明日も明後日も公園で
⭐︎主な登場人物
・白狼飴
162cm。
ホッキョクオオカミの人狼の少女。見た目は完全に人間だが、感情が昂るとオオカミの耳と尻尾がぴょこんと飛び出る。
人間のことを知るため、今年の春、山中にある人狼の里から降りてきた。人間のふりをして高校に通っている高校一年生。クラスメイトの白狐藍だけには正体が人狼だということがバレている。
人は食べない。自分と姿が似ている存在を食べるのは抵抗があるらしい。本人曰く人間が猿を食べるのに抵抗があるのと同じ理論。意外に草食。
人間の常識がない。
・紅狐藍
164cm。
アカギツネの化け狐の少年。元々の姿は狐だが、学校にいる間は人間の姿に化けていて見た目は人間。
油断すると耳と尻尾がぴょこりと出る。
怪我しているところを人間に助けられたことがあり、人間になりたい。人間に興味があり、憧れている。三年前から山から人里に降りてきて人間に化けて生活している。現在、高校に通っている。一年生で飴と同じクラス。人間に割と詳しい方。
正体が狐だということは飴にはバレている。
他のクラスメイトにはバレていない。
飴と仲が良い。
飴は公園が好きだ。
僕をいつも公園に連れて行って、ブランコを漕ぐ。
今日も学校帰りに飴にいつものように公園に連れて行かれた。
今日は雪が舞っていて積もっている。寒い。できることなら早く帰りたい。
ここは西山公園。
この公園は広くて大きい割に人間があまり来ない。路地裏にあるからだろうか。今日も人間が一匹もいない。
飴はいつものようにブランコを漕ぎ漕ぎ。
飴の漕いでいるブランコの真ん前にある、腰のあたりの高さの境界柵の外側でブランコの上で飴が前に来たり、後ろに行ったりしているのをただぼぉっと眺めている。
その僕の様子を見て、退屈していると思ったのか飴は、
「明日はくりすますいゔ…?という日らしい。クラスの女達が言っていた。なぁ藍。くりすますいゔ…ってなんだ!?」
と尋ねてきた。
…明日から学校も冬休みだ。
「………わからない。人間のことは僕はよくわからない」
嘘。
「飴も同じだ!よくわからないっ!」
飴はそう言うと、ブランコが後ろに振れた時に思い切り勢いをつけて漕ぎ、前に振れた時にそのまま大きく高くジャンプをした。
すとん。
境界の柵を飛び越え僕の真横にすっぽりと着地した。さすが人狼。身体能力が恐ろしいほど高い。
「最近、すまほというものを手に入れたんだっ!すごいだろっ!飴は進んでいるからなっ!」
そうふんぞり返って自慢した後、「くりすますいゔ」とすまほに入力して検索する飴。
「いえす・きりすとの誕生日…?の前日…?どこの誰かも知らないヤツの誕生日なんか祝うためにクラスのヤツらは騒いでいたのか…?よくわからないな…」
「…あのさ…よかったら…明日…」
「大切な人と一緒に過ごすもの…と書いてあるな…むむぅ…難しいな…」
「…」
僕は言いかけた言葉を飲み込んだ。
「飴は藍のことは大切だぞっ!友達だからなっ!」
「多分そういう意味じゃないと思う。大切な人っていうのは好きな人ってことだと思う」
「じゃあ、藍は飴のこと好きか?」
「…うん…好き」
「そうかぁっ!飴も藍が好きだっ!」
「…それはよかった」
「好きだ好きだ好きだ好きだっ!大好きだっ!」
「…やったー」
僕はどうしていいか分からずとりあえず両手を上げて喜びを表した。こういう時、普通の人間ならばどう喜ぶのが正しいのだろうか。
「やったー」
飴は満面の笑みで僕の真似をした。
「「やったー」」
僕達は二人でお互いばんざいをして喜び合った。
「はっはは!」
飴は僕の両手を握りしめた。
そのまま自分を軸にして、遊園地のコーヒーカップのようにぐるぐると僕を振り回した後、僕に抱きつき、ぼすんと押し倒すと、その勢いでそのままごろごろと雪の上を転がった。
寒さでかじかんで紅く染まった飴の鼻。
僕の毛と同じ色だ。おそろい。ちょっぴり嬉しかったりする。
飴が僕の頬に自分の頬をくっつけて雪の上に寝転がってわははと大笑いしている。
そんな飴に影響されて僕もおかしくなってきた。
その後は「はははっ」と二人で飽きるまで笑い合っていた。
僕らは耳も尻尾もぴょっこりと飛び出ていた。
こんな姿を人間に見られては大変だ。
早く耳と尻尾をしまわないと。
でも、しばらくこうしていたかった。
「明日も明後日もその先もずぅっと公園で遊ぼうっ!知らないヤツの誕生日なんか祝ってる暇なんかないぞっ!」
「ふふっ…そうだね」
好き。
その言葉の意味をまだ飴はよく理解していないだろうけれど。
いつかちゃんと言えるような気がした。
言いたい。
好きだ、って。
読んでいただきありがとうございます…✨小説作り頑張ります!




