッサンは俺たちを見ると腰を抜かして後ずさり、眼鏡をかけ直した。


「な!なんなんだお前ら!俺の嫁たちを勝手に殺しやがって!」

あんな血塗れの戦闘を見たんだ、怯えるのは仕方ないが、アイツら全員嫁だったのか?


「一夫多妻のハーレム生活、よかったか?」

南天なんてんは何故か怒った口調風に訊いた。


「まぁまぁ、そないビビらんといてくださいや。救出対象者ドリーマーへの九十八号……松代まつしろトモヤさん、四十歳ですね?」

施覆花おぐるまさんがオッサンの近くにしゃがみこんで確認する。


「は、はい」

オッサンは怯えながら返事をした。


「松代さん、アンタの親から捜索依頼が出とんすわ。ほんで僕らが異世界くんだりまで来て、アンタを連れ戻したっちゅーわけです」


施覆花おぐるまさんはオッサンを怖がらせないよう、笑顔で説明しているが……

 自分が大事にしていた女を殺した若者が、笑いながら状況を教えてくれる……これはこれで怖いと思うけど。


「い、いやだ!俺はこの世界に居たくない!あっちへ戻してくれ!いや!戻して下さい!お願いします!」

松代は額を地面に押し付けて俺たちに土下座をした。


「松代さん。ごめんやけど異世界へ戻る歪み(ストレイン)は閉じてもーたし、転生アプリは跡形もなく消え……あ」

施覆花おぐるまさんはそこで言葉を飲み込んで、『しまった』といった感じの顔をした。

余計な情報を口走ったからだ。


しかし、俺たちはこのあと救出対象者の記憶を改竄する予定になっている。

異世界での生活も、今ここで起きた事、聞いた事も全てだ。

ただし、俺や千代草ちよぐさのように、異世界転生救済課にスカウトされて働く者は例外だ。


異世界転生アプリ『ネペンテス』は、使用すると異世界転生した人間の脳に、記憶の忘却を作用する特殊な電波を出す。それは、()()()()()()()()に関わる記憶だ。

そして役目を終えたアプリは自動的にクラッシュされてしまうのである。


俺と千代草ちよぐさも、靫葛ネペンテスを使用して一度異世界転生を果たしているが、アプリを手に入れた時の記憶だけがごっそり抜け落ちている。


「そんな!?()()()()()消えちゃったんですか!?高いお金払ってやっと買えたのに……」

松代の口から意外な言葉が出てきて俺たちは顔を見合わせた。


正直かなり驚いた。俺たちは初めて出会ったのだ。


アプリの入手方法を知る人間を。

*次回、『異世界転生救済課』

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