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放課後16時44分、異界にて  作者: 秋月椛
第一章 異界にて
6/10

共通点

2026/1/8 修正

それから話は自然と自分たちに共通点があるのではなく、場所に共通点があるのではないかという話に変わっていった。

そのため、先ずは人数が多いトイレにあるものから攻めることになった。


「トイレにあるもの?便器、水、鏡、電気…?うーん…、分からん!」

「教室に水道はないし、便器も除外して…、電気も普通に色んなとこで付いてますよね?ということは、鏡?」

「水筒に入ってる水分という線はない?美夜は教室で飲み物飲んだりとかはしてた?」

「日中は飲みますが、放課後は飲んでません」

「まぁ、仮に水分補給が当てはまるとしたら、恐らくこの四人だけの共通点にはならないと思いますよ」

「運動部だと結構な頻度で飲みますもんね!!」

「……そうなると、一番理由として有り得るのは鏡ですね。私は教室で鏡を見てましたし、可能性としては高いんじゃないでしょうか」

「ということは、鏡を見ている時にアタシ達はここに連れてこられたってことか…」

「確かに鏡なら手を洗う時に自然と目に入る!」


すると、これにはすんなりと共通点が出てきた。

そして、鏡というキーワードから美夜はあることを思い出した。


「鏡と言えば、あの化け物は鏡に怯えていたようにも思えました。鏡に怯える化け物が、鏡を通して…かは分からないですけど、私たちを攫えるものでしょうか」

「確かに」

「もしくは、化け物の他に鏡を使って僕たちを呼んだ存在がいる…とか」

「あの化け物だけでもキテレツなのに、鏡を使う存在なんかいたら溜まったもんじゃないっすよ!」

「あと、ここって保健室ですよね?私ずっと不思議だったんですけど、ここって教室を除いて唯一鏡がない場所ですよね」

「そうなのか?!」

「確かに…。図書室や理科室にすらあるのに、ここにはないね」


美夜の学校にある鏡の数は、学校として考えれば平均的と言えるだろう。

美夜は常に自分のことに気を配っているので、学校のどこに鏡があるのか、入学してすぐに把握していた。

だからこそ保健室に鏡がないということも知っていたのだ。


「鏡が嫌いな化け物の拠点と考えるか、鏡を使う存在がいないと考えるか…ってことか」


弥生が考え込みながら呟く。


「結構話し込んでるけど、そもそもの話。ここが安全かも分かんないのに、あまり固まってるのもどうなの…?」

「確かに!なら俺、一度外の様子を見てみます!」


続いた言葉に雄也が肯定を示した。

そしてそのまま掴んでいたバットを持って保健室の入口へと歩いていく。

止める間もなく開かれたドアが勢いよく閉められた。

バンッという音が鳴り、その音に三人が肩を跳ねさせる。

驚きに声が漏れた人もいるが、数秒誰も何も言えなかった。


視線は雄也の閉めたドアに釘付けされている。


まさか。

そんな。


そんな言葉が脳裏に過ぎり、三人は音を少しでも立てないように慎重に腰を浮かせる。


そして、彼が決定的な一言を放った。


「いる」

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