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drain ードレインー 内閣府デジタル庁異世界転生救済課  作者: ねず ただひま
嚆矢濫觴(こうしらんしょう)の章

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魔王と猫耳

はなぶさ


「俺に宿る十三の穢悪エオよ!力を貸せ!」

はなぶさは体内の血流に魔力を流し込む。

これにより身体能力が異常に向上する。

全身が赤らみ、体温が急上昇するとはなぶさから赤い蒸気が立ち上がった。


 はなぶさ千代草ちよぐさと同じく元異世界転生者である。

二人はお土産の能力(スーベニア)を持ち合わせている希少種レアケース

 はなぶさは、かつて魔王として異世界に転生していた。十二人の部下を従えて世界を滅ぼした厄災。

その世界の唯一の希望であった勇者を殺す寸前で、今の上司である九鬼くきに救出された経緯を持つ。


虎の獣人が鋭い爪ではなぶさへと襲いかかる。

驚異的なスピードに翻弄ほんろうされたはなぶさは、スーツを少し引き裂かれてしまった。

このスーツは異世界転生救済課の為に作られた特別な物だ。伸縮性があり、耐刃、防弾性能にも優れている。


はなぶさはジャケットの内ポケットから専用武器を取り出して両手に待って構えた。

先端に『返し』の刃が取り付けてあるアンカー。

二本のアンカーは柄の部分で鎖で繋がっている。


穢悪エオの力で身体能力が爆発的に向上しているはなぶさと互角に闘う獣人を見て、先に追跡者トラッカーを仕留めた施覆花おぐるまは声を掛けた。


「今回いちばんの強敵あたりを引いたんははなぶさやな」

施覆花おぐるまは余裕ありげに電子タバコを咥えている。


「手伝わないなら黙っててください」

はなぶさはムッとした表情で獣人の攻撃をいなし続ける。

しかしこのまま戦っていても、事態は好転しないのは明白だった。

 はなぶさは、敵の尋常ではない速度の元を断つ戦法を組み上げ、現状において最適な穢悪エオを選択した。

 獣人の鋭い爪をアンカーで受け止め、ガラ空きの腹部に蹴りを入れて距離を取る。獣人が空中で身をひるがえして地面に着地する瞬間を狙う。


「淕の穢悪エオ愚者の沼(スワンプ)

はなぶさはアンカーを一本地面に突き刺して魔力を流す。

すると忽ち(たちま)地面がブヨブヨと柔らかく変化した。

獣人が地面に足をつけ、頑強な脚力で地面を蹴ってはなぶさへ向かおうとするが、突然柔らかい地面を蹴った獣人は一気に失速。不恰好に対空する形となった。


機を見るにびんはなぶさはもう一本のアンカーを獣人に投げて肩口あたりに突き刺す。


「十壱の穢悪エオ柄を握る騎士(グラスプ)!」

はなぶさが両手をパンと合わせると、獣人の背後から、鉄甲を装着した巨大な両手が出現して空中の獣人を捕らえる。

そしてその直後、巨大な手は掌握しょうあくした獣人を、雑巾を絞るように握り潰した。


ベキバキゴキッ!と骨を砕く音と、獣人の断末魔の叫びが響き渡り、すべての戦闘は終わりを迎えた。


穢悪エオを納めたはなぶさは軽い目眩に襲われる。


「ホンマ、とんでもない能力チカラやな」

施覆花おぐるまは拍手しながらはなぶさの功をねぎらう。


はなぶさは、ほんのり漂ってきた電子タバコの見えない煙を、手で払った。


*次回、『ウツボカズラの代償』

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